SHIGENOVA Co.
人材育成ナレッジベース
教育担当版
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人材育成ナレッジベース

全文(印刷用)

教育担当版 / 育成を担当する方
25 文書収録 / 発行日:____年__月__日 / 保管者:____________
目次
  1. 社員ハンドブック
  2. フォロワーシップと教育範囲の基準
  3. 人材育成制度 全体設計書
  4. ティーチング カリキュラム
  5. 見極めガイド(最初の3ヶ月)
  6. コーチング 運用ガイド
  7. AIメンタリング 運用ルール
  8. 報告運用ルール
  9. 面談・報告スケジュール
  10. 習慣化カードの運用ルール
  11. 習慣化の心理学
  12. マニュアル整備の進め方
  13. 行動規範:権利と義務
  14. 自宅作業(在宅)の考え方とルール
  15. 勤怠・申請の運用(マネーフォワード)
  16. なりたい姿の宣言と目標運用
  17. 01 週次報告シート
  18. 02 1on1面談シート
  19. 03 ティーチング進捗チェックリスト
  20. 04 月次カレンダー運用シート
  21. 05 イレギュラー申請シート
  22. 06 見極め観察シート
  23. 07 手順書テンプレート
  24. 08 なりたい姿シート
  25. 09 習慣化カード

社員ハンドブック

  • 配布対象: 全社員(新しく入った方には入社1週目にお渡しします)
  • この冊子の内容: あなたが知っておいてほしいこと、守ってほしいこと、会社が約束すること

#はじめに

この冊子は、あなたに「何を期待しているか」「何を守ってほしいか」、そして「会社が何を約束するか」をまとめたものです。

これまで当社は、経験と「言わなくても分かるはず」で動いてきました。人が増えていく中で、それが通じなくなってきています。この冊子は、誰かを縛るために作ったものではありません。何を守れば自由にやっていいのかを、はっきりさせるためのものです。

読んで「これは守れそうにない」と思う項目があれば、遠慮なく言ってください。直します。


#1. 1年後、こうなっていてほしい姿

今すぐできる必要は、まったくありません。 3ヶ月目・6ヶ月目・1年目に、一緒に確認していきます。

一言でいうと、こういう状態です。

目的を自分で掴み、自分で段取りし、詰まったら早く出せる人。そして、違うと思ったら言える人。

具体的には、次のような場面での動き方です。

場面こうなっていてほしい
月初自分で今月の業務量を書き出し、締切から逆算して配置し、超過があれば自分から相談に来る
その日の優先順位が自分の中で決まっている
指示を受けたとき「これは何のためか」を確認し、目的に合わない点があればその場で指摘する
詰まったとき30分で見切りをつけ、試したことと自分の案を添えて持ってくる
判断が必要なとき案を2つ以上出し、「自分はこちらが良いと思う。理由は〜」まで言える
失敗したときすぐ報告し、影響範囲を自分で把握してから対処案を出す
遅れそうなとき遅れるに伝え、組み替え案を持ってくる
完了したとき「次に渡せる状態」まで仕上げてから完了とする
他人の仕事自分の完了が誰の着手条件かを把握し、詰まっている人がいれば声をかける
異論があるとき「私はこう思います」と代案付きで述べ、決まったら従う
振り返り何が効いたかを自分の言葉で説明でき、次に転用する
休むとき前もって申告し、その週の予定を組み替えてから休む

#求めていないこと

次のことは、評価の対象ではありません。

求めていないこと理由
長時間働くこと労働時間は成果でも姿勢でもありません。予定内で終える力のほうが上位です
明るい・社交的であること性格であり、能力ではありません
仕事が好きであること内心は求めません。行動が満たされていれば十分です
何でも引き受けること引き受けすぎる人は、超過に気づけていない場合があります
質問が少ないこと質問の「質」を見ます。少なさは評価しません

#2. これからの半年で、あなたが進む道

育成は3つの段階に分かれています。段階が進むほど、あなたに任される範囲が広がります。

段階時期この段階でやること到達したい状態
ティーチング入社〜3ヶ月教わったとおりに、まず型を守ってやる手順書を見ながら、独力で完了できる
コーチング3〜6ヶ月目「なぜそうするか」を自分で考える想定外の場面で、対応案を2つ以上出せる
メンタリング6ヶ月目〜自分で回す。困ったときだけ相談する人への確認が、意思決定事項だけに絞られている

#ティーチング期(最初の3ヶ月)についての大事なお願い

最初の3ヶ月は、まず「型」のとおりに進めてください。

理由が分からないまま進む場面もあると思います。それでかまいません。理由は4ヶ月目以降に、一緒に考えます。 最初に理由を全部説明すると、覚えることが多くなりすぎるためです。

前職での経験がある方ほど、ここに戸惑いを感じるかもしれません。あなたのやり方が悪いという意味ではまったくありません。 まず当社の型を知っていただく必要がある、というだけです。3ヶ月後には、その経験を活かしていただく場面が来ます。

#段階が上がるとき/面談が減るとき

3ヶ月目・6ヶ月目に、あなたと一緒に到達度を確認します。一方的に合否を伝えることはしません。 あなたの自己評価と、教育担当の評価を突き合わせます。

そして段階が進むと、面談の回数が減ります。 これは放っておかれるという意味ではなく、任せられると判断したという意味です。減らすときは、必ず理由をお伝えします。困ったときは、いつでも声をかけてください。


#3. 毎日・毎週・毎月やること(報告)

進捗は、「予定」「現状」「完了」の3つで報告してもらいます。1つでも欠けると、遅れに気づくのが遅くなります。あなたを監視するためではなく、困る前に手を打つためのものです。

いつやること時間
毎日(終業前)完了したこと/完了しなかったこと/その理由を記録する5分
毎週 金曜16:00まで週次報告シートを提出する15分
毎月 第1営業日今月やることを書き出し、カレンダーに配置する75分
毎月 最終営業日予定と実績の差を振り返る30分

#「完了」とは

「作業した」ではなく「次に渡せる状態になった」ことを完了とします。

状態完了?
作業したが、確認していない❌ まだです
確認したが、まだ提出していない❌ まだです
提出し、次の人が着手できる状態✅ 完了です
提出したが、相手の返答待ち✅ 完了です(自分の手離れは済んでいます)

#週次報告で必ず書いてほしいこと

  • 今週完了しなかったことと、その理由
  • 詰まっていること・困っていること
  • 今週、一番迷ったこと

うまくいっていることだけでなく、詰まっていることも書いてください。 早く分かるほど、一緒に手を打てます。

「困っていることは特にありません」が続いたときは、こちらから声をかけます。詰まらないほうが、むしろ普通ではありません。 書きにくいことがあれば、それも含めて相談してください。

#月の業務量が多すぎたとき

月初に予定を立てて、明らかに時間が足りないことが分かったら、必ず相談してください。

「頑張って詰め込む」は選択肢に入れません。 優先順位を落とす、誰かに渡す、期限を交渉する、やり方を変える、のどれかで調整します。


#4. わからないことがあったとき

#4-1. 質問の3ステップ

わからないことに出会ったら、次の順番でお願いします。

① 自分で調べる(手順書・過去の資料)      … 目安10分
        ↓ 解決しない
② AIに聞く(前提と試したことを添えて)    … 目安20分
        ↓ 解決しない、または判断が必要
③ 人に聞く(AIの回答と、自分の考えをセットで)

#4-2. 30分ルール

①②に使う時間は、合計30分までです。

30分やって解決しないなら、それは人に聞くべき問題です。すぐ持ってきてください。

「自分で解決しなければ」と一人で抱えて半日使ってしまうより、聞いてもらったほうがずっと早く進みます。聞くことは、遠慮するようなことではありません。

#4-3. 人に聞くときに添えてほしい4つ

#添えてほしいこと
1やりたいこと(何を達成したいのか)
2詰まっていること(どこで、どう詰まっているのか)
3試したこと(自分で調べたこと、AIに聞いた結果)
4自分の考え(「自分はこうしたほうがよいと思う」)

4は無くてもかまいません。 その場合は「案が出せませんでした」と一言添えてください。それも大事な情報です。

これは突き放すためのものではありません。考える手順を身につけてもらうためのものです。慣れるまでは、一緒に組み立てます。

#4-4. 最初から人に聞いてよいこと

次の3つは、AIを経由せず、すぐに人に聞いてください。

分類
顧客・金銭・契約に関わる判断見積り、値引き、納期の約束、契約条件、クレーム対応
会社としての方針・優先順位何を優先するか、やるかやらないか
本人の心身・人間関係体調不良、働き方の悩み、人間関係のトラブル、待遇の相談

3つ目を必ず覚えておいてください。 「まずAIに聞け」というルールが、しんどいことを言い出せない理由になってはいけません。

#4-5. AIを使うときの注意

  • AIの回答は「たたき台」であり、「正解」ではありません
  • そのまま提出しないでください。必ず自分で読み、理解してから使ってください
  • 数字・固有名詞・手順は、必ず一次情報で裏を取ってください
  • 自社のルールと違うことを言われたら、自社のルールが優先します
  • 「なぜそうなるか」を説明できないものは、使わないでください

AIに入れてはいけない情報:顧客の個人情報/契約書や価格表/社員の個人情報/ID・パスワード

これらを含む内容を聞きたいときは、固有名詞を伏せて一般化して聞くか、人に聞いてください。

#4-6. 必ず上に上げてほしいこと

判断せず、すぐに報告してください。迷ったら上げる、が原則です。

種類いつ
顧客からのクレーム・苦情気づいた時点ですぐ
納期に間に合わない見込み遅れが見えた時点(起きてからではありません)
金額・契約条件の変更依頼回答する前
データの消失・誤送信気づいた時点ですぐ
前例のない依頼着手前

悪い報告ほど、早く上げてください。早く上げたことを叱ることはありません。


#5. 守ってほしいこと(権利と義務)

#5-1. 「自由」の意味

当社は自由な社風を大事にしています。ただし、次のことをはっきりさせておきます。

自由とは「何をしてもよい」ことではありません。

「果たすべきことを果たした人が、やり方を選べる」状態を指します。

つまり、自由は前提ではなく結果です。義務を果たしている人に、裁量が渡されます。

#5-2. 権利と義務の対応

あなたが選べることセットで果たしてほしいこと
仕事の進め方を自分で決められる決めた進め方を説明でき、期限内に完了させる
働く時間を柔軟に調整できる予定を事前に共有し、連絡がつく状態を保つ
働く場所を選べる(可能な業務)成果と進捗が、離れていても見える状態にする
意見を述べ、異論を出せる代案を添える。決まったあとは決定に従う
失敗しても責められない早く報告する。隠さない。同じ失敗を繰り返さない
やりたい仕事に手を挙げられる今の担当を果たしている
質問し、教えてもらえる自分で調べ、AIに聞いてから持ち込む(30分ルール)
休みを取れる事前に申告し、その期間の業務を組み替えてから休む

#5-3. 基本ルール

時間

  • 始業時刻に、業務を開始できる状態にしておく
  • 遅刻・欠勤は始業前に連絡する(事後連絡にしない)
  • 締切は守る。守れない見込みが立った時点で、守れなくなる前に伝える
  • 出退勤の打刻、休暇・残業の申請は、会社が指定するシステムで行う(別紙「勤怠・申請の運用」)
  • 当日の急な事情では、連絡が先。申請は落ち着いてからで大丈夫です

連絡・報告

  • 報告の3軸(予定・現状・完了)を、決められた頻度で提出する
  • 悪い報告は早く出す
  • 業務時間内に受けた連絡には、業務時間内に一次返信する(内容は後でよい)
  • 離席・外出・休暇は、事前に分かる状態にする

仕事の進め方

  • 「作業した」ではなく「次に渡せる状態」を完了とする
  • 決まっている手順は守る。変えたい場合は、変える前に提起する
  • 決めたこと・教わったことは記録に残す
  • 決められた場所に保存する(個人の手元に留めない)

人との関わり

  • 異論は述べてよい。ただし代案を添える。決まったら従う
  • 本人のいないところで不満を言わない。言うべきことは本人か経営者に言う
  • 指摘は、人格ではなく行動と事実に対して行う
  • 質問・相談の前に、相手が手を止められる状況かを確認する
  • 明らかに困っている人がいたら、声をかける

#6. 当社の文化(迷ったときの拠り所)

ルールは「やること」、文化は「迷ったときの選び方」です。

#文化迷ったときの判断
1悪い情報ほど早く「言いにくいこと」は、言いにくいと感じた時点で出す
2やり方は自由、目的は共有迷ったら「これは何のためか」に戻る
3考えてから聞く、抱えずに聞く30分やって出口が見えなければ、持っていく
4決まるまでは自由に、決まったら揃える反対でも、決まったことは実行する。再提起は次の機会に
5人ではなく、仕組みを直す「気をつける」で終わらせない
6できないことは、できないと言う分からないまま進めると、あとで大きな手戻りになる

#7. 出社と自宅作業について

#7-1. 基本は出社です

「決まりだから」では納得できませんよね。実際に何が変わるのかを説明します。

10名以下の会社では、次のことで業務が回っている部分が大きいためです。

#出社で起きていること
1すれ違いざまの確認 「これ、こういう理解で合ってますか」が5秒で済む
2詰まりが見える 手が止まっている、表情が曇っている、が周りから分かる
3雑談から出る情報 お客様の様子、進行中の話、何となくの気配が共有される
4教える/教わる速度 見せる・一緒にやるが、その場でできる
5聞ける空気 「今いいですか」が言いやすい状態は、同じ場にいることで作られる

サボると思っているわけではありません。 真面目に働いていても、上の5つは起きます。個人の成果の話ではなく、組織としての速度と情報共有の話です。

#7-2. それでも、自宅作業を認めます

お子さんの急な発熱、学級閉鎖、保育園からの呼び出しなど、やむを得ないことは必ず起きます。そのときは自宅で進めてもらってかまいません。遠慮しないでください。

そのほか、家族の介護・看護、本人の体調(出社は難しいが業務は可能)、交通機関・天候なども対象です。

理由の詳細を説明する必要はありません。 区分と期間だけで十分です。

#7-3. ただし、2つの前提があります

前提内容
① 自分の仕事を自分で回せる状態であること在宅では、誰も声をかけてくれません。詰まったことに自分で気づいて、自分から出す必要があります
② 今すぐ進めるべき業務が明確にあること納期が迫っているなど、「休むと間に合わないものがある」から場所を変えて進める、という手段です

入社から3ヶ月の間は、原則として出社をお願いしています。 これは、あなたにできないと思っているのではなく、「見せる・一緒にやる」が在宅では成立しないためです。出社が難しい日は、在宅ではなく休んでください。 教える予定だった内容は、翌日以降に振り替えます。遅れをあなたの責任にすることはありません。

#7-4. 急ぎの仕事がないときは、休んでください

これが一番お伝えしたいことです。

急ぎの仕事がないのに、お子さんの看病をしながら無理に働く必要はありません。中途半端に働くと、看病も仕事もどちらも中途半端になります。

休むことは、権利であると同時に、正しい判断です。

休んで、翌日以降に予定を組み替えるほうが、結果的に速く終わります。

#7-5. 会社が約束すること

#約束
1申請を出したことを、評価上不利に扱いません
2在宅の日でも、必要な情報を届けます(会議の内容、決まったこと)
3その日の予定は、教育担当が引き取るか再配置します
4事情の詳細(家庭・健康)を、周囲に共有しません。運用がどう変わるかだけを共有します
5在宅が続く場合、担当業務の組み替えを一緒に検討します

#7-6. 自宅作業の日にお願いすること

在宅では、周りからあなたの状況が見えません。その分だけ、見えるようにする手間をお願いします。

  • 始業時に「開始します/今日やること」を連絡する
  • 終業時に「完了したこと/残ったこと」を連絡する
  • 連絡がつく状態を保つ(応答は業務時間内でよい)
  • 中座する場合は伝える(通院・送迎など)
  • 詰まったら30分ルールを守る(出社時より厳格に)
  • 顧客情報・機密情報の取り扱いに注意する

#7-7. 当日の急な事情のとき

手続きより、連絡が先です。

やることいつまで
1連絡する(電話・チャットいずれでも可)始業時刻まで
2「在宅で進めたいか/休みたいか」の希望を伝える同上
3その日進める業務を、教育担当と5分で決める始業後30分以内
4申請シートを提出する当日中〜翌営業日

お子さんの看病をしながら申請シートを書く必要はありません。


#8. あなたが「どうなりたいか」

会社が用意したゴールだけで走ると、頑張る理由をずっと会社が供給し続けることになります。それよりも、あなた自身の「こうなりたい」から動いてもらうほうが、お互いにとって良いと考えています。

#8-1. なりたい姿シート

入社1週目に、シートをお渡しします。次の3つを書いてください。

時間軸質問
1年後どんな仕事を、どのくらい任されている状態でいたいか(具体的に
3年後何ができる人だと言われていたいか
その先仕事を通じて、どうなっていたいか(曖昧でかまいません)

#8-2. 約束します

約束内容
評価には使いませんここに書いたことで評価が変わることはありません
未達を責めません書いた目標に届かなくても、それを理由に責めることはありません
変わってかまいません働いてみて変わるのは自然なことです。3ヶ月ごとに書き直せます
「特にない」でもかまいません今は無理に決めなくて大丈夫です。空欄で出してください
同意なく共有しません教育担当と経営者のみが見ます

会社が望む答えを書く必要はありません。 内容について、こちらが評価したり否定したりすることもありません。

#8-3. 月に1つだけ

月初の予定づくりのとき、なりたい姿に近づく項目を1つだけ入れてください。

大きくなくて結構です。目安は、その月の稼働の5%以内。

なりたい姿の例月に入れる1項目の例
〇〇案件を一人で回したい〇〇案件の見積もり部分だけ自分で作ってみる
お客様と直接話せるようになりたい打ち合わせに1回同席し、議事録を書く
人に教えられるようになりたい自分の担当業務の手順書を1本書く

できなかった月があっても、責めません。 続くようなら、項目が大きすぎるか、本業が過負荷です。一緒に見直します。


#9. 面談・報告の予定

曜日・時刻は固定です。カレンダーに入れておいてください。

いつ対象
日次の完了報告毎日 終業前 5〜10分全員
週次報告 提出毎週 金曜 16:00まで全員
週次面談毎週 金曜 16:30〜17:00ティーチング期
コーチング半日毎週 水曜 13:00〜16:30コーチング期
1on1隔週 水曜 16:00〜16:30メンタリング期
月次予定づくり毎月 第1営業日 10:00〜11:15全員
月末振り返り毎月 最終営業日 15:00〜15:30全員

#節目の面談

時期内容時間
入社1週目初回すり合わせ(この冊子の読み合わせ、なりたい姿シートをお渡し)90分
入社2週目なりたい姿の読み合わせ45分
3ヶ月目末ティーチング卒業の確認/3ヶ月見ての気づきの共有60分
6ヶ月目末コーチング卒業の確認60分
1年目年次振り返り/次の1年のなりたい姿90分
以降 半年ごとなりたい姿の更新60分

面談は、こちらの都合で流したりしません。 やむを得ず動かす場合は、その週のうちに代替日を決めます。


#10. 困ったときは

#10-1. こんなときは、すぐ言ってください

  • 仕事量が明らかに多い/少ない
  • 体調がすぐれない
  • 働き方について相談したいことがある
  • 人間関係で困っている
  • 教え方が自分に合っていないと感じる
  • この冊子のルールが、どうしても守れそうにない

これらは、AIに聞かずに直接持ってきてください。

#10-2. 会社が守ること

#約束
1遅れや失敗の報告を叱りません。早く言ってくれたことに感謝します
2提出してもらった報告は、必ず読みます
3異論を出されたら、まず「言ってくれてありがとう」と受け取ります。採否はその後です
4忙しいときでも、「今忙しい」で終わらせず、いつなら話せるかをお伝えします
5ルールは、先にいる人(経営者・先輩)から守ります
6教えていないことを、できなくても責めません

#10-3. この冊子について

  • 半年に1回(4月・10月)、全員で見直します
  • 守られていない項目は、削るか、守れる形に変えます
  • 項目を増やすことより、機能していない項目を削ることを優先します

読んで納得できない箇所があれば、そのまま言ってください。 納得できないルールは、結局守られません。

フォロワーシップと教育範囲の基準

  • 文書種別: 社内制度設計書(育成の前提となる考え方)
  • バージョン: 1.0
  • 作成日: 2026-07-29
  • 位置づけ: 00_人材育成制度_全体設計書.md の前提。育成の各段階より先に読む

#1. なぜこの文書が必要か

育成制度を作るとき、多くの組織が次の問いに答えないまま走り出す。

どこまでを会社が教え、どこからを本人の責任とするのか。

この線を引かないと、次の2つが同時に起きる。

起きること結果
教える側が際限なく面倒を見る教育コストが下がらず、担当者が疲弊する。本人も依存が抜けない
教える側が突然突き放す本人は「見捨てられた」と受け取る。信頼が失われる

線を引くには、「仕上がり」の定義が必要である。そして仕上がりを定義するには、どういう人材になってほしいのかという基準が必要になる。

本制度では、その基準をフォロワーシップに置く。


#2. フォロワーシップとは

#2-1. 定義

フォロワーシップとは、組織の目的を理解したうえで、自律的に判断し、リーダーを支え、必要なときには意見も述べる力である。

「言われたことをやる力」ではない。言われていないことに気づき、目的に照らして動ける力を指す。

小規模組織では、この力の有無が特に大きく効く。10名以下の組織にはリーダーが1人か2人しかおらず、そのリーダーが全員に指示を出し続けることは物理的に不可能である。組織が回るかどうかは、フォロワー側の質でほぼ決まる。

#2-2. 誤解されやすい点

よくある誤解実際
従順であること従順さは「順応型」であり、目指す状態ではない
反対意見を言わないこと目的に反する場合は、意見を述べることがフォロワーシップである
リーダーの下位概念上下ではない。リーダーシップと対等な、組織を成立させるもう一方の力
経験を積めば自然に身につく身につかない。言語化して教える必要がある

#3. フォロワーシップの2軸と4つの段階

フォロワーシップは、次の2軸で捉える。この2軸が、育成の到達度を測る座標軸になる。

重要:これは人を分類するものではない。

以下は「いま自力で回せる範囲」の違いであり、誰もが立ち上がり段階から始まる

能力や性格の優劣を示すものではなく、次に何を伸ばすかを決めるための座標である。

                  自分から関与する
                        ↑
                        │
       【自走段階】      │
    自分で考え、動く      │
                        │
   ─────────────┼─────────────→ 自分の頭で考える
                        │
     【立ち上がり段階】   │   【批評先行】※つまずきやすい分岐
     まず動き方を覚える   │   考えは出るが、行動と代案が伴わない
                        │
                        ↓
                  指示を受けて動く
段階状態組織での現れ方
立ち上がり段階動き方を覚えている最中指示を受けて動く。誰もがここから始まる
実行段階指示があれば正確に動ける指示には忠実。ただし目的から外れても気づきにくい
安定段階求められた範囲を確実にこなす任された分を安定して回せる
自走段階自分の頭で考え、自分から関与する目的を理解して動く。必要なら異論も出す。目指す状態
批評先行考えは出るが、行動と代案が伴わない「それは違うと思う」で止まり、次の一手が出ない

育成の目的は、自走段階に近づいてもらうことである。 ただし、いきなりそこには至らない。立ち上がり段階から始まり、実行段階・安定段階を経て自走段階に至る。これは順序であって、優劣ではない。

#3-1. 育成段階との対応

育成段階目指す状態この段階で伸ばす軸
ティーチング(〜3ヶ月)立ち上がり → 実行段階関与する力(まず動けるようにする)
コーチング(〜6ヶ月)実行 → 安定〜自走段階考える力(自分の頭で判断する)
メンタリング(6ヶ月〜)自走段階の維持・強化両軸の質を上げる

順に伸ばす。同時に求めない。 ティーチング段階で「自分の頭で考えろ」と要求すると、動けなくなってしまう。まず動けるようにし、そのあとで考えてもらう。

気をつけたいのは「批評先行」への分岐である。 考える力だけが先に伸びて関与が伴わないと、指摘は出るが次の一手が出ない状態になる。コーチング段階で「他にどんなやり方がありましたか」と聞いたあと、必ず「では、次はどうしますか」まで進めるのは、この分岐を防ぐためである。これは本人の姿勢の問題ではなく、問いかけの順序で防げる。


#4. マインドサイクル

#4-1. サイクルの定義

人が仕事に向き合うとき、内面では次の6段階が繰り返されている。これをマインドサイクルと呼ぶ。

      ① 受信 ── 指示・状況・情報を受け取る
         ↓
      ② 解釈 ── 「これは何のためか」目的を掴む
         ↓
      ③ 判断 ── どうやるかを決める
         ↓
      ④ 行動 ── 実際に手を動かす
         ↓
      ⑤ 結果 ── 成果と反応を受け取る
         ↓
      ⑥ 内省 ── 何が効いたか、次はどうするかを言語化する
         ↓
      ①へ戻る(次はより速く、より精度高く回る)

フォロワーシップの質は、このサイクルのどこまで自力で回せるかで決まる。

状態自力で回せる範囲対応する段階
指示を受けて動く④(①〜③は教育担当が担う)立ち上がり段階
指示があれば正確に動く③④(②は教育担当が与える)実行段階
目的を掴んで動く②③④安定段階
目的を掴み、振り返り、次に活かす①〜⑥すべて自走段階

#4-2. 育成は「サイクルのどこに介入するか」で設計する

これが本制度の設計思想の中核である。

段階介入するポイント具体的にやること
ティーチング④ 行動手順を示し、やらせ、確認する。②③は教育担当が代行する
コーチング② 解釈 と ③ 判断「どう考えて決めましたか」「他にどんなやり方が」と問う。答えは言わない
メンタリング⑥ 内省隔週1on1で振り返りを促す。①〜⑤には介入しない

つまり、育成が進むとは、教育担当が代行していた工程を、1つずつ本人に返していくことである。

ティーチング期   教育担当: ①②③ / 本人: ④
コーチング期     教育担当: ①     / 本人: ②③④  ※⑤⑥を一緒にやる
メンタリング期   教育担当: なし   / 本人: ①〜⑥すべて

何を返したかを、本人に明示する。 「今日から、やり方はあなたが決めてください」と言葉にして渡す。黙って渡すと、本人は渡されたことに気づかない。

#4-3. サイクルが止まる場所と対処

止まる場所症状対処
① 受信情報が入っていない。共有の場に出てこない情報が届く仕組みを疑う。本人の問題にしない
② 解釈言われたことを言われたままやる。目的がずれる「これは何のためだと思いますか」を毎回聞く
③ 判断決められない。都度確認しに来る選択肢を2つ出させ、どちらか選ばせる。理由を言わせる
④ 行動考えているが手が動かない完璧を求めすぎている。最初の一歩を小さくする
⑤ 結果成果への反応が返ってこない教育担当の責任。 フィードバックを返していない
⑥ 内省やりっぱなし。同じ失敗を繰り返す週次報告に「今週一番迷ったこと」を必ず書かせる

⑤で止まっている場合、原因は本人ではなく教育側にある。反応を返さなければ、内省の材料がない。「特に問題なかった」も立派な反応である。無言は反応ではない。


#5. 「仕上がり」の定義

#5-1. 仕上がりレベル

「一定の水準まで上げる」の一定の水準を、観察可能な行動として5段階で定義する。

Lv呼称状態自力で回せるサイクル判定できる行動
0未着手業務の全体像を知らないなし
1指示遂行指示があれば、手順どおりできるマニュアルを見ながら定型業務を独力で完了できる
2自律遂行指示がなくても、決まった業務を回せる③④月初に自分で予定を組み、そのとおり進める
3目的遂行目的を掴み、状況に応じて判断できる②③④想定外の場面で対応案を2つ以上出し、理由を説明できる
4価値創出目的そのものを問い直し、提案できる①〜⑥「この業務はこう変えたほうがよい」と代案付きで提起する

#5-2. 段階ごとの到達目標

育成段階到達すべきレベル期限
ティーチング卒業Lv.1(Lv.2の入口が見えていれば可)入社3ヶ月
コーチング卒業Lv.3入社6ヶ月
メンタリング開始後Lv.3の安定、その後Lv.4を目指す入社1年〜

#5-3. 会社が保証する仕上がりは Lv.3 まで

ここが本制度における最も重要な線引きである。

レベル誰の責任か会社の関わり方
Lv.0 → Lv.1会社の責任教える。できないのは教え方の問題として扱う
Lv.1 → Lv.2会社の責任教える。仕組みと時間を用意する
Lv.2 → Lv.3会社と本人の共同責任場と問いを用意する。考えるのは本人
Lv.3 → Lv.4本人の責任機会は用意する。育成としては保証しない

Lv.4(価値創出)は、意欲と資質に依存する領域である。会社が全員に対して保証する対象ではない。 ここを保証対象にすると、到達しない人を「育成失敗」として扱うことになり、教育担当も本人も消耗する。

Lv.3で安定していれば、その社員は十分に戦力である。この認識を、教育担当と本人の双方が共有しておく。


#5-4. 理想の仕上がり像

レベル定義は判定のための基準である。しかし基準だけでは、教える側も教わる側も「何を目指しているのか」がつかみにくい。ここでは、入社1年後に到達していてほしい姿を、具体的な行動として描く。

#5-4-1. 一言でいうと

目的を自分で掴み、自分で段取りし、詰まったら早く出せる人。そして、違うと思ったら言える人。

この4つが揃った状態が、本制度の目指す仕上がりである。1つでも欠けると、組織の中で誰かが埋め合わせることになる。

#5-4-2. 具体的な行動としての仕上がり像

場面理想の状態まだ届いていない状態
月初自分で今月の業務量を書き出し、締切から逆算して配置し、超過があれば自分から相談に来る予定を出せと言われてから作る。超過に気づかない
その日の優先順位が自分の中で決まっている何から手をつけるか指示を待つ
指示を受けたとき「これは何のためか」を確認し、目的に合わない点があればその場で指摘する言われたとおりにやる。目的を聞かない
詰まったとき30分で見切りをつけ、試したことと自分の案を添えて持ってくる半日抱え込む、または即座に聞きに来る
判断が必要なとき案を2つ以上出し、「自分はこちらが良いと思う。理由は〜」まで言える「どうすればいいですか」で止まる
失敗したときすぐ報告し、影響範囲を自分で把握してから対処案を出す隠す、または報告が遅れる
遅れそうなとき遅れるに伝え、組み替え案を持ってくる遅れてから、または聞かれてから言う
完了したとき「次に渡せる状態」まで仕上げてから完了とする作業しただけで完了と報告する
他人の仕事自分の完了が誰の着手条件かを把握し、詰まっている人がいれば声をかける自分の担当範囲しか見ていない
異論があるとき「私はこう思います」と代案付きで述べ、決まったら従う黙って従う、または陰で不満を言う
振り返り何が効いたかを自分の言葉で説明でき、次に転用するやりっぱなし。同じ失敗を繰り返す
休むとき前もって申告し、その週の予定を組み替えてから休む当日に伝える、または無理して出てくる

#5-4-3. 仕上がり像に「含めないもの」

理想像を描くとき、次を混ぜないよう注意する。これらは仕上がりの条件ではない。

混ぜてはいけないもの理由
長時間働くこと労働時間は成果でも姿勢でもない。予定内で終える力のほうが上位
明るい・社交的であること性格であり、能力ではない。物静かな模範型フォロワーは普通に存在する
仕事が好きであること内心は求めない領域(6-1章 区分C)。行動が満たされていれば十分
何でも引き受けること引き受けすぎる人は、超過に気づけていないだけの場合がある
質問が少ないこと質問のを見る。件数の少なさは、諦めのサインであることがある

#5-4-4. 1年後の姿の伝え方

この仕上がり像は、入社1週目に本人へ渡す。ゴールを知らせずに走らせない。

伝え方の例:「1年後、こういう状態になっていてほしいと考えています。今すぐできる必要はまったくありません。3ヶ月目、6ヶ月目にどこまで来たかを一緒に確認していきます」

渡したうえで、3ヶ月目・6ヶ月目・1年目の節目に、この表を使って本人に自己評価させる。教育担当の評価と突き合わせ、ずれている項目を次の期間のテーマにする。


#6. 教育の範囲:どこまで会社が教えるか

#6-1. 3つの区分

区分内容会社の対応
A. 会社が教えること業務手順/自社のルールと文化/報告の型/AIの使い方/判断の考え方教える義務がある。 教えていないことを責めない
B. 本人が獲得すること業務に必要な基礎知識の補強/体調と生活の管理/学ぶ姿勢/時間を守る等の社会常識機会と情報は提供する。習得は本人の責任
C. 会社が扱わないこと価値観・人格の変更/私生活への介入/本人の人生設計の代行踏み込まない

Cを明記しておくことが重要である。 育成に熱心な組織ほど、人格や価値観に踏み込みたくなる。しかし、それは教育ではなく干渉であり、関係を壊す。行動は求めてよいが、内心は求めない。

求めてよい:「締切は守ってください」

求めてはいけない:「もっと仕事を好きになってください」

#6-2. Bを本人の責任とする前提条件

Bを本人の責任にできるのは、会社側がAを果たしている場合に限る

  • 教えるべきことを教えたか(記録があるか)
  • 必要な時間を確保したか(週の関与時間を守ったか)
  • 判断基準を言語化して渡したか
  • 反応(フィードバック)を返したか

これらが欠けている状態で「本人の問題」とするのは、責任転嫁である。3人目までの育成では、未達が出たらまず制度側を疑うこと(10_ティーチング_カリキュラム.md 8章)。


#7. 教育をどこまでで区切るか

#7-1. 期間の上限

段階標準上限上限に達したときの扱い
ティーチング3ヶ月4ヶ月(1ヶ月延長まで)7-2の判断へ
コーチング3ヶ月5ヶ月(2ヶ月延長まで)7-2の判断へ

延長は1度まで。 2度目の延長を認めると、期限が意味を失い、教育担当の時間が無制限に消費される。

延長する場合は、必ず次を書面で本人に渡す。

  • なぜ延長するのか(未達の項目)
  • 延長期間中に何をクリアすれば次に進めるのか
  • 支援として会社が追加で行うこと

#7-2. 上限到達時の判断

上限に達しても到達レベルに届かない場合、次の順で検討する。「本人の努力不足」を最初の結論にしない。

検討すること確認方法
1教え方の問題ではないか教えた記録はあるか。関与時間を守れたか。他の人でも同じ結果になるか
2業務との相性の問題ではないか別の業務では力を発揮していないか。得意な領域はどこか
3環境・体調・状況の問題ではないか本人が抱えている事情はないか。1on1で聞けているか
4役割の再設計で解決しないか担当範囲を絞る、Lv.2で完結する業務に寄せる等の選択肢はないか
5上記を尽くしても到達しない場合経営者と本人で今後について協議する

1〜4を尽くさずに5へ進まない。 小規模組織では、教育側の設計ミスが原因であることが実際に多い。

なお、5に至る場合の処遇(配置転換・条件変更など)は労務上の判断を伴うため、就業規則および必要に応じて社会保険労務士等の確認を経ること。本文書は育成の到達基準を定めるものであり、人事処遇を定めるものではない。

#7-3. Lv.3到達後の扱い

Lv.3に到達し安定した時点で、制度としての「育成」は完了とする。以後は次に切り替える。

切り替え前(育成)切り替え後(運用)
教育担当が到達度を管理する本人が自分で目標を立てる
段階の卒業判定がある判定はない。通常の業務評価に統合する
週次・隔週の面談枠がある隔週1on1は継続(進捗管理ではなく支援目的)
会社が到達を保証する機会は提供するが、成長は本人の選択

完了を明示的に伝える。 「育成期間は終わりました。ここからは同僚として一緒にやります」と言葉にする。これがないと、いつまでも育てられる側の意識が抜けない。


#8. フォロワーシップを育てる具体的な働きかけ

類型を上げるために、日常で行うこと。

目的やること
目的を掴ませる(②解釈)指示を出すとき、必ず「何のためか」を一言添える。慣れてきたら「何のためだと思いますか」に変える
考える力を伸ばす質問に答える前に「あなたはどう思いますか」を挟む
関与を促す会議では全員に一言ずつ話す番を回す。発言しやすい順番と量にする
異論を歓迎する異論が出たら、まず「言ってくれてありがとう」と返す。採否はその後
「批評先行」への分岐を防ぐ指摘が出たら「では、あなたならどうしますか」まで必ず聞く
内省を促す(⑥)週次報告に「今週一番迷ったこと」を必須項目にする

異論への最初の反応が、フォロワーシップの育ち方を決める。 一度でも異論を否定的に扱うと、以後は順応型で止まる。「自由な社風」を掲げるなら、ここは特に守ること。


#9. この文書と他文書の関係

文書本文書との関係
00_人材育成制度_全体設計書.md本文書の基準に沿って3段階を設計している
10_ティーチング_カリキュラム.mdマインドサイクル④(行動)への介入。Lv.1到達が目標
20_コーチング_運用ガイド.mdマインドサイクル②③(解釈・判断)への介入。Lv.3到達が目標
30_AIメンタリング_運用ルール.mdマインドサイクル⑥(内省)への介入。Lv.3の安定が目標
40_報告運用ルール.md①受信と⑥内省を仕組みで支える
50_行動規範_権利と義務.mdフォロワーとして果たす義務を明文化したもの

人材育成制度 全体設計書

  • 文書種別: 社内制度設計書
  • バージョン: 1.0
  • 作成日: 2026-07-29
  • 元資料: 社内での方針協議
  • ステータス: 運用開始前ドラフト(要レビュー)

#0. 前提条件

本設計書は、以下の前提で作成している。前提が異なる場合は、該当箇所を読み替えること。

項目前提
会社規模10名以下の小規模組織
主な育成対象新しく入った社員(新卒・中途を問わない)
教育担当専任なし。経営者およびリーダーが本業と兼務で担当する
業務マニュアルほぼ未整備。制度と並行して整備する
社風自由度が高い。ルールより裁量が先行してきた

小規模組織であるため、制度の作り込みよりも「回り続けること」を優先する。運用負荷が高い仕組みは、担当者が忙しくなった瞬間に止まる。本設計は、教育担当が週に使う時間を明確に上限化している。


#1. この制度が解決したい課題

本制度が解決したいのは、次の5つである。いずれも、これまでの誰かの働き方に問題があったという話ではない。 人数が少ないうちは仕組みがなくても回るが、人が増える段階で必ず表面化する構造上の課題である。

#課題放置した場合に起きること
1育成が場当たり的で、到達水準が人によってばらつく「できる人」しか育たない。教える側の負担が属人化する
2何でも人に聞きに来るため、教育コストが下がらない教える側の時間が奪われ続け、本人も考える力がつかない
3進捗が見えず、遅れの発見が遅い月末になって初めて未達が発覚する
4休暇・出社困難などのイレギュラー時の調整方法が決まっていない都度その場対応となり、不公平感と混乱が生まれる
5自社の文化やルールが言語化されていない「自由」が「何をしてもいい」と誤解され、権利主張だけが残る

#2. 制度の全体像

本制度は、育成の3段階と、それを支える4つの土台で構成する。全体の拠り所となる考え方は、フォロワーシップである。

【前提となる考え方】
  フォロワーシップ         どこまでを会社が教え、どこからを本人の責任とするか
                          → 仕上がりをLv.1〜4で定義し、会社の保証範囲をLv.3までとする
                             (05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md)

【育成の3段階】
  第1段階 ティーチング     入社〜3ヶ月     教える     → 一定水準まで引き上げる(Lv.1)
  第2段階 コーチング       3〜6ヶ月目      引き出す   → 自律的に動ける(Lv.3)
  第3段階 メンタリング     6ヶ月目〜継続   支える     → AI併用で自走を維持する

【4つの土台】(全段階を通じて常時運用)
  土台A 報告運用           予定・現状・完了の3軸で進捗を可視化する
  土台B AIファースト原則   まずAIに聞く。人には意思決定だけを持ち込む
  土台C 行動規範           権利と義務のバランスを言語化し、文化を定着させる
  土台D なりたい姿         本人が「どうなりたいか」を提示し、それを起点に自ら頑張る

【続けるための補助】習慣化カード(47・48)
  1日1スタンプ/休んだ日は途切れない/評価には使わない

3段階は「教える → 引き出す → 支える」と、教育担当の関与度が段階的に下がっていく設計である。第1段階で最も時間を使い、第3段階では最も時間を使わない。これが成立しないと、教育コストは永久に下がらない。

#2-1. 設計の中核となる考え方

本制度は、次の2点を土台にしている。先に 05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md を読むこと。

考え方内容
マインドサイクル人は「受信 → 解釈 → 判断 → 行動 → 結果 → 内省」を繰り返している。育成とは、教育担当が代行していた工程を1つずつ本人に返していくことである
仕上がりレベル到達度をLv.0〜4で定義する。会社が保証するのはLv.3まで。Lv.4(価値創出)は本人の領域であり、70_なりたい姿の宣言と目標運用.md がその橋になる

各段階が、マインドサイクルのどこに介入するかは次のとおりである。

段階介入する工程目標レベル
ティーチング④ 行動Lv.1(指示遂行)
コーチング② 解釈・③ 判断Lv.3(目的遂行)
メンタリング⑥ 内省Lv.3の安定 → Lv.4へ

#3. 育成の3段階

#3-1. 第1段階:ティーチング(入社〜3ヶ月)

項目内容
目的業務遂行に必要な一定の水準(Lv.1)までスキルを引き上げる
方法マニュアルに沿った基礎教育。手順を示し、やらせ、確認する
教育担当の関与週2〜3時間(初月は週4〜5時間)
進め方の原則「見せる → 一緒にやる → やらせて見る → 任せる」の4ステップ
到達ゴール定型業務を、マニュアルを見ながら独力で完了できる
並行して行うことその人に合う教え方を見つける15_見極めガイド_最初の3ヶ月.md
詳細10_ティーチング_カリキュラム.md

この段階では、プロセスより先に「型」から入ってもらう。自分なりのやり方を扱うのは、コーチング段階からである。

同時に、この3ヶ月で本人の傾向をつかむ。情報の受け取り方、詰まったときの反応、指摘の受け止め方には人によって違いがあり、これを早くつかめれば教え方を変えられる。つかまないまま3ヶ月が過ぎると、「本人の問題」として片付けられてしまう。これは人物の分類ではなく、教え方を変えるために行う(詳細は 15_見極めガイド_最初の3ヶ月.md)。

#3-2. 第2段階:コーチング(3〜6ヶ月目)

項目内容
目的自分で気づき、自律的かつ有機的に動ける状態にする
方法週半日を確保し、問いかけ中心の対話を行う。答えを与えない
期間2〜3ヶ月(本人の状態により調整可)
教育担当の関与週半日(3〜4時間)を上限とする
評価の視点結果だけでなくプロセスを重視する
到達ゴールイレギュラーな場面でも、自分で判断の候補を出せる
詳細20_コーチング_運用ガイド.md

「週半日」は本人の作業時間ではなく、教育担当が本人のために空ける時間である。この時間を守れないなら、コーチング開始を遅らせるほうがよい。中途半端な着手は、本人に「放置された」印象だけを残す。

#3-3. 第3段階:メンタリング・フォローアップ(6ヶ月目〜)

項目内容
目的自走状態を維持し、支援が必要なタイミングだけを拾う
方法日常のフォローの約半分をAIで代替する
教育担当の関与隔週30分の1on1+随時のエスカレーション対応のみ
到達ゴール人への確認が「意思決定事項のみ」に絞られている
詳細30_AIメンタリング_運用ルール.md

#4. 3つの土台

#4-1. 土台A:報告運用(予定・現状・完了)

進捗は、次の3軸で必ず報告させる。1軸でも欠けると管理は成立しない。

意味報告タイミング
予定今月やらなければならない業務量と、その配分月初
現状実際の進行状況。予定に対する差分週次
完了終わったこと。次に渡せる状態か都度・週次

この3軸をカレンダー上で可視化することで、本人が自分の担当範囲の全体像を俯瞰できる状態をつくる。視座を高くするのは、説教ではなく可視化によって行う。

詳細は 40_報告運用ルール.md、様式は templates/01_週次報告シート.md および templates/04_月次カレンダー運用シート.md を参照。

#4-2. 土台B:AIファースト原則

「わからないこと」を、いきなり人に聞かせない。次の順序を必ず通す。

① 自分で調べる(マニュアル・過去資料)
        ↓ 解決しない
② AIに聞く(前提と試したことを添えて)
        ↓ 解決しない・または判断が必要
③ 人に聞く(AIの回答と、自分の考えをセットで持ち込む)

③に来るときは、「自分はこう考えた」を添えてもらう。添えられていない場合は、「その部分だけ考えてから、もう一度来てください」と、何を足せばよいかを具体的に伝える。目的は突き放すことではなく、考える習慣を身につけてもらうことにある。冷たく突き返さない。

一方で、次の3種は最初から人に聞いてよい(AIを経由させない)。ここを曖昧にすると事故が起きる。

  • 顧客・金銭・契約に関わる判断
  • 会社としての方針・優先順位の決定
  • 本人の心身の不調、人間関係の悩み

詳細は 30_AIメンタリング_運用ルール.md

#4-3. 土台C:行動規範(権利と義務)

自由な社風を維持するために、権利と義務がセットであることを明文化する。

自由とは、「何をしてもよい」ことではなく、「果たすべきことを果たした人が、やり方を選べる」状態を指す。

これまで経験と暗黙の了解に頼ってきた部分を言語化し、全員が参照できる共通の型として共有する。詳細は 50_行動規範_権利と義務.md

#4-4. 土台D:なりたい姿の宣言

会社が用意したゴール(Lv.1〜3)だけで走らせると、頑張る理由を会社が供給し続ける必要がある。小規模組織には、その人手がない。

そこで、本人に「自分がどうなりたいか」を提示してもらい、それを起点に動いてもらう。

仕組み内容
入社1週目本人が「なりたい姿」を書く(1年後・3年後・その先)
入社2週目教育担当と読み合わせ、会社の期待と重ねる(重なる/本人だけ/会社だけ の3領域)
毎月月初の予定づくりで、なりたい姿に近づく項目を1つだけ入れる
3ヶ月ごと見直す。変わってよい

「特にない」も許容する。 無理に書かせると、その場しのぎの目標が生まれ、対話が空回りする。また、この宣言を人事評価に使わない。評価されると分かった瞬間、会社が望む答えを書くようになり、燃料としての機能が消える。

詳細は 70_なりたい姿の宣言と目標運用.md、様式は templates/08_なりたい姿シート.md


#5. 全体スケジュール(標準モデル)

時期段階本人の状態教育担当の週あたり時間主な確認事項
1ヶ月目ティーチング教わりながらやる4〜5時間出退勤・報告習慣・基本ルールの定着
2ヶ月目ティーチング見ながら独力でやる3時間定型業務の手順遵守
3ヶ月目ティーチング独力で完了できる2時間卒業判定(下記6章)
4ヶ月目コーチング自分で考える週半日プロセスの言語化
5ヶ月目コーチング自分で選ぶ週半日判断候補を複数出せるか
6ヶ月目コーチング自分で決めて動く週半日卒業判定(下記6章)
7ヶ月目〜メンタリング自走する隔週30分エスカレーションの質

期間は目安である。ただし、延長する場合は「なぜ延ばすのか」「延長中に何をクリアすれば次に進むのか」を本人に必ず伝えること。理由なき延長は、本人の不信につながる。


#6. 段階の卒業判定基準

各段階の終了時に、教育担当が下表で判定する。すべて「はい」でなければ次段階に進めない。

#6-1. ティーチング卒業判定(3ヶ月目)

  • 担当する定型業務を、マニュアルを見ながら独力で完了できる
  • 予定・現状・完了の3軸報告を、催促なしで提出している
  • 質問時に「自分で調べたこと・AIに聞いたこと」を添えられている
  • 就業ルール(勤怠・連絡・締切)を守れている
  • 自分がわからないことを、わからないと言える

最後の1項目は軽視されがちだが、最も重要である。ただしこれは本人の性格を問う項目ではなく、「わからないと言える関係ができているか」を確認する項目である。 言い出しにくい状態のまま次の段階に進むと、本人が一人で抱え込むことになる。満たせていない場合、まず教育担当側の接し方を点検すること。

#6-2. コーチング卒業判定(6ヶ月目)

  • 想定外の場面で、自分なりの対応案を2つ以上出せる
  • 判断の理由を、結果ではなくプロセスで説明できる
  • 月の業務量を自分で俯瞰し、前倒し・後回しの判断ができる
  • 人へのエスカレーションが、意思決定事項に絞られている
  • 自分の担当範囲外の動きにも関心を持ち、必要な連携ができる

#7. 運用体制と役割

小規模組織のため、役割は最小限に絞る。

役割担当責任範囲
制度オーナー経営者制度の維持・改定、卒業判定の最終承認
教育担当リーダーまたは経営者日々の指導、週次の面談、報告の受領
本人育成対象者報告の提出、AIファースト原則の遵守、学習の記録

教育担当は1名に固定する。 複数人が交代で見ると、言うことが変わり、本人が混乱する。相談相手を増やすのは、コーチング段階に入ってからでよい。


#8. 導入ステップ(この制度の始め方)

制度は、次の順序で立ち上げる。全部を同時に始めない。

ステップ実施内容目安期間関連文書
STEP 0経営者と教育担当で、仕上がりの定義と教育範囲を確認する2〜3時間05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md
STEP 1行動規範を言語化し、全社員で読み合わせる1週間50_行動規範_権利と義務.md
STEP 2報告運用(3軸)を全社員で開始する即日〜40_報告運用ルール.md
STEP 3AIファースト原則を全社員で開始する即日〜30_AIメンタリング_運用ルール.md
STEP 4なりたい姿シートを全社員で記入・読み合わせする2週間70_なりたい姿の宣言と目標運用.md
STEP 5業務マニュアルの骨組みを作る(まず3本)2〜4週間60_マニュアル整備の進め方.md
STEP 6次の入社者からティーチングと見極めを正式運用する入社日〜10_15_

STEP 1〜4は既存社員も対象である。新人だけにルールを課し、既存社員が守らない状態は、制度そのものを無効化する。文化の定着は、先にいる人から始まる。

STEP 0を飛ばさない。 「どこまでを会社が教え、どこからを本人の責任とするか」を決めないまま走り出すと、教育担当が際限なく面倒を見ることになるか、逆に突然突き放すことになる。


#9. イレギュラー対応の方針

休暇・体調不良・出社困難など、計画通りに進まない場面は必ず発生する。都度判断ではなく、事前に決めた方法で処理する。

状況対応の原則
事前にわかっている休暇前週までに申告し、その週の予定を組み替えて提出する
当日の体調不良・急な事情始業前に連絡。その日の予定は教育担当が引き取るか、翌日以降に再配置する
出社困難だが業務は可能基本は出社とするが、やむを得ない場合は自宅作業を認める(下記9-1章)
育成段階の一時中断2週間以上の中断は、段階の期間を中断日数分だけ後ろ倒しする

重要なのは、「調整してよい」と明示することである。調整できないと思い込むと、無理をするか、黙って遅れる。どちらも組織にとって損失となる。

様式は templates/05_イレギュラー申請シート.md を参照。

#9-1. 自宅作業(在宅)の考え方

基本は出社とする。 10名以下の組織では、すれ違いざまの確認、詰まりが見えること、雑談から出る情報といった要素で業務が回っている部分が大きい。

ただし、子どもの急な事情など、やむを得ない場合は自宅作業を認める。 遠慮させない。

自宅作業が成立するには、次の両方が必要である。

前提内容
① 自分のリソースを自分で処理できるLv.2(自律遂行)以上。在宅では誰も声をかけない。詰まりを自分で気づき、自分から出せることが必要
② 今すぐ進めるべき業務が明確にある納期が迫っている等。「休むと間に合わないものがある」から場所を変えて進める、という手段である

前提が揃わない場合は、無理に働かず休む。 急ぎの仕事がないのに看病しながら中途半端に働くと、どちらも中途半端になる。休んで予定を組み替えるほうが、結果的に速い。

育成段階による扱いは次のとおり。

段階自宅作業理由
ティーチング期原則不可(出社できないなら休む「見せる・一緒にやる」が成立しない
コーチング期条件付きで可前提①のチェックリストで教育担当が判断
メンタリング期・既存社員前提②を満たせば本人判断に任せる

申請したことを評価上不利に扱わない。 不利に扱うと、無理をして出社するか、黙って休むようになる。

詳細は 55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md


#10. 制度の見直し

見直しタイミング実施内容
育成対象者が1名卒業するたび実際にかかった時間と、つまずいた箇所を記録し、カリキュラムに反映する
半年に1回制度全体の運用状況を確認し、形骸化した項目を削除する

項目を増やすより、機能していない項目を削ることを優先する。 小規模組織では、守れないルールが1つあるだけで、他のルールまで守られなくなる。


#11. 関連文書一覧

#制度文書

文書内容読む順
05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md最初に読む。 仕上がりの定義、マインドサイクル、教育の範囲と打ち切り基準1
00_人材育成制度_全体設計書.md本文書。制度の全体像2
10_ティーチング_カリキュラム.md入社〜3ヶ月の教育内容と週次スケジュール3
15_見極めガイド_最初の3ヶ月.mdその人に合う教え方を見つける(人物の分類ではない)4
20_コーチング_運用ガイド.md週半日の面談の進め方、問いかけ集5
30_AIメンタリング_運用ルール.mdAIファースト原則、エスカレーション基準6
40_報告運用ルール.md予定・現状・完了の3軸報告の運用7
45_面談・報告スケジュール.md面談の曜日・時刻・頻度、段階別の時間割、年間カレンダー8
47_習慣化カード_スタンプの運用ルール.md報告を習慣にする補助の仕組み。休んでも途切れない設計9
48_習慣化の心理学_背景となる考え方.md7つの習慣ほか、習慣化の8つの教訓と設計への反映10
50_行動規範_権利と義務.md自社文化の言語化、守るべきルール11
55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md基本は出社とする理由、自宅作業の2つの前提、段階別の可否12
60_マニュアル整備の進め方.md未整備のマニュアルを作る手順13
70_なりたい姿の宣言と目標運用.md本人の動機を起点に自走させる仕組み14
91_勤怠・申請の運用(マネーフォワード).md打刻・休暇申請・経費精算のワークフロー(自社固有随時

#様式(templates/)

様式誰が使うかいつ使うか
01_週次報告シート.md本人毎週
02_1on1面談シート.md教育担当週1回/隔週1回
03_ティーチング進捗チェックリスト.md教育担当入社〜3ヶ月
04_月次カレンダー運用シート.md本人月初・月末
05_イレギュラー申請シート.md本人休暇・体調不良・出社困難時
06_見極め観察シート.md教育担当入社〜3ヶ月
07_手順書テンプレート.md本人(教わった人が書く)業務を教わった当日
08_なりたい姿シート.md本人入社時・3ヶ月ごと
09_習慣化カード.md本人毎日(印刷して机に置く)

第1段階:ティーチング カリキュラム(入社〜3ヶ月)

  • 対象: 新しく入った社員(新卒・中途)
  • 期間: 入社日〜3ヶ月
  • 目的: 業務遂行に必要な一定の水準までスキルを引き上げる
  • 教育担当の関与時間: 週4〜5時間(1ヶ月目)→ 週2時間(3ヶ月目)

#1. この段階の考え方

ティーチングは「教える」段階である。まずは型のとおりにやってもらう。 一定水準まで引き上げることだけに集中する。

「なぜこうするのか」を本人が納得しないまま進むことを恐れなくてよい。理由の理解は、コーチング段階で扱う。この段階で理由を延々と説明すると、時間だけがかかり、手が動くようにならない。

ただし、「これは決まりだから今は型どおりにやってほしい。理由は3ヶ月目以降に一緒に考える」とは伝える。 説明しないことと、説明しない理由すら伝えないことは違う。


#2. 教え方の4ステップ

すべての業務を、次の4ステップで教える。ステップを飛ばさない。

ステップやること教育担当本人
① 見せる実際にやって見せる。手順書を見ながら実演する実演する見て、メモを取る
② 一緒にやる隣で口頭で指示しながらやらせる逐次指示する指示どおり手を動かす
③ やらせて見る本人にやらせ、黙って見る。終わってから指摘する見守る・後で指摘独力でやる
④ 任せる任せて、成果物だけ確認する結果を確認する独力で完了させる

②から④へ飛ばさない。 「一度説明したからできるはず」は、教える側の願望である。③を挟まないと、どこでつまずいているかが永久に見えない。

各業務が今どのステップにあるかは、templates/03_ティーチング進捗チェックリスト.md で管理する。


#3. 3ヶ月の全体設計

時期テーマ到達状態教育担当の関与
1週目会社を知る・環境を整える出社し、業務を開始できる毎日1時間
2〜4週目基本の型を身につける①②中心。指示があれば動ける週4〜5時間
2ヶ月目手順書を見ながら独力でやる③中心。つまずきを自覚できる週3時間
3ヶ月目任せられる範囲を広げる④中心。定型業務は独力で完了週2時間

#4. 週次カリキュラム

#4-1. 1週目:会社を知る・環境を整える

初週は業務スキルではなく、土台の3つ(報告・AIファースト・行動規範)を先に入れる。ここを後回しにすると、後から矯正するコストのほうが高くつく。

Day内容確認方法
1日目会社の事業・お客様・自分の役割の説明/行動規範の読み合わせ本人の言葉で「この会社は何をしている会社か」を説明させる
2日目業務環境のセットアップ(PC・アカウント・ツール・保存場所ルール)実際にファイルを1つ作らせ、正しい場所に保存させる
3日目報告運用の説明(予定・現状・完了の3軸)/報告シートの使い方当日分の報告を実際に書かせる
4日目AIファースト原則の説明/AIへの質問の仕方を実演実際の疑問を1つ、AIに聞かせて結果を報告させる
5日目1週目の振り返り/担当業務の全体像の説明1週間で分かったこと・分からないことを3つずつ挙げさせる

1日目の行動規範の読み合わせは、必ず対面で行う。 文書を渡して「読んでおいて」で済ませると、定着しない。

#4-2. 2〜4週目:基本の型を身につける

項目内容
進め方担当業務を1つずつ、4ステップの①②を中心に教える
1日の流れ朝:その日の予定を口頭で確認 → 業務 → 夕方:完了報告(10分)
週次面談週1回30分。今週やったこと・つまずいたこと・来週やることを確認
到達目標担当業務の一覧が本人の頭に入っており、指示があれば動ける

この時期に、教育担当は「教えた業務」を必ず記録する。記録がないと、3ヶ月目に「これは教えたはず/教わっていない」の水掛け論になる。記録は templates/03_ティーチング進捗チェックリスト.md に残す。

#4-3. 2ヶ月目:手順書を見ながら独力でやる

項目内容
進め方4ステップの③に移行。やらせて、黙って見る
重要な原則途中で口を挟まない。 明らかな失敗が起きる直前まで待つ
例外顧客に影響が出る/金銭が動く/データが消えるものは、直前で止める
夕方の報告完了報告に加え、「詰まったところ」を1つ以上挙げさせる
週次面談週1回30分。詰まりの傾向を見る

「詰まったところがありません」という報告が続く場合は、難易度が低すぎるか、言い出しにくい状態になっているかのどちらかである。責める前に、どちらなのかを確認する。

#4-4. 3ヶ月目:任せられる範囲を広げる

項目内容
進め方4ステップの④に移行。成果物だけを確認する
報告の変化日次の口頭確認をやめ、週次報告シートに集約する
追加テーマ月の業務量を自分で俯瞰させる(予定の作成を自分でやらせる)
月末卒業判定を実施(00_人材育成制度_全体設計書.md 6-1章)

#5. 教える内容の洗い出し方

マニュアルが未整備の段階では、まず「教えるべきことのリスト」を作る。完璧なマニュアルを先に作ろうとすると、いつまでも着手できない。

手順は次のとおり。

  1. 教育担当が、自分の1ヶ月の業務をすべて書き出す(30分・箇条書きでよい)
  2. その中から、新人に渡す業務に印をつける
  3. 印をつけた業務を、次の3分類に振り分ける
分類定義ティーチングでの扱い
定型業務毎回同じ手順で完了する最優先で教える。 マニュアル化も最優先
半定型業務手順はあるが、状況で判断が入る2ヶ月目以降に教える。判断部分はコーチングで扱う
非定型業務都度考える必要があるこの段階では教えない
  1. 定型業務から順に、教えながらマニュアルを作る(詳細は 60_マニュアル整備の進め方.md

マニュアルは本人に書かせる。 教わった人が書いたほうが、次の人にとって分かりやすい。教育担当は添削だけを行う。これで教育担当の負担が下がり、本人の理解度も測れる。


#6. つまずきやすい場面と、教える側の対応

起きやすい場面背景にあること教える側の対応
同じことを何度か聞かれるメモの取り方が身についていない/見返す習慣がないメモの取り方から教える。 同じ質問には「前回どうメモしたか」を一緒に確認する
質問が出てこない(実は詰まっている)聞いてよいか分からない/迷惑をかけたくない「詰まらないほうが普通ではない」と伝え、日次で1件挙げる枠を用意する
報告が出てこない何のための報告か腹落ちしていない催促ではなく、報告があると本人にどう役立つかを具体的に伝える
自分のやり方で進めたくなる前職での経験や、自分なりの工夫がある「3ヶ月は型どおり。4ヶ月目から一緒に改善する」と期限を切って伝える
進捗が遅れている業務量の見積もりがまだ難しい責めずに、見積もりの立て方を一緒にやり直す

中途入社の方への配慮:前職のやり方を持っている人ほど、型に合わせることへの戸惑いが大きい。「あなたのやり方が悪いのではなく、まず当社の型を知っていただく必要がある」と、人ではなく手順の話であることを明確に伝える。3ヶ月後には、その経験を活かしてもらう場面が来る。


#7. 教育担当のためのチェックリスト(週次)

毎週、教育担当が自分で確認する。

  • 今週、本人と話す時間を実際に確保できたか
  • 教えた業務を記録に残したか
  • 本人から報告が出てきたか(催促していないか)
  • 4ステップのどこにいるかを把握しているか
  • 詰まりの報告が上がってきているか
  • 自分が答えを言いすぎていないか(2ヶ月目以降)

#8. 卒業判定

3ヶ月目末に、00_人材育成制度_全体設計書.md 6-1章の判定基準で確認する。

判定は本人の同席のもとで行う。 一方的に「合格/不合格」を通知するのではなく、各項目について本人の自己評価と教育担当の評価を突き合わせる。ずれている項目こそ、次段階で扱うべきテーマになる。

判定の結果は3つ。

結果対応
合格コーチング段階へ移行する
一部未達未達項目を明示し、1ヶ月延長する。何をクリアすれば進めるかを書面で渡す
大幅未達カリキュラム側の問題を先に疑う。教える量・順序・時間配分を見直す

3人目までは、到達しない項目が出たらまず制度側を見直すこと。小規模組織では、育成される側の問題より、育成する側の設計不足であることのほうが多い。

見極めガイド:最初の3ヶ月で「その人に合う教え方」を見つける

  • 対象: 入社〜3ヶ月の育成対象者
  • 実施者: 教育担当
  • 目的: 本人の傾向を早めにつかみ、教え方をその人に合わせて調整する
  • 位置づけ: 10_ティーチング_カリキュラム.md と並行して実施する

#1. なぜ最初の3ヶ月で見極めるのか

同じカリキュラムを与えても、伸び方は人によって違う。その多くは能力の差ではなく、情報の受け取り方・詰まったときの反応・指摘の受け止め方の違いによる。

この違いを早くつかめれば、教え方を変えられる。つかまないまま3ヶ月が過ぎると、次が起きる。

つかまなかった場合結果
教え方が全員一律のまま合わない人だけが伸びず、「本人の問題」として片付けられる
困りごとのサインを見逃す一人で抱えやすい人が、誰にも気づかれないまま行き詰まる
コーチングの入り方を誤るまだ準備が整っていない段階で答えを求め、動けなくしてしまう

見極めは、評価のためではなく、教え方を変えるために行う。 ここを間違えないこと。


#2. 見極めの5原則

この5つを守れない場合、見極めはやらないほうがよい。ラベル貼りは、育成にとって害になる。

#原則内容
1合否や評価に使わない傾向は対話と教え方の調整に使う。人事評価の根拠にしない
2決めつけない3ヶ月で見えるのは傾向であり、その人の全部ではない。仮説として扱う
3事実で記録する「おとなしい」ではなく「〇月〇日、詰まってから3時間報告がなかった」と書く
4本人に開示する3ヶ月目に本人へ伝える。裏で持ち続けない
5環境要因を先に確認する質問が出ないのは、本人の性格ではなく聞きにくい空気のせいかもしれない

原則5が最も見落とされる。新しく入った人の行動の多くは、こちらの接し方が形づくっている。 見極める前に、自分の接し方を点検すること。


#3. 見極めの5観点

観察するのは、次の5点に絞る。多く見ようとすると、結局どれも見えない。

#観点① 情報の受け取り方

見るポイント現れ方
何で理解するか口頭説明/手順書/実演/自分でやってみる、のどれで一番入るか
メモの取り方取るか。取ったものを見返すか。構造化されているか
一度に入る量3つ伝えると3つ目が抜けるか。複数を保持できるか
質問のタイミングその場で聞くか。持ち帰って整理してから聞くか

確認方法:同じことを違う方法で2回教え、どちらの後に手が動いたかを見る。

#観点② 詰まったときの反応

最も重要な観点。 ここが見えていないと、困りごとに早く気づけない。

見るポイント現れ方
詰まってから声を上げるまでの時間5分か、30分か、半日か
詰まったことを言えるか「大丈夫です」と言うか、そのまま出せるか
詰まったときの態度焦る/固まる/飛ばして先へ進む/別のことを始める
助けを求める相手教育担当か、同僚か、誰にも言わないか

確認方法:あえて答えを渡さず、少しだけ難しい業務を与えて観察する。ただし顧客・金銭・データに影響しない範囲に限る。

#観点③ 指摘の受け止め方(フィードバック耐性)

見るポイント現れ方
指摘された直後の反応受け止める/先に理由を説明する/黙り込む/強く落ち込む
指摘後の行動次から直る/同じことを繰り返す/萎縮して手が止まる
指摘の質による差手順の指摘は平気だが、考え方の指摘に弱い、等
人前と個別での差人前で指摘されると態度が変わるか

確認方法:1ヶ月目に、軽微な指摘を意識的に1回行い、その後1週間の行動を見る。

#観点④ 時間と段取り

見るポイント現れ方
見積もりの精度楽観的すぎる/悲観的すぎる/おおむね合う
着手の速さすぐ始める/準備しすぎて始まらない/締切直前に始める
完成度の基準8割で出す/100%まで抱える/どこで完成か判断できない
並行処理複数を並行できる/1つずつでないと崩れる

確認方法:期限つきの業務を3つ与え、どう順序づけたかを聞く。

#観点⑤ 人との関わり方

見るポイント現れ方
発言量会議・雑談で自分から話すか
確認の取り方事前に確認するか/事後報告になるか
影響の意識自分の遅れが誰に響くかを気にするか
距離感近すぎる/遠すぎる/状況で変えられる

#4. 4つの傾向と、教え方の調整

観点②(詰まったときの反応)と観点③(指摘の受け止め方)を軸に、教え方を切り替えるための4区分を置く。

これは人格の分類ではない。

「いまこの人には、どんな関わり方が合っているか」を決めるための道具である。

どれが優れている・劣っているという順位はない。同じ人でも、環境や時期によって変わる。

                詰まりを早く出せる
                       ↑
                       │
     【承認先行タイプ】  │     【自走タイプ】
  出せるが、指摘に敏感   │   出せる。指摘も受け止める
                       │
   ────────────┼────────────→ 指摘を受け止めやすい
                       │
     【遠慮タイプ】      │    【自己完結タイプ】
  出しにくく、指摘にも敏感 │   出さないが、自分で解決する
                       │
                       ↓
                詰まりを一人で抱えやすい
傾向見え方気をつけたいこと教え方の調整
自走タイプ詰まりを早く出し、指摘も受け止める手を離しすぎると孤立しやすい標準カリキュラムでよい。早めに任せる範囲を広げる
承認先行タイプ報告は出るが、指摘に敏感萎縮して手が止まりやすい指摘の前に必ず「できている点」を具体的に挙げる。 個別の場で伝える
自己完結タイプ抱えるが、自力で解決してしまう解決の経緯が共有されず、次の人に残らない「解決したか」ではなく「どう解決したか」を毎回聞く。30分ルールを丁寧に運用する
遠慮タイプ詰まりを出しにくく、指摘にも敏感表面上は順調に見えるため、気づくのが遅れやすい詰まりの報告を仕組みに組み込む。日次で1つ挙げてもらう形にする

遠慮タイプは、その人に問題があるのではない。 「聞いてよいのか分からない」「迷惑をかけたくない」という気遣いが背景にあることがほとんどである。3ヶ月目になって初めて困りごとが見えてくることが多いため、1ヶ月目のうちに、本人が言い出さなくても済む形(日次で1件挙げる枠)を用意しておく。

この傾向が出ているときは、まず教育担当側の接し方を点検すること(本文書 7章)。聞きにくい空気は、教える側がつくっていることが多い。

#4-1. どのタイプでも変えないこと

タイプに合わせて調整するのは、伝え方・頻度・確認の仕方だけである。次は誰に対しても変えない。

  • 到達すべき水準(Lv.1〜Lv.3)
  • 守るべきルール(勤怠・報告・行動規範)
  • 期間の上限(05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md 7-1章)

基準を人によって下げない。 下げると、本人が「自分は期待されていない」と気づく。伝え方は変えてよいが、ゴールは同じである。


#5. 3ヶ月の見極めスケジュール

時期やること出すもの
1ヶ月目:観察5観点をひたすら事実で記録する。判断しない事実メモ(週1回、5分でよい)
2ヶ月目:仮説記録から傾向の仮説を立て、教え方を1つ変えて試す仮説と、変えた教え方
3ヶ月目:検証と共有仮説が当たっていたかを検証し、本人に伝える見極めシート/本人との対話

記録様式は templates/06_見極め観察シート.md を使う。

#5-1. 1ヶ月目:判断せず記録するだけ

この月に結論を出さない。 入社直後は誰でも緊張しており、普段のクセが出ていない。

記録は事実だけを書く。

❌ 書かないこと(評価・印象)✅ 書くこと(観察できた事実)
おとなしい3日間、自分から質問が0件
飲み込みが早い手順を1回見せたら、次から独力でできた
指摘に弱い手順の誤りを指摘した翌日、質問件数が0になった
段取りが悪い3件の締切のうち、一番遠いものから着手した

#5-2. 2ヶ月目:仮説を立てて、教え方を1つ変える

記録が溜まったら、仮説を立てる。そして教え方を1つだけ変えて試す。 複数を同時に変えると、何が効いたか分からなくなる。

仮説の例変えてみること効果の確認
口頭より手順書のほうが入る説明を減らし、先に手順書を渡す質問件数・やり直し回数が減るか
指摘に敏感(承認先行タイプ)指摘の前に、できている点を2つ挙げる翌週の報告量が戻るか
一人で抱えやすい(遠慮・自己完結タイプ)日次で「詰まったこと1件」を挙げる枠を用意する実際に出てくるか
見積もりが楽観的見積もりを本人に出させ、実績と比較して見せる3回目以降に精度が上がるか

#5-3. 3ヶ月目:本人に伝える

卒業判定(10_ティーチング_カリキュラム.md 8章)と同じ場で、見極め結果を本人に伝える。

伝え方の原則

原則具体的に
事実から入る「〇月にこういう場面がありました」と、まず記録を示す
決めつけない「〜という傾向があるように見えますが、どう思いますか」と問いにする
本人の自覚とすり合わせる本人が自覚していれば話は早い。していなければ、そこが次のテーマ
良し悪しにしない「抱え込むのは悪い」ではなく「抱え込むと、この場面でこう困る」と影響で語る
次の期間の約束にする「では、コーチング期間はここを一緒に見ていきましょう」と接続する

伝え方の例:「3ヶ月見ていて、詰まってから声を上げるまでが少し長いように感じました。5月の〇〇の件では3時間ほど止まっていましたね。ご自身では、どう感じていますか」

本人が否定した場合は、押し切らない。 「では、次の3ヶ月で一緒に確認しましょう」と保留にする。仮説であって、事実認定ではない。


#6. 見極めた内容の使い方

使ってよい使ってはいけない
教え方・伝え方の調整人事評価・処遇の根拠
コーチング段階のテーマ設定本人のいないところでの人物評
業務の割り当ての工夫「あの人はこういうタイプだから」という決めつけ
本人との対話のきっかけ他の社員への共有(本人の同意なく)

#6-1. 記録の扱い

  • 見極めシートは、教育担当と経営者のみが閲覧する
  • 本人には3ヶ月目に開示する(隠して持たない)
  • コーチング卒業(6ヶ月目)をもって、記録としての役割は終える
  • 以後は、本人との対話の中で更新していく

#7. 教育担当が自分を点検するチェックリスト

見極めの前に、自分の側を確認する。ここが崩れていると、観察結果はすべて歪む。

  • 質問しやすい態度で接しているか(忙しそうにしていないか)
  • 質問されたとき、手を止めて聞いているか
  • 「そんなことも分からないのか」という反応をしていないか
  • 教えた記録を残しているか(教えていないことを求めていないか)
  • 良い点を言葉にして伝えているか(指摘だけになっていないか)
  • 週の関与時間を実際に確保できているか

「質問が出ない」の原因の半分は、この6項目のどれかにある。

第2段階:コーチング 運用ガイド(3〜6ヶ月目)

  • 対象: ティーチングを卒業した社員
  • 期間: 2〜3ヶ月(標準:4ヶ月目〜6ヶ月目)
  • 目的: 自分で気づき、自律的かつ有機的に動ける状態にする
  • 教育担当の関与時間: 週半日(3〜4時間)を上限とする

#1. この段階の考え方

コーチングは「引き出す」段階である。答えを言わない。

ティーチングでは、教育担当が答えを持っていて、それを渡していた。コーチングでは、答えは本人の中にあるという前提で進める。教育担当の役割は、問いを投げ、本人が自分で言葉にするのを待つことだけである。

この切り替えは、教える側にとって難しい。理由は単純で、答えを言ったほうが早いからである。しかし、早く終わらせた分だけ、本人が考える機会は失われる。3ヶ月間、意識的に我慢する必要がある。

#1-1. ティーチングとの違い

観点ティーチングコーチング
主導権教育担当本人
話す割合教育担当8:本人2教育担当2:本人8
扱うもの手順・型判断・考え方
評価対象結果(できたか)プロセス(どう考えたか)
失敗の扱い事前に止める影響が小さい範囲では、あえてやらせる
進め方まずは型のとおりに自分なりのやり方を歓迎する(理由を説明できる限り)

#2. 週半日の使い方

「週半日」は、教育担当が本人のために空ける時間である。分割せず、まとまった時間として確保する。 15分×6回では対話にならない。

#2-1. 標準的な半日の構成(3.5時間の例)

時間内容進め方
30分週次の振り返り面談報告シートをもとに、本人に話させる
90分実務の同席・伴走本人が業務を進めるのを横で見る。口を挟まない
60分対話(テーマ深掘り)その週のテーマについて問いかけ中心の対話
30分次週の予定づくり本人に組ませ、教育担当は質問だけする

曜日を固定する。 「今週は忙しいから来週」を1度許すと、以後なし崩しになる。空けられないなら、コーチング開始を1ヶ月遅らせるほうがよい。


#3. 面談の進め方

#3-1. 基本の型

面談は、次の4段階で進める。

① 事実を聞く      「今週、何をやりましたか」
        ↓
② プロセスを聞く   「そのとき、どう考えて決めましたか」
        ↓
③ 別の可能性を聞く 「他にどんなやり方がありましたか」
        ↓
④ 次を決めさせる   「では、次はどうしますか」

②が最も重要である。 結果が良くても悪くても、必ず②を聞く。うまくいった理由を言葉にできていれば、次も再現できる。

#3-2. 沈黙を待つ

問いかけたあと、本人が黙る時間が発生する。この沈黙を埋めない。

10秒の沈黙は、教える側には長く感じられる。しかし本人は考えている。ここで「たとえばこういうことかな」と助け舟を出すと、その瞬間に思考は止まり、本人は「待っていれば答えが出てくる」と学習する。

目安として、20秒は黙って待つ。それでも出てこない場合のみ、問いを言い換える(答えを言うのではない)。

#3-3. やってはいけないこと

NGなぜダメか代わりにやること
答えを先に言う考える機会を奪う問いを投げて待つ
「なんでできなかったの」と聞く責められていると受け取られ、防御反応が出る「どこで詰まりましたか」と事実を聞く
誘導尋問(言わせたい答えに導く)本人は「正解当てゲーム」だと学習する本当に答えのない問いを投げる
面談時間を短縮する「自分は優先度が低い」と伝わる時間を守る。短くするなら事前に理由を伝える
結果だけを褒める/叱るプロセス重視の方針と矛盾する「その判断は良かった」とプロセスを評価する

#4. 問いかけ集

面談で使える問いを目的別に整理する。そのまま読み上げてよい。

#4-1. プロセスを引き出す

  • そのとき、どう考えて決めましたか
  • 判断の決め手になったのは何でしたか
  • 迷った選択肢はありましたか。なぜそちらを選ばなかったのですか
  • どこまでが分かっていて、どこからが分からなかったですか
  • もう一度同じ状況になったら、同じようにやりますか

#4-2. 視野を広げる

  • 他にどんなやり方がありましたか
  • その判断は、他の人の仕事にどう影響しますか
  • お客様から見ると、どう見えていると思いますか
  • 来月の自分から見て、今週の進め方は妥当でしたか
  • この業務は、何のためにあると思いますか

#4-3. 全体を俯瞰させる

  • 今月やらなければならないことを、全部で何割終えていますか
  • 残りの業務量と、残りの日数は釣り合っていますか
  • 今、一番リスクが高いのはどれですか
  • 前倒しできるものはありますか
  • あなたが2日休んだら、どこが止まりますか

#4-4. 詰まりを拾う

  • 今週、一番しんどかったのはどこですか
  • 誰かに聞きたかったけれど、聞けなかったことはありますか
  • やっていて「これでいいのかな」と思った場面はありましたか
  • 手が止まった時間は、どこで何分くらいでしたか

#4-5. 次につなげる

  • では、次はどうしますか
  • それは、いつまでにやりますか
  • そのために必要なものは揃っていますか
  • うまくいかなかったときは、どうしますか

#5. 月ごとのテーマ

漫然と面談するのではなく、月ごとにテーマを置く。

#5-1. 1ヶ月目(4ヶ月目):判断のプロセスを言語化する

項目内容
ねらい自分がどう考えて決めているかを、自覚できるようにする
主な問い「どう考えて決めましたか」を、毎回必ず聞く
到達状態判断の理由を、結果ではなくプロセスで説明できる
教育担当の注意この月は、判断の良し悪しを評価しない。言語化できたことを評価する

#5-2. 2ヶ月目(5ヶ月目):選択肢を複数出す

項目内容
ねらい1つの案に飛びつかず、比較して選べるようにする
主な問い「他にどんなやり方がありましたか」
到達状態想定外の場面で、対応案を2つ以上出せる
教育担当の注意出てきた案が的外れでも否定しない。「その案の良い点は何ですか」と聞く

#5-3. 3ヶ月目(6ヶ月目):全体を俯瞰し、自分で決める

項目内容
ねらい月単位で業務量を把握し、優先順位を自分でつけられるようにする
主な問い「残りの業務量と日数は釣り合っていますか」
到達状態前倒し・後回しの判断を自分でできる
教育担当の注意予定づくりを完全に本人に任せ、質問だけする

#6. 失敗の扱い方

コーチング段階では、影響が小さい失敗は、あえてやらせる。失敗しないと、判断の重みが分からない。

#6-1. 止める/止めないの基準

種類対応
顧客に直接影響が出る止める。 事前に指摘する
金銭が動く/契約に関わる止める。 事前に指摘する
データが失われる・戻せない止める。 事前に指摘する
社内で完結し、やり直せる止めない。 やらせて、あとで一緒に振り返る
時間を無駄にするだけ止めない。 ただし無駄が大きすぎる場合は事前に予算を切る

#6-2. 失敗後の振り返り

失敗が起きたら、次の順で扱う。順序を変えない。

  1. まず事実を確認する(何が起きたか。責める前に把握する)
  2. 影響範囲を確定し、必要な対処を先に済ませる
  3. 落ち着いてから、本人にプロセスを聞く(「どう考えて決めましたか」)
  4. 一緒に、次に同じ場面で使える判断基準を作る
  5. その基準を、マニュアルまたは行動規範に反映する

4と5を飛ばさない。 反省だけして終わると、同じ失敗が別の人で繰り返される。失敗は、仕組みを1つ増やす機会である。


#7. 「有機的に動ける」とはどういう状態か

目指す「自律的かつ有機的に動ける状態」を、観察可能な行動として定義する。評価のための基準ではなく、本人と共有するための言葉である。

状態具体的な行動
自分の担当を自分で回している指示を待たず、月初に自分で予定を組み、その通りに進める
前後の工程を意識している自分の完了が誰の着手条件になっているかを把握し、遅れそうなら先に伝える
詰まりを早く出す詰まってから抱え込む時間が短い(目安:30分で人かAIに投げる)
変化に対応する予定が崩れたとき、自分で組み替え案を作ってから相談に来る
周囲を見る自分の担当外でも、明らかに困っている人がいれば声をかける

これらは精神論ではなく、面談で確認できる行動である。卒業判定の際は、この表を使って具体例を挙げさせる。


#8. 教育担当のためのチェックリスト(週次)

  • 今週、決めた曜日に半日を確保できたか
  • 面談で、自分が話しすぎていなかったか(本人8割話せたか)
  • 「どう考えて決めましたか」を必ず聞いたか
  • 沈黙を20秒待てたか
  • 答えを言ってしまった場面はいくつあったか
  • 結果ではなくプロセスを評価したか

「答えを言ってしまった回数」を毎週数える。 数えると減る。


#9. 卒業判定

6ヶ月目末に、00_人材育成制度_全体設計書.md 6-2章の判定基準で確認する。

判定の際は、各項目について具体的なエピソードを本人に挙げさせる。「できています」という自己申告ではなく、「〇月〇日のあの案件で、こう判断しました」という事実で確認する。

合格後は、メンタリング段階(30_AIメンタリング_運用ルール.md)へ移行し、教育担当の関与を隔週30分まで減らす。関与を減らすことを、本人に明確に伝える。 何も言わずに面談が減ると、「見放された」と受け取られる。

伝え方の例:「ここからは、あなたが自分で回す段階です。面談は隔週30分に減らします。減らすのは、任せられると判断したからです。困ったときは、いつでも来てください」

第3段階:メンタリング・AI活用 運用ルール

  • 対象: 全社員(AIファースト原則は入社初週から適用)
  • 目的: 日常フォローの約半分をAIで代替し、人には意思決定事項のみを持ち込ませる
  • 教育担当の関与時間: 隔週30分+エスカレーション対応のみ

#1. この仕組みのねらい

この仕組みには、2つの目的がある。片方だけでは失敗する。

目的内容
① 教育コストの削減人に聞かなくても解決することを、AIで処理する
② 考える習慣の定着いきなり答えを人に求めず、自分で調べ、考える手順を挟む

②が本来の目的である。①だけを狙うと、「聞くな」という突き放しになり、本人は孤立し、質問が消え、問題が水面下に潜る。AIは、質問を減らす道具ではなく、質問の質を上げる道具として使う。


#2. AIファースト原則

#2-1. 質問の3ステップ

わからないことに出会ったら、必ず次の順序を通す。

① 自分で調べる
   マニュアル・過去の資料・過去のやりとりを確認する(目安10分)
        ↓ 解決しない
② AIに聞く
   前提・やりたいこと・試したことを添えて質問する(目安20分)
        ↓ 解決しない、または判断が必要
③ 人に聞く
   AIの回答と、自分の考えをセットで持ち込む

#2-2. 30分ルール

①②に使う時間は、合計30分を上限とする。

30分考えて解決しないなら、それは人に聞くべき問題である可能性が高い。時間を区切らないと、「自分で解決しなければ」と抱え込み、半日を溶かす人が出る。抱え込みは、質問より高くつく。

本人に伝える言葉:「30分やって解決しなかったら、すぐ持ってきてください。それは聞くべき質問です」

#2-3. 人に聞くときの型

③で人に持ち込むときは、次の4点を添えてもらう。足りない場合は、何を足せばよいかを具体的に伝えて戻す。

項目内容
1. やりたいこと何を達成したいのか
2. 詰まっていることどこで、どう詰まっているのか
3. 試したこと自分で調べたこと、AIに聞いた結果
4. 自分の考え「自分はこうしたほうがよいと思う」という案

4が最も重要である。 案がなくても構わないが、「案が出せなかった」ことも含めて言語化させる。差し戻しは冷たく行わず、「4だけ考えてから、もう一度来てください」と、何を足せばよいかを明示する。


#3. AIに聞くこと/人に聞くこと

#3-1. AIに聞いてよいこと(まずAI)

  • 用語・仕組み・一般的なやり方の確認
  • 文章の下書き、言い回しの検討、誤字チェック
  • 手順の確認(「〇〇するにはどうすればいいか」)
  • エラーや不具合の原因の当たりをつける
  • 資料・議事録の要約、たたき台づくり
  • 自分の考えの整理(「こう考えているが、抜けはないか」)

#3-2. 最初から人に聞くこと(AIを経由しない)

次の3種は、AIを経由させない。ここを曖昧にすると事故が起きる。

分類具体例
顧客・金銭・契約に関わる判断見積り、値引き、納期の約束、契約条件、クレーム対応
会社としての方針・優先順位何を優先するか、やるかやらないか、対外的な表明
本人の心身・人間関係体調不良、働き方の悩み、人間関係のトラブル、待遇の相談

3つ目を明記しておくことが重要である。「まずAIに聞け」というルールが、しんどさを言い出せない空気を作ってはならない。

#3-3. AIに入れてはいけない情報

分類
顧客の個人情報氏名、住所、電話番号、メールアドレス
契約・機密情報契約書の実物、価格表、未公開の案件情報
社員の個人情報給与、評価、健康状態
認証情報ID、パスワード、APIキー

聞きたい内容にこれらが含まれる場合は、固有名詞を伏せて一般化して聞く。それができないなら、人に聞く。


#4. AIへの質問の書き方

新人はAIへの質問が下手である。質問の仕方そのものを教える。

#4-1. 質問テンプレート

【前提】
私は〇〇の業務を担当しています。今は△△という状況です。

【やりたいこと】
□□を実現したいです。

【試したこと】
・〜を確認しましたが、〜でした
・〜を試しましたが、〜になりました

【聞きたいこと】
〜について、考えられる原因と対処を教えてください。

#4-2. 良い質問・悪い質問

悪い質問なぜダメか良い質問
「エラーが出ました」前提も内容もない。一般論しか返らない「〇〇の作業中に△△というエラーが出ました。直前に□□を変更しました。原因の候補を教えてください」
「メールの書き方を教えて」状況が不明「納期が3日遅れることを、お客様に伝えるメールの下書きを作ってください。相手は〜な方で、初回の遅延です」
「これでいいですか」判断基準がない「〜という目的でこの手順を考えました。抜けやリスクがあれば指摘してください」

#4-3. AIの回答をそのまま使わない

AIの回答は「たたき台」であり、「正解」ではない。 次を必ず本人に守らせる。

  • 回答をそのまま提出しない。必ず自分で読み、内容を理解してから使う
  • 事実(数字・固有名詞・手順)は、必ず一次情報で裏を取る
  • 自社のルールと違うことを言われたら、自社のルールが優先する
  • 「なぜそうなるか」を説明できないものは、使わない

最後の項目が重要である。説明できないものを提出させない。 これを許すと、AIを使って考えない習慣がつく。ねらいの逆になる。


#5. メンタリングの運用(6ヶ月目〜)

#5-1. 隔週1on1(30分)

項目内容
頻度隔週1回、30分。曜日・時間を固定する
目的進捗管理ではなく、支援が必要なタイミングを見つける
進め方業務の話は10分まで。残り20分は本人の状態・関心・将来の話
記録templates/02_1on1面談シート.md に、決めたことだけ記録する

この面談を進捗確認に使わない。 進捗は報告シートで見る(40_報告運用ルール.md)。ここで進捗を詰めると、本人にとって「詰められる場」になり、本音が出なくなる。

#5-2. 1on1で聞くこと

  • 最近、うまくいっていることは何ですか
  • 逆に、引っかかっていることはありますか
  • 今の仕事量は、多い・ちょうどいい・少ない、のどれですか
  • AIに聞いて解決したこと・解決しなかったことはありますか
  • 私(教育担当)に、やめてほしいこと・してほしいことはありますか

最後の問いは答えにくいが、続けて聞くことに意味がある。半年続けて初めて本音が出ることもある。

#5-3. 支援が必要なサイン

次の兆候が出たら、面談頻度を一時的に戻す(週1回に)。

  • 報告の提出が遅れ始める/内容が薄くなる
  • 質問が急に減る(詰まっていないのではなく、諦めている可能性)
  • 完了報告はあるが、成果物の質が落ちている
  • 遅刻・欠勤が増える
  • 「大丈夫です」が増える

サインが出てから理由を問い詰めない。 「最近どうですか」から始め、話す準備ができるまで待つ。


#6. エスカレーション基準

本人が判断せず、必ず上に上げるべき事項を明文化する。迷ったら上げる、を原則とする。

種類判断期限
顧客からのクレーム・苦情即エスカレーション気づいた時点ですぐ
納期に間に合わない見込み即エスカレーション遅れが見えた時点(起きてからではない)
金額・契約条件の変更依頼即エスカレーション回答する前
データの消失・誤送信即エスカレーション気づいた時点ですぐ
前例のない依頼エスカレーション着手前
自分の担当外への影響エスカレーション影響が見えた時点
手順どおりに進まないまずAI・調べる(30分ルール)30分経過後

「悪い報告ほど早く上げる」ことを、評価上プラスに扱う。 早い報告を叱ると、次から報告は来なくなる。この制度が続くかどうかは、ここで決まる。


#7. AI活用が定着しているかの確認

四半期に1回、次を確認する。

  • 人への質問に、「試したこと」と「自分の考え」が添えられているか
  • AIの回答をそのまま提出している場面がないか
  • 30分ルールが守られているか(抱え込みが起きていないか)
  • 逆に、AIに聞くべきでないことをAIに聞いていないか
  • 教育担当への質問件数は、半年前と比べて減っているか
  • 質問のは上がっているか(件数だけを成果としない)

最後の2項目はセットで見る。件数が減っても質が上がっていなければ、単に聞かなくなっただけである。 それは改善ではなく、悪化のサインとして扱う。

報告運用ルール(予定・現状・完了)

  • 対象: 全社員(既存社員を含む)
  • 目的: 進捗を可視化し、本人が自分の担当範囲の全体像を俯瞰できる状態をつくる
  • 開始時期: 制度導入と同時(新人だけでなく全員で開始する)

#1. なぜ3軸が必要か

報告は、次の3軸すべてが揃って初めて機能する。1軸でも欠けると管理は成立しない。

意味欠けると起きること
予定今月やらなければならない業務量と、その配分基準がないため、遅れているかどうかが誰にも分からない
現状実際の進行状況。予定に対する差分月末になって初めて未達が発覚する
完了終わったこと。次に渡せる状態か「やった」と「終わった」の区別がつかず、後工程が止まる

多くの職場では「完了」の報告だけが存在する。それだけでは、遅れを事前に発見できない。予定と現状の差分を見て初めて、手を打つ余地が生まれる。


#2. 視座を高くする方法

「視座を高くする」ことは、精神論では実現しない。可視化によって実現する。

自分の担当業務が、月単位でどれだけあり、今どこまで進んでいるかを一覧できる状態にすれば、人は自然に全体を見るようになる。逆に、目の前のタスクしか見えない状態で「視野を広く持て」と言っても、見る材料がない。

したがって、本ルールの核心は次の1点である。

月初に、1ヶ月分の業務量を本人自身に書き出させ、カレンダー上に配置させる。

書き出すのは教育担当ではなく、本人である。他人が作った予定表を見ても、俯瞰する力は身につかない。


#3. 運用サイクル

【月初】予定を立てる(本人が作成 → 教育担当が確認)
   ↓
【毎日】完了したことを記録(本人・5分)
   ↓
【毎週】現状を報告(本人 → 教育担当・週次報告シート)
   ↓
【月末】予定と実績の差分を振り返る(本人+教育担当)
   ↓
   次の月の予定へ反映

#4. 月初:予定を立てる

#4-1. 手順

手順内容所要
1今月やることをすべて書き出す(定例・案件・締切のあるもの)20分
2各項目に、必要な時間の見積もりを書く10分
3合計時間を出し、今月の稼働可能時間と比較する5分
4カレンダーに配置する(締切から逆算して置く)20分
5教育担当に提出し、確認を受ける15分

様式は templates/04_月次カレンダー運用シート.md を使う。

#4-2. 合計時間が稼働時間を超えた場合

これが起きたときが、最も重要な場面である。 超過が判明した時点で、次のいずれかを教育担当と決める。

  • 優先順位を落とす(今月やらない)
  • 誰かに渡す
  • 期限を交渉する
  • やり方を変えて時間を減らす

「頑張って詰め込む」を選択肢に入れない。 それを許すと、見積もりを正直に出さなくなり、可視化の意味が失われる。

なお、担当する業務量そのものは、本来やりきれる範囲で設計されている。それでも超過が出る場合は、見積もりが実際より短めになっているか、想定外の割り込みが多いか、そのどちらかである。どちらも本人の能力の問題ではない。原因を特定しないまま「やれるはず」で進めないこと。

#4-3. 教育担当の確認ポイント

  • 抜けている業務はないか
  • 見積もり時間は現実的か(楽観的すぎないか)
  • 締切の直前に固まっていないか
  • 割り込みや想定外のための余白が確保されているか(目安:稼働の2割)
  • 他の人の作業を止める項目が、早めに置かれているか

#5. 毎日:完了を記録する

項目内容
タイミング終業前の5分
記録先週次報告シートの「完了」欄(または共有カレンダー)
書く内容完了したこと/完了しなかったこと/その理由

#5-1. 「完了」の定義

「作業した」ではなく「次に渡せる状態になった」ことを完了とする。

状態完了か
作業したが、確認していない❌ 未完了
確認したが、まだ提出していない❌ 未完了
提出し、次の人が着手できる状態✅ 完了
提出したが、相手の返答待ち✅ 完了(自分の手離れは済んでいる)

この定義を曖昧にすると、「完了報告があったのに終わっていない」という事態が起きる。最初に定義を共有する。


#6. 毎週:現状を報告する

項目内容
タイミング週の最終営業日(曜日を固定する)
様式templates/01_週次報告シート.md
提出先教育担当
所要本人15分・確認10分

#6-1. 報告に必ず含めること

  1. 予定に対する進捗率(今月の全体を100%として、今どこか)
  2. 今週完了したこと
  3. 今週完了しなかったこと、およびその理由
  4. 詰まっていること/困っていること(なければ「なし」と明記)
  5. 来週やること
  6. 遅れの見込み(あれば、いつ・どれくらい・どうするか)

3と4を必ず書かせる。 良いことだけの報告は、報告ではない。

#6-2. 教育担当の受け方

やることやらないこと
遅れの報告に「早く言ってくれてよかった」と返す遅れの報告を叱る
「困っていることなし」が続いたら、本当か確認する「なし」を鵜呑みにする
数字(進捗率)と実感のズレを確認する数字だけで判断する
対策を本人に考えさせる(コーチング段階以降)対策をすべてこちらで決める

遅れの報告を叱った瞬間、以後の報告は当たり障りのないものになる。 この制度が続くかどうかは、ここで決まる。


#7. 月末:振り返る

月末に、教育担当と本人で30分の振り返りを行う。

確認項目見るポイント
予定に対する達成率何割終わったか
見積もりの精度見積もりより多くかかったのはどれか。なぜか
想定外の割り込みどれくらいあったか。次月の余白に反映する
遅れたものいつ気づいたか。もっと早く気づけたか
来月への反映見積もりの取り方、余白の量をどう変えるか

「見積もりの精度」を毎月見ることで、本人の見積もり能力が上がる。 これは、視座を高くするうえで最も実効性のある訓練である。


#8. カレンダーでの可視化

3軸は、カレンダー上で色分けして可視化する。ツールは既存のもの(Googleカレンダー等)でよい。新しいツールを導入しない。

表示内容
予定月初に配置した業務。着手予定日に置く
現状進行中のものに印をつける(または別色に変える)
完了完了したものに印をつける(または別色に変える)

教育担当は、本人のカレンダーをいつでも見られる状態にしておく。 ただし、見て気づいたことをすぐ指摘しない。週次報告の場で扱う。常時監視されている感覚は、報告の質を下げる。


#9. 段階別の報告頻度

育成段階が進むにつれ、報告の頻度と粒度を変える。

段階日次週次月次
ティーチング(1〜2ヶ月目)口頭で完了確認(10分)面談30分予定作成は教育担当と一緒に
ティーチング(3ヶ月目)シートに記録のみ面談30分予定作成を本人が試みる
コーチング(4〜6ヶ月目)シートに記録のみ面談(週半日の中で30分)予定作成は本人。教育担当は質問のみ
メンタリング(7ヶ月目〜)シートに記録のみシート提出のみ(面談なし)隔週1on1で確認

頻度を下げるときは、必ず理由を伝える。 「任せられると判断したから」と明言する。無言で減らすと、放置と受け取られる。


#10. よくある失敗と対処

失敗背景対処
報告が形骸化する(毎週同じ内容)書くことが目的化している「今週、一番迷ったこと」を1つ書かせる。定型化できない項目を入れる
提出が遅れる優先順位が低いと思われている提出を業務時間内の固定枠にする(金曜16:00〜16:15など)
予定を立てても守られない見積もりが実際より短い/割り込みが多い月末の振り返りで原因を特定する。責めない
教育担当がシートを見ていない本業が忙しい見る時間も固定枠にする。見ないなら提出させない
「困っていることなし」が続く言い出しにくい/自覚していない「今週、手が止まった時間は何分ありましたか」と事実で聞く

最後から2番目に注意したい。提出してもらっておいて見ない状態が続くと、報告制度は一番早く形骸化する。 見る時間を確保できないなら、頻度を下げてでも必ず見ること。

面談・報告スケジュール(時間割)

  • 対象: 全社員/教育担当
  • 目的: 面談と報告のタイミングを固定し、「忙しくて流れる」ことを防ぐ
  • 前提: 平日5日勤務。曜日・時刻は自社の都合に合わせて変更可

この文書の役割は、迷いをなくすことです。

「いつやるか」を毎回考えていると、忙しい週に必ず飛びます。曜日と時刻を固定してください。


#1. 標準の時間割(推奨)

曜日・時刻は下記を標準とします。理由も併記するので、変更する場合は理由を踏まえて判断してください。

曜日・時刻対象この曜日にする理由
月次予定づくり毎月 第1営業日 10:00〜11:15全社員月の頭に全体像を掴む。遅らせると月の1週目が無計画になる
└ 教育担当の確認同日 15:00〜15:15教育担当本人が作った直後に確認する。翌日以降にすると修正が効かない
コーチング半日毎週 水曜 13:00〜16:30コーチング期の対象者週の中日。ここで詰まりを見つければ、木金で取り返せる
週次報告 提出毎週 金曜 16:00まで全社員週の終わりに締める。月曜提出にすると週末をまたいで記憶が薄れる
週次面談毎週 金曜 16:30〜17:00ティーチング期の対象者報告提出の直後。読んでから話すため間を30分空ける
隔週1on1隔週 水曜 16:00〜16:30メンタリング期の対象者コーチング期の半日枠と同じ曜日。習慣を引き継げる
月末振り返り毎月 最終営業日 15:00〜15:30全社員月内に締める。翌月にずらすと「来月の予定づくり」と混ざる
日次の完了報告毎日 終業前 5〜10分全社員記憶が新しいうちに書く。翌朝に回すと詰まりの記録が消える
日次の朝確認毎日 始業直後 5分ティーチング1ヶ月目のみその日の優先順位を口頭で確認する

#2. 育成段階別 面談一覧

段階が進むにつれ、教育担当の関与時間が計画的に減っていく設計です。

#2-1. ティーチング 1ヶ月目

頻度時間内容
毎日(朝)朝の予定確認5分今日やることの優先順位を口頭で確認
毎日(夕)完了報告10分完了したこと/詰まったことを口頭+記録
毎週 金週次面談30分今週やったこと・つまずき・来週やること
月1回月次予定づくり同席60分本人はまだ作れないため、一緒に作る

週あたり合計:面談 約1時間45分+実務指導 3〜3.5時間 = 4〜5時間

#2-2. ティーチング 2ヶ月目

頻度時間内容
毎日(夕)完了報告10分完了+「詰まったこと」を必ず1件挙げさせる
毎週 金週次面談30分詰まりの傾向を見る
月1回月次予定づくり30分本人が作り、教育担当が補う

週あたり合計:面談 約1時間20分+実務指導 1.5時間 = 約3時間

※ 朝の確認はこの月から廃止します。廃止することを本人に伝えてください。

#2-3. ティーチング 3ヶ月目

頻度時間内容
毎日完了報告口頭面談は廃止。シートへの記録のみ
毎週 金週次面談30分シートをもとに確認
月1回月次予定づくり15分本人が作り、教育担当は確認のみ
3ヶ月目末卒業判定+見極め共有60分下記3章

週あたり合計:面談 30分+実務指導 1.5時間 = 約2時間

#2-4. コーチング期(4〜6ヶ月目)

水曜午後の半日を、まとめて確保します。 15分×6回では対話になりません。

時刻内容時間
13:00〜13:30週次の振り返り面談(本人8割話す)30分
13:30〜15:00実務の同席・伴走(口を挟まない90分
15:00〜16:00対話(その月のテーマを深掘り)60分
16:00〜16:30次週の予定づくり(本人が組む。担当は質問のみ)30分

週あたり合計:3時間30分

金曜の週次報告は提出のみ(面談は水曜に統合)。月次予定づくりは本人が単独で行い、教育担当は15分の確認のみ。

節目時間
6ヶ月目末卒業判定60分

#2-5. メンタリング期(7ヶ月目〜)

頻度時間内容
隔週 水1on130分進捗確認ではない。 業務の話は10分まで
毎週 金週次報告提出のみ。面談なし
月1回月次予定づくり本人が単独で作成。教育担当は目視確認のみ
月1回月末振り返り30分見積もり精度と割り込み量を一緒に見る

隔週あたり合計:30分


#3. 節目の面談(年間)

時期面談名時間参加者内容使う様式
入社1週目初回すり合わせ90分本人・教育担当行動規範の読み合わせ/1年後の仕上がり像を渡す/なりたい姿シートを渡す50 055-4 templates/08
入社2週目なりたい姿 読み合わせ45分本人・教育担当A/B/Cの3領域に分けるtemplates/08
3ヶ月目末ティーチング卒業判定+見極め共有60分本人・教育担当判定5項目を本人同席で/見極め結果を本人に伝える/なりたい姿の見直しtemplates/03 templates/06 templates/08
6ヶ月目末コーチング卒業判定60分本人・教育担当・経営者判定5項目/具体的エピソードで確認/関与を減らすことを明言006-2 templates/08
1年目年次振り返り90分本人・教育担当・経営者仕上がり像12項目の自己評価と突き合わせ/次の1年のなりたい姿055-4-2 templates/08
以降 半年ごとなりたい姿 更新60分本人・教育担当更新し、役割・担当の見直しに反映templates/08

#3-1. 節目面談の共通ルール

  • 必ず本人同席で行う。 一方的な通知にしない
  • 各項目について、本人の自己評価と教育担当の評価を突き合わせる
  • ずれている項目こそ、次の期間のテーマになる
  • 判定結果が未達の場合、書面で「何をクリアすれば進めるか」を渡す

#4. 全社員共通の枠

新人だけでなく、既存社員も同じ枠で運用します。

頻度時刻時間
毎日完了記録終業前5分
毎週 金週次報告 提出16:00まで15分
毎月 第1営業日月次予定づくり10:00〜75分
毎月 最終営業日月末振り返り15:00〜30分
半年ごとなりたい姿 更新別途設定60分
半年ごと行動規範の見直し別途設定60分
半年ごと制度全体の見直し別途設定90分

#4-1. 半年ごとの見直し(推奨時期)

時期内容
4月・10月行動規範の見直し(守られていない項目を削るか、守れる形に変える)
4月・10月制度全体の見直し(形骸化した項目を削除する)
4月・10月全社員のなりたい姿の更新

項目を増やすより、機能していない項目を削ることを優先してください。


#5. 年間カレンダー(1名を採用した場合の例)

入社月を1月とした場合の例です。実際の入社月に読み替えてください。

育成段階その月の面談教育担当の月間時間
1月ティーチング1ヶ月目初回すり合わせ90分/なりたい姿読み合わせ45分/日次×20/週次×4/予定づくり60分約20時間
2月ティーチング2ヶ月目日次×20/週次×4/予定づくり30分/月末振り返り30分約13時間
3月ティーチング3ヶ月目週次×4/予定づくり15分/月末振り返り30分/卒業判定60分約9時間
4月コーチング1ヶ月目半日×4/予定づくり15分/月末振り返り30分約15時間
5月コーチング2ヶ月目半日×4/予定づくり15分/月末振り返り30分約15時間
6月コーチング3ヶ月目半日×4/月末振り返り30分/卒業判定60分約16時間
7月〜メンタリング隔週1on1×2/月末振り返り30分約1.5時間
翌1月年次振り返り90分約3時間

7月以降、教育担当の負荷が月1.5時間まで下がります。 これが本制度の目標です。6ヶ月間で前倒しに時間を使い、以後は使わない設計になっています。


#6. 枠を守るためのルール

面談が流れ始めた時点で、制度は機能を失います。 次を守ってください。

#ルール理由
1曜日・時刻をカレンダーに固定枠として入れる予定として入っていないものは、必ず他の予定に埋められる
2「今週は忙しいから来週」を1度もつくらない1度でも流れると、以後なし崩しになる
3やむを得ず動かす場合、その週のうちに代替日を決める「また今度」は実施されない
4短縮する場合は、事前に理由を伝える無言の短縮は「自分は優先度が低い」と伝わる
5半日枠を分割しない15分×6回では対話にならない
6枠を減らすときは、理由を明言する無言で減らすと「見放された」と受け取られる

#6-1. 枠を確保できない場合

コーチングの半日枠を確保できる見込みがないなら、コーチング開始を遅らせてください。

中途半端な着手は、本人に「放置された」という印象だけを残します。ティーチング期間を1ヶ月延長し、枠を確保できる状態を作ってから始めるほうが、結果的に早く進みます。

#6-2. 枠を減らすときの伝え方

3ヶ月目(日次面談の廃止)

「明日から、朝と夕方の口頭確認はやめます。シートへの記録だけにしましょう。減らすのは、一人で進められると判断したからです」

7ヶ月目(メンタリングへの移行)

「ここからは、あなたが自分で回す段階です。面談は隔週30分に減らします。減らすのは、任せられると判断したからです。困ったときは、いつでも来てください」


#7. 教育担当が複数名を見る場合

教育担当は1名の対象者につき1名固定が原則ですが、同時に2名を見る場合の時間を示します。

状況週あたり時間可否
ティーチング1名のみ4〜5時間
コーチング1名のみ3.5時間
ティーチング1名+メンタリング1名約5時間
コーチング1名+メンタリング1名約4時間
ティーチング2名8〜10時間△ 本業と兼務では厳しい
ティーチング1名+コーチング1名7.5〜8.5時間△ 同上

ティーチング期が重ならないよう、採用時期をずらすことを推奨します。 どうしても重なる場合は、教育担当を2名に分けるか、片方の開始を1ヶ月遅らせてください。


#8. 曜日・時刻の変更について

自社の業務都合に合わせて変更してかまいません。変更する場合は記録を残し、全社員に共有してください。

変更時に守ること:

  • 週次報告の提出と週次面談の間に、30分以上空ける(読む時間が必要)
  • コーチング半日は、週の前半〜中日に置く(詰まりを週内に取り返せる)
  • 月次予定づくりは、月の第1営業日に置く(遅らせない)
  • 月末振り返りは、月内に済ませる(翌月に持ち越さない)

習慣化カード(スタンプ)の運用ルール

  • 対象: 全社員(新しく入った方は入社1週目から)
  • 目的: 報告と振り返りを、意志ではなく習慣にする
  • 位置づけ: 40_報告運用ルール.md を続けやすくするための補助的な仕組み
  • 様式: templates/09_習慣化カード.md(紙)/ ナレッジサイトの「習慣化カード」(画面)

#1. なぜスタンプなのか

報告も振り返りも、やる意味は分かっていても続かない。理由は意志の弱さではなく、次の2つである。

続かない理由対処
やった手応えが残らない目に見える形で積み上がるようにする
1日サボると、そのまま止まる戻ってきやすい設計にする(下記5章)

子どものころのラジオ体操カードが続いたのは、早起きが好きだったからではない。押すところがあったからである。同じ仕組みを、大人の仕事にも使う。

#1-1. この仕組みで「やらないこと」

先に、やらないことを決めておく。ここを外すと逆効果になる。

やらないこと理由
評価に使わない評価されると分かった瞬間、スタンプを押すことが目的になる
他の人と比べない・ランキングを作らない10名以下の組織で順位をつけると、必ず誰かが追い詰められる
教育担当がスタンプを押す/確認する監視になる。押すのは本人だけ
途切れたことを話題にする「なんで途切れたの」と一度言われたら、二度と本音では続かない
強制するやめたい人はやめてよい。強制した時点で習慣ではなく義務になる

#2. 何にスタンプを押すか

1日1個だけ。 増やさない。

スタンプ条件所要
今日のスタンプ終業前の5分を書いた(完了したこと/終わらなかったこと/詰まったこと1件)5分

これは 40_報告運用ルール.md の日次記録そのものである。新しい作業を増やしていない。 すでにやってもらっていることに、押す場所をつけただけである。

#2-1. ボーナススタンプ(任意)

続けやすくするための、おまけの枠。押せなくても、今日のスタンプには影響しない。

ボーナス条件頻度
週次週次報告を金曜16時までに出した週1回
月初月初の予定づくりをやった月1回
月末月末の振り返りをやった月1回
なりたい姿「なりたい姿に近づく1項目」をやった月1回

#3. 連続日数(ストリーク)

Duolingoなどと同じく、連続日数を表示する。ただし当社版には重要な違いがある。

#3-1. 休んだ日は、途切れない

扱い
土日・祝日カウント対象外(途切れない)
有給・休暇カウント対象外(途切れない)
体調不良で休んだ日カウント対象外(途切れない)
子どもの事情で休んだ日カウント対象外(途切れない)
自宅作業をした日通常どおりカウント(在宅でも報告は出すため)

ここが最も重要である。

一般的なストリークの仕組みは、「途切れたくないから休めない」という圧力を生む。当社は 55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md で「急ぎの仕事がないときは休んでください」と明言している。その方針と矛盾する仕組みは入れない。

休んでもストリークは途切れません。

休むことは、この仕組みにおいてマイナスではありません。

カードには「お休み」の印を用意する。休んだ日はそれを置けば、連続は続いたままになる。

#3-2. 押し忘れは、翌営業日まで遡って押せる

前日分を忘れた場合、翌営業日中なら遡って押してよい。厳密さより、続くことを優先する。

2営業日以上空いた場合はリセットされるが、それも下記5章のとおり、問題として扱わない。


#4. 節目のバッジ

積み上がりが見えるように、節目でバッジがつく。育成段階の節目と重ねてある。

バッジ条件重なる節目
はじめの一歩5営業日入社1週目を終えた
ひと月20営業日ティーチング1ヶ月目
三日坊主を超えた30営業日
ティーチング完走60営業日3ヶ月目の振り返り
半年120営業日6ヶ月目の振り返り
一年250営業日1年目の振り返り

節目のバッジがついた日は、1on1や面談で一言ふれる。 「60日続きましたね」だけでよい。評価ではなく、事実の確認として。


#5. 途切れたときの扱い

途切れます。必ず途切れます。 それでよい設計にしてある。

状況扱い
忙しくて数日抜けた何も起きない。 また今日から押せばよい
1ヶ月やらなかった同上。カードは残っているので、途中から再開できる
そもそも合わないやめてよい。 報告そのものは続けてもらうが、スタンプは任意

#5-1. 教育担当がやること・やらないこと

やることやらないこと
自分も同じカードを続ける(先にいる人から本人のカードを見に行く
節目のバッジに一言ふれる途切れた理由を聞く
本人から見せてきたら一緒に喜ぶ「最近押してないね」と言う

途切れた理由を聞かない。 聞いた時点で、これは報告義務になり、習慣化の仕組みではなくなる。

#5-2. ただし、こういうときは声をかける

スタンプではなく、報告そのものが止まっている場合は別である。これは 30_AIメンタリング_運用ルール.md 5-3章の「支援が必要なサイン」にあたる。

「最近どうですか」から始める。スタンプの話はしない。


#6. 紙と画面、どちらを使うか

どちらでもよい。両方使ってもよい。

紙(templates/09_習慣化カード.md画面(ナレッジサイト)
良い点手で押す満足感がある。机に貼れる連続日数とバッジが自動計算される
向いている人手を動かしたい人記録を残したい人
保管印刷して手元に置くブラウザに保存(自分の端末内のみ

#6-1. 画面版のデータの扱い

  • 記録は閲覧している端末のブラウザ内だけに保存される(サーバーに送信されない)
  • 他の人からは見えない。会社も見ない
  • 端末を変えると引き継がれないため、必要なら書き出し機能でファイル保存する
  • ブラウザのデータを消すと記録も消える。消えても問題ないものとして扱う

#7. 導入のしかた

手順内容
1まず経営者・教育担当が1ヶ月続けてみる
2続いたら、全社員に紹介する(強制しない)
3新しく入った方には、入社1週目に紙のカードを渡す
4半年後、実際に使われているかを確認し、使われていなければやめる

手順1を飛ばさない。 上にいる人が続いていない仕組みは、下でも続かない。

#7-1. 紹介するときの言葉

「終業前の5分の記録に、スタンプを押す欄をつけました。ラジオ体操カードみたいなものです。

これは評価には一切使いません。誰かと比べることもしません。 私も見に行きません。自分の手元で、続いているのが見えるだけのものです。

休んだ日は途切れないようにしてあります。有給も、体調不良も、お子さんの事情もです。続けるために休まない、みたいなことにはしたくないので。

途切れても何も起きません。合わなければ、やめてもらっても大丈夫です」


#8. 半年後の見直し

確認すること判断
実際に押している人がどれくらいいるか半数未満なら、仕組みを見直すかやめる
報告そのものの提出率は上がったかこれが本来の目的。 上がっていなければ意味がない
「途切れるのが嫌で無理をした」人がいないか1人でもいたら、設計を見直す
やめたい人が言い出せているか言い出せない空気になっていたら、いったん全体で止める

スタンプの継続率ではなく、報告の提出率で判断する。 スタンプは手段であって、目的ではない。


#9. 関連文書

文書関係
40_報告運用ルール.mdスタンプの対象になる日次記録の中身
45_面談・報告スケジュール.md終業前5分・週次・月初月末のタイミング
55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md「休んでも途切れない」設計の根拠
70_なりたい姿の宣言と目標運用.mdボーナススタンプ「なりたい姿の1項目」
templates/09_習慣化カード.md印刷して使うカード

習慣化の心理学:背景となる考え方

  • 対象: 経営者・教育担当(本人が読んでもよい)
  • 目的: 習慣化の仕組みを「なんとなく」で作らないための、教訓の整理
  • 位置づけ: 47_習慣化カード_スタンプの運用ルール.md の設計根拠

この文書は理論の紹介ではなく、教訓集である。

各項目は「誰の、どういう考えか」→「そこから何を学ぶか」→「当社の仕組みにどう反映したか」の順で書いてある。

面談や説明の場で、そのまま使える言葉としてまとめている。


#1. なぜ心理学を押さえておくのか

習慣化の仕組みは、善意で作ると逆効果になりやすい領域である。

「毎日やらせる」「続いた人を表彰する」「途切れたら声をかける」。どれも良かれと思ってやることだが、いずれも続かなくする方向に働くことが分かっている。

なぜそうなるのかを知っていれば、設計を間違えない。以下の8つは、そのための最低限である。


#2. 教訓1:習慣は「意志」ではなく「設計」の問題

#考え方

アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)は、卓越性とは一度の行為ではなく繰り返しによって形づくられるものだと述べた。人格は反復によって作られるという「習慣(ヘクシス)」の考え方である。

よく知られた「我々は繰り返し行うことの結果である。ゆえに卓越性とは行為ではなく習慣である」という一節は、哲学史家ウィル・デュラントによるアリストテレス思想の要約である。原典そのままの言葉ではない点は、引用する際に注意したい。

#学ぶこと

続かないのは、その人の意志が弱いからではない。 続く形になっていないだけである。

#当社の仕組みへの反映

  • 教育担当も本人も、「意志が足りない」という説明を使わない
  • 続かないときは、人ではなく仕組みを直す50_行動規範_権利と義務.md の文化5「人ではなく、仕組みを直す」と同じ)

#3. 教訓2:小さくしないと始まらない

#考え方

B.J.フォッグ(スタンフォード大学・行動科学者)は、行動が起きる条件を B = MAP(Behavior = Motivation × Ability × Prompt/動機 × 実行しやすさ × きっかけ)として整理した。動機は日によって上下するため、動機に頼らず「実行しやすさ」を上げるほうが確実だとする。

ジェームズ・クリア(『Atomic Habits』)も同様に、新しい習慣は2分以内で終わる形から始めることを勧めている。

#学ぶこと

大きな目標より、確実に終わる小ささが先。

#当社の仕組みへの反映

  • スタンプの条件を 1日5分の記録、1個だけにした(47 2章)
  • 項目を増やしたくなるが、増やさない
  • ボーナスは任意にし、押せなくても本体に影響しない設計にした

#4. 教訓3:きっかけを、時刻ではなく「行動」に結びつける

#考え方

ピーター・ゴルヴィツァー(心理学者)の実行意図(implementation intentions)の研究では、「いつ・どこで・何をするか」を事前に「もし X なら、Y する」の形で決めておくと、実行率が大きく上がることが示されている。

ジェームズ・クリアはこれを習慣スタッキング(既存の習慣の直後に新しい習慣をつなげる)として実務向けに整理している。

#学ぶこと

「毎日やる」では続かない。「〇〇したら、やる」にすると続く。

#当社の仕組みへの反映

  • 記録のタイミングを「終業前」という既存の行動に固定した(45_面談・報告スケジュール.md
  • 「気が向いたら書く」にしていない
  • 面談・報告の枠をすべて曜日と時刻で固定しているのも同じ理由

本人に伝える言い方:「帰り支度を始めたら、5分だけ書く。 これをセットにしてください」


#5. 教訓4:進んでいるのが見えないと続かない

#考え方

カール・ワイク(組織心理学者)は「スモール・ウィンズ(小さな勝利)」という考え方を示した。大きすぎる課題は人を無力にするが、小さな成果が目に見えて積み上がると、次の行動が引き出される。

アルバート・バンデューラ(心理学者)の自己効力感の研究でも、「自分にはできる」という感覚を最も強く育てるのは、実際に達成した経験だとされている。

#学ぶこと

やる気があるから続くのではない。続いているのが見えるから、やる気が出る。順序が逆である。

#当社の仕組みへの反映

  • スタンプが目に見えて並ぶ形にした(ラジオ体操カード型)
  • 節目にバッジを置き、育成段階の節目と重ねた(47 4章)
  • 報告運用でも、月の進捗率を可視化している(40_報告運用ルール.md

#6. 教訓5:ごほうびで釣ると、逆に続かなくなる

#考え方

エドワード・デシとリチャード・ライアン自己決定理論では、人が自発的に動き続けるには次の3つが必要だとされる。

要素内容
自律性自分で決めている感覚
有能感できるようになっている感覚
関係性人とのつながりの感覚

さらに、もともと自発的にやっていた行動に外部からの報酬や評価を持ち込むと、内発的な動機がかえって下がることが知られている(アンダーマイニング効果)。

#学ぶこと

評価と結びつけた瞬間、それは習慣ではなく作業になる。

#当社の仕組みへの反映

この教訓が、本制度で最も強く効いている。

反映先内容
47 1-1章スタンプを評価に使わない/ランキングを作らない/教育担当は見に行かない
70_なりたい姿の宣言と目標運用.md 7章なりたい姿を評価に使わない(同じ理由)
47 5章やめてよいと明示(自律性を残す)
15_見極めガイド_最初の3ヶ月.md見極めを人事評価の根拠にしない

#7. 教訓6:連続記録は効くが、扱いを間違えると人を追い詰める

#考え方

ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキープロスペクト理論では、人は同じ大きさなら得る喜びより失う痛みを強く感じる(損失回避)。

連続日数(ストリーク)が続く理由はここにある。積み上げたものを失いたくないから続く。Duolingoをはじめとするアプリが使っているのは、この心理である。

#学ぶこと

よく効くが、そのままでは危ない。 「途切れたくないから休めない」「体調が悪くても無理をする」を生む。仕事に持ち込むなら、必ず安全弁が要る

#当社の仕組みへの反映

対策内容
休んだ日は途切れない土日祝・有給・体調不良・子どもの事情はカウント対象外(47 3-1章)
遡って押せる翌営業日まで
途切れても何も起きない責めない・話題にしない(47 5章)
半年後の点検項目「途切れるのが嫌で無理をした人がいないか」を確認する(47 8章)

「休むと損をする仕組み」は、55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md の方針と正面から矛盾する。 そこだけは絶対に妥協しない。


#8. 教訓7:「21日で習慣になる」は正しくない

#考え方

フィリッパ・ラリーら(ロンドン大学)の研究では、行動が自動化するまでにかかった期間は平均66日、個人差は18日から254日と幅が大きかった。よく言われる「21日」には十分な根拠がない。

#学ぶこと

  • 2〜3ヶ月かかるのが普通。1ヶ月で身につかなくても異常ではない
  • 人によって3倍以上の差がある。同じ期間で比べない

#当社の仕組みへの反映

  • バッジの節目を 60営業日(約3ヶ月) に置き、ティーチング卒業と重ねた
  • 育成の各段階を3ヶ月単位にしているのも同じ考え方
  • 15_見極めガイド_最初の3ヶ月.md で、伸び方の個人差を前提にしている

#9. 教訓8:習慣は「行動」より「自分をどう見ているか」で決まる

#考え方

ジェームズ・クリアは、目標ベース(「〇〇を達成する」)ではなくアイデンティティ・ベース(「〇〇する人になる」)で習慣を捉えるほうが定着すると述べている。

ウィリアム・ジェームズ(『心理学原理』)も、習慣を人格の基礎とみなし、行動の反復が人を形づくると論じた。

ただしジェームズは「一度も例外を作るな」という強い立場をとった。現代の研究では、例外があっても習慣形成は妨げられない(ラリーらの研究)ことが示されている。当社は現代側の立場を採る(途切れてよい)。

#学ぶこと

「報告を出す」ではなく、「詰まったことを言える人になる」と捉えたほうが続く。

#当社の仕組みへの反映

  • 05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md の仕上がり像を、「どうなっていたいか」の姿として描いた
  • 70_なりたい姿の宣言と目標運用.md で、本人自身になりたい姿を書いてもらう
  • スタンプも「作業をこなした印」ではなく、続けている自分が見える印として位置づける

#10. 『7つの習慣』との対応

スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』は、テクニックではなく人格を土台に置く点が特徴である。当社の制度は、結果としてこの構成に近い。

#10-1. コヴィーの「習慣」の定義

コヴィーは習慣を、次の3つが重なったものとして捉えている。

   知識(何を・なぜ)
        ×
   スキル(どうやって)
        ×
   意欲(したい)
        ↓
      習慣

3つが揃わないと習慣にならない。 当社の3段階は、これを順に埋めている。

コヴィーの要素当社で対応する段階
スキル(どうやって)ティーチング(型を教える)
知識(何を・なぜ)コーチング(目的と判断の理由を扱う)
意欲(したい)なりたい姿(本人の動機を起点にする)

順序に注意する。 意欲から入ろうとすると、動けない人が出る。当社が「まず型」としているのは、スキルが先に立つほうが早く自信につながるためである。

#10-2. 7つの習慣と、当社の仕組み

#習慣当社での現れ方
1主体的である指示待ちではなく、自分から関与する(05 フォロワーシップの2軸)
2終わりを思い描くことから始める1年後の仕上がり像を、入社1週目に渡す(05 5-4章)
3最優先事項を優先する月初に業務量を書き出し、締切から逆算して配置する(40 4章)
4Win-Winを考える権利と義務をセットで示す(50 3章)/なりたい姿と会社の期待を重ねる(70 4章)
5まず理解に徹し、そして理解されるコーチングで問いを投げ、20秒待つ(20 3-2章)
6シナジーを創り出す異論を歓迎し、代案とセットで扱う(50 5章 文化4)
7刃を研ぐ月1つの「なりたい姿に近づく項目」/半年ごとの制度見直し

#10-3. 特に押さえたい2つ

第3の習慣「最優先事項を優先する」

コヴィーは、緊急ではないが重要なこと(第II領域)に時間を割けるかが分かれ目だとした。教育と振り返りは、まさに第II領域である。放っておくと、必ず緊急の仕事に押し出される。

→ だから 45_面談・報告スケジュール.md で、曜日と時刻を固定枠として先に確保している。「空いたらやる」にしない。

インサイド・アウト(自分から始める)

コヴィーは、他者や環境を変える前にまず自分からという原則を繰り返し説いた。

47 7章で「まず経営者・教育担当が1ヶ月続けてから、全社員に紹介する」としているのはこのためである。上にいる人が続いていない仕組みは、下でも続かない。


#11. 面談で使える言葉

そのまま口に出して使える形にしておく。

場面言葉
続かないと落ち込んでいる「続かないのは意志の問題ではありません。続く形になっていないだけです。一緒に小さくしましょう」
1ヶ月で身についていない「習慣になるまで平均で2ヶ月ちょっと、人によっては半年以上かかると言われています。まだ全然普通です」
途切れてしまったまた今日から押せば大丈夫です。 途切れても何も起きません」
休むのをためらっている休んだ日は途切れない設計にしてあります。 続けるために無理をするのは、本末転倒なので」
やる気が出ないと言われた「やる気が出てから続くのではなくて、続いているのが見えるとやる気が出るそうです。順番が逆なんですよ」
目標を立てるとき「『報告を出す』より『詰まったことを言える人になる』のほうが続きやすいそうです」

#12. 出典と扱いの注意

本文書は、各理論の要点を当社向けに要約したものである。原典の言い回しをそのまま引用してはいない。

人物・著作分野
アリストテレス『ニコマコス倫理学』習慣(ヘクシス)と徳
ウィリアム・ジェームズ『心理学原理』習慣と人格
スティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』人格主義・第II領域・インサイド・アウト
B.J.フォッグ(スタンフォード大学)B=MAP モデル、Tiny Habits
ジェームズ・クリア『Atomic Habits』習慣の4法則、アイデンティティ・ベース
チャールズ・デュヒッグ『習慣の力』習慣ループ(きっかけ→ルーチン→報酬)
エドワード・デシ/リチャード・ライアン自己決定理論、アンダーマイニング効果
アルバート・バンデューラ自己効力感
カール・ワイクスモール・ウィンズ
ピーター・ゴルヴィツァー実行意図(if-then プランニング)
ダニエル・カーネマン/エイモス・トベルスキープロスペクト理論、損失回避
フィリッパ・ラリー ら(ロンドン大学)習慣形成に要する期間(平均66日)

#12-1. 引用するときの注意

  • 社内資料や顧客向け資料で使う場合、書籍本文の長い引用は避け、要約と出典表示にとどめる
  • 「アリストテレスの言葉」として広く流通している一節には、後世の要約が含まれる(2章参照)。断定的に引用しない
  • 理論はあくまで設計の根拠であり、権威づけのために使わない

マニュアル整備の進め方

  • 対象: 教育担当・全社員
  • 前提: 現在、業務マニュアルはほぼ未整備
  • 目的: ティーチングの土台となる手順書を、教育と並行して作る

#1. 基本方針

マニュアルが未整備の状態で育成を始めるにあたり、次の3つを原則とする。

#原則理由
1完成を待たない完璧なマニュアルを先に作ろうとすると、永久に着手できない
2教わった人が書く教えた人が書くと、前提を省いてしまう。分からなかった人が書くほうが分かりやすい
3使われないものは作らない誰も見ないマニュアルは、作った時間だけが損失になる

原則2が、教育担当の負担を最も下げる。新人にマニュアルを書かせることは、手抜きではなく、理解度を測る手段でもある。 書けない箇所は、理解していない箇所である。


#2. 全体の流れ

【STEP 1】 業務の棚卸し(教育担当・30分)
      ↓
【STEP 2】 優先順位づけ(定型業務から)
      ↓
【STEP 3】 教えながら、本人に書かせる
      ↓
【STEP 4】 教育担当が添削する(1本15分)
      ↓
【STEP 5】 次の人が使い、詰まった箇所を追記する
      ↓
      STEP 5 を繰り返して育てる

#3. STEP 1:業務の棚卸し

教育担当が、自分の1ヶ月の業務をすべて書き出す。30分で、箇条書きでよい。 きれいにまとめようとしない。

書き出す観点:

  • 毎日やっていること
  • 毎週やっていること
  • 毎月やっていること
  • 案件が来たときにやること
  • 誰かに聞かれて答えていること

#4. STEP 2:優先順位づけ

書き出した業務を、次の3分類に振り分ける。

分類定義マニュアル化の優先度
定型業務毎回同じ手順で完了する最優先。 ここから作る
半定型業務手順はあるが、状況で判断が入る2番目。判断部分は「判断基準」として別途書く
非定型業務都度考える必要がある作らない。 コーチングで扱う領域

#4-1. 定型業務の中での優先順位

定型業務が複数ある場合、次の順で作る。

基準理由
1頻度が高い使われる回数が多く、効果が大きい
2間違えると影響が大きい事故を防げる
3新人が最初に担当するティーチング初期に必要になる
4教える回数が多い(何度も同じ説明をしている)教育担当の時間が直接減る

「何度も同じ説明をしている業務」は、最も費用対効果が高い。 そこから作ると、効果を実感できる。


#5. STEP 3:教えながら書かせる

#5-1. 手順

やること担当
1実際にやって見せる(4ステップの①)教育担当
2見ながらメモを取る本人
3一緒にやる(②)両者
4その日のうちに、メモを手順書の形に清書する本人
5翌日、手順書を見ながら独力でやってみる(③)本人
6詰まった箇所を、手順書に赤字で追記する本人
7教育担当が確認・添削する教育担当

4を「その日のうちに」行う。 翌日以降になると、細部を忘れる。忘れた箇所こそ、次の人が詰まる箇所である。

#5-2. 手順書のフォーマット

様式は templates/07_手順書テンプレート.md を使う。最低限、次を含める。

項目内容
業務名何の手順か
目的何のためにやるのか(これがないと応用できない)
頻度・期限いつやるか
前提・準備するもの必要なアカウント・ファイル・情報
手順番号つきで、1手順1行
完了の判断基準どうなったら完了か
よくあるつまずき詰まった箇所と対処
判断が必要な箇所迷ったら誰に聞くか
作成者・更新日誰がいつ書いたか

「目的」と「完了の判断基準」を必ず入れる。 手順だけの文書は、少し状況が変わると使えなくなる。


#6. STEP 4:添削

教育担当は、1本あたり15分で添削する。書き直さない。 指摘して、本人に直させる。

添削の観点:

  • 目的が書かれているか
  • 手順が飛んでいないか(自分ができるからと省略していないか)
  • 専門用語に説明があるか
  • 完了の判断基準が具体的か
  • 判断が必要な箇所に「誰に聞くか」が書かれているか
  • 実際にこれを見て、知らない人ができるか

最後の項目が本質である。判断に迷ったら、その業務を知らない人に読ませてみる。


#7. STEP 5:使いながら育てる

マニュアルは、作った時点では未完成である。使われて初めて完成に近づく。

ルール内容
詰まったら追記する手順書を見て詰まったら、その場で追記する。後でやろうとしない
直したら日付を入れる更新日と更新者を残す
間違いを見つけたら直す「気づいた人が直す」を全社ルールにする
使われないものは削る半年間参照されていない手順書は、削除を検討する

「気づいた人が直す」を明示的にルール化する。 作成者に許可を取る運用にすると、誰も直さなくなる。


#8. 保管場所とルール

項目ルール
保管場所全員がアクセスできる共有の場所1か所に集約する
個人の手元手元に置かない。共有場所に置く
命名「業務名_手順書.md」のように、探せる名前にする
形式既存のツールでよい。新しいツールを導入しない
索引手順書が10本を超えたら、一覧を作る

新ツール導入は、マニュアル整備の最大の失敗要因である。 ツールの習得に時間が取られ、肝心の中身が作られないまま終わる。今使っているもので始めること。


#9. 進め方の目安

時期目標
導入から2週間業務の棚卸しと優先順位づけを完了する
導入から1ヶ月最優先の定型業務3本の手順書ができている
新人の1ヶ月目教わった業務のうち、5本を本人が清書している
新人の3ヶ月目担当する定型業務の手順書が、ひととおり揃っている
半年後判断基準(半定型業務)の文書化に着手する

最初の3本ができれば、あとは回り始める。 まず3本に集中すること。


#10. よくある失敗

失敗対処
完璧に作ろうとして進まない8割で公開する。使いながら直す
教育担当が全部書いてしまう本人に書かせる。添削だけにする
作ったが誰も見ない「まず手順書を見る」を質問の前提(30分ルールの①)にする
更新されず古くなる「気づいた人が直す」をルール化する。更新日を必ず入れる
新ツールを導入して頓挫する既存ツールで始める
非定型業務まで文書化しようとする作らない。コーチングで扱う

行動規範:権利と義務のバランス

  • 対象: 全社員(新人・既存社員を問わない)
  • 目的: 自社の文化と働き方のルールを言語化し、定着させる
  • 開始時期: 制度導入の最初のステップ(STEP 1)

#1. この文書の位置づけ

当社は自由度の高い働き方を大事にしてきた。その自由を維持していくために、権利と義務の関係をはっきりさせておく必要がある。ここで扱うのはその内容である。

これまで当社は、経験と暗黙の了解で動いてきた。人数が少ないうちはそれで回る。しかし人が増えると機能しなくなる。言語化されていないルールは、新しく入った人には存在しないのと同じだからである。

本文書は、罰則を定めるものではない。「何を守れば、自由にやってよいのか」を明示するものである。守る側にとっては、判断の拠り所が増えるということでもある。

誰かの働き方を正すために作ったものではない。

これから人が増えても同じように働ける状態をつくるためのものである。


#2. 自由の定義

当社は自由な社風を維持する。ただし、次を明確にしておく。

自由とは「何をしてもよい」ことではない。

「果たすべきことを果たした人が、やり方を選べる」状態を指す。

この定義から、次が導かれる。

命題内容
自由は前提ではなく、結果である義務を果たしている人に、裁量が渡される
自由は一律ではない果たしている範囲に応じて、選べる範囲が変わる
自由は取り消されうる義務が果たされなくなれば、裁量は一時的に戻る
自由は罰ではなく設計である裁量を戻すのは制裁ではなく、支援が必要な状態だという判断である

最後の1点を必ず伝える。 裁量を戻すことを罰として運用すると、社内に恐怖が生まれ、報告が出てこなくなる。制度全体が壊れる。


#3. 権利と義務の対応表

権利は、対応する義務とセットで示す。 片方だけを掲げない。

権利(選べること)対応する義務(果たすこと)
仕事の進め方を自分で決められる決めた進め方を説明でき、期限内に完了させる
働く時間を柔軟に調整できる予定を事前に共有し、連絡がつく状態を保つ
働く場所を選べる(可能な業務)成果と進捗が、離れていても見える状態にする / 基本は出社。自宅作業の条件は 55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md
意見を述べ、異論を出せる代案を添える。決まったあとは決定に従う
失敗しても責められない早く報告する。隠さない。同じ失敗を繰り返さない
やりたい仕事に手を挙げられる今の担当を果たしている
質問し、教えてもらえる自分で調べ、AIに聞いてから持ち込む(30分ルール)
休みを取れる事前に申告し、その期間の業務を組み替えてから休む

#3-1. この表の使い方

  • 入社1週目に、教育担当と本人で読み合わせる(渡して終わりにしない)
  • 権利を主張する場面が出たとき、対応する義務が果たされているかを一緒に確認する
  • 義務が果たされていない場合、権利を否定するのではなく、「まずこちらを果たしましょう」と順序を示す

#4. 全社員が守る基本ルール

新人だけに課さない。 既存社員が守っていないルールは、新人にも定着しない。

#4-1. 時間

ルール内容
始業定刻に業務を開始できる状態にしておく
遅刻・欠勤始業前に連絡する。事後連絡にしない
会議定刻に開始する。遅れる場合は事前に伝える
締切守る。守れない見込みが立った時点で、守れなくなる前に伝える

#4-2. 連絡・報告

ルール内容
報告の3軸予定・現状・完了を、決められた頻度で提出する(40_報告運用ルール.md
悪い報告早く出す。早く出した人を責めない
返信業務時間内に受けた連絡には、業務時間内に一次返信する(内容は後でもよい)
不在離席・外出・休暇は、事前に分かる状態にする

#4-3. 仕事の進め方

ルール内容
完了の定義「作業した」ではなく「次に渡せる状態」を完了とする
手順決まっている手順は守る。変えたい場合は、変える前に提起する
質問自分で調べる → AIに聞く → 人に聞く(30分ルール)
記録決めたこと・教わったことは記録に残す
保存場所決められた場所に保存する。個人の手元に留めない

#4-4. 人との関わり

ルール内容
異論述べてよい。ただし代案を添える。決まったら従う
陰口本人のいないところで不満を言わない。言うべきことは本人か経営者に言う
指摘人格ではなく、行動と事実に対して行う
相手の時間質問・相談の前に、相手が手を止められる状況かを確認する
助け合い明らかに困っている人がいたら、声をかける

#5. 当社の文化(言語化)

ルールとは別に、判断に迷ったときの拠り所となる価値観を言語化する。ルールは「やること」、文化は「迷ったときの選び方」である。

#文化意味するところ迷ったときの判断
1悪い情報ほど早く遅れ・失敗・不都合は、早く出すほど価値がある「言いにくいこと」は、言いにくいと感じた時点で出す
2やり方は自由、目的は共有手段は任せる。ただし何のためかは全員が同じ理解を持つ迷ったら「これは何のためか」に戻る
3考えてから聞く、抱えずに聞く自分で考える。ただし抱え込まない30分やって出口が見えなければ、持っていく
4決まるまでは自由に、決まったら揃える議論は対等。決定後は全員で実行する反対でも、決まったことは実行する。再提起は次の機会に
5人ではなく、仕組みを直す失敗は、次に同じ失敗が起きない仕組みに変える「気をつける」で終わらせない
6できないことは、できないと言う見栄を張らない。分からないことは分からないと言う分からないまま進めると、あとで大きな手戻りになる

この6項目は、増やさない。 増やすほど覚えられず、機能しなくなる。運用して合わないものが出たら、差し替える。


#6. 文化を定着させる方法

言語化しただけでは定着しない。定着は、日常の反応の積み重ねで決まる。

定着させたいことそのために日常でやること
悪い情報を早く出す早い報告に「ありがとう」と返す。遅れの報告を叱らない
異論を出す異論が出たら、まず「言ってくれてありがとう」。採否はその後
抱え込まない30分ルールを教育担当自身も守る(自分も人に聞く姿を見せる)
決まったら揃える経営者自身が、決まったことを覆さない
仕組みを直す失敗の振り返りを、必ず仕組みの変更まで持っていく
分からないと言う教育担当自身が「これは分からない、調べます」と言う

すべての項目に共通するのは、「上にいる人が先にやる」ことである。 文化は、下から定着することはない。

#6-1. 最も壊れやすい瞬間

次の場面で、文化は一瞬で壊れる。ここだけは絶対に守ること。

場面壊れる行動守るべき行動
遅れの報告を受けたとき「なんでもっと早く言わないの」と反応する「早く言ってくれてよかった」と返し、対処の話に移る
異論を出されたとき表情や語気で不快を示す「なるほど」と一度受け取る。反論はその後
忙しいときに質問されたとき「今忙しい」とだけ返す「15時なら空くので、そこで聞きます」と時間を示す
自分(上位者)が締切を破ったとき説明せずに流す自分から遅れを申告する。ルールは自分にも適用する

#7. ルールが守られないときの扱い

罰則ではなく、段階的な確認として運用する。

段階状況対応
11回目その場で事実を伝える。「〜がありました」と行動を指摘する
2繰り返す本人ではなく、まず原因を確認する。 分かっていないのか、できない事情があるのか
3原因が「分かっていない」教育側の問題。改めて説明し、記録に残す
4原因が「事情がある」事情を踏まえて、ルールの適用を調整する(例外を明示的に認める)
5原因が「守る意思がない」権利と義務の対応表(3章)に戻り、裁量を一時的に戻す
6改善しない経営者と本人で協議する

段階2を飛ばさない。 いきなり指導に入ると、事情を抱えている人を追い詰める。

#7-1. 例外を認める場合

事情があってルールを守れない場合、例外を明示的に認める。黙認しない。

黙認明示的な例外
「あの人は遅れても何も言われない」と周囲に見える「〇〇さんは、この期間はこの条件で運用します」と共有する
不公平感が生まれる理由が分かるので、納得が得られる
他の人もルールを守らなくなるルール自体は維持される

事情の詳細(健康・家庭など)は共有しない。運用がどう変わるかだけを共有する。


#8. 既存社員への導入について

本文書は全社員が対象である。新人にだけ課すと、制度は必ず失敗する。

導入時は、次の順で進める。

やること
1経営者が、この文書を作った理由を自分の言葉で説明する
2全員で読み合わせる(配布だけにしない)
3「守れそうにない」項目があれば、その場で出してもらう
4出た意見を反映して、実際に守れる内容に調整する
5調整後の版を確定し、運用を開始する

3と4を必ず行う。 守れないルールを掲げると、他のルールまで守られなくなる。最初は少なく、確実に守れるものから始めるほうがよい。

#8-1. 説明のときに伝えること

伝え方の例:「これは、誰かを縛るために作ったものではありません。人が増えていく中で、『言わなくても分かるはず』が通じなくなってきました。何を守れば自由にやっていいのかを、はっきりさせるための文書です。守れそうにないものがあれば、今この場で言ってください。直します」


#9. 見直し

タイミングやること
半年に1回守られていない項目を洗い出す。削るか、守れる形に変える
新しい人が入るたび読み合わせを行い、伝わりにくかった箇所を修正する
ルールで解決した失敗があったとき有効だった項目として記録する

項目を増やすより、機能していない項目を削ることを優先する。

自宅作業(在宅)の考え方とルール

  • 対象: 全社員
  • 位置づけ: 50_行動規範_権利と義務.md の一部を、独立して詳しく定めたもの
  • 作成日: 2026-07-29

この文書の目的は、禁止することではありません。

自宅作業を認める条件と、なぜ出社を基本とするのかを、理由から説明することが目的です。

ルールだけを渡すと、「認めてもらえない」か「いつでも在宅でよい」のどちらかに誤解されます。


#1. 基本方針

#方針
1基本は出社とする
2子どもの急な事情など、やむを得ない場合は自宅作業を認める
3ただし、自宅作業が成立するには2つの前提がある(4章)
4前提が揃わない場合は、無理に働かず休むほうがよい

4を明記しておくことが重要です。 自宅作業を「休まずに済む手段」として運用すると、体調が悪くても子どもが熱を出しても働くことが当たり前になります。それは会社が望む状態ではありません。


#2. なぜ出社を基本とするのか

「決まりだから」では納得できない。 実際に何が変わるのかを説明する。

#2-1. 10名以下の組織で、出社が効いている5つのこと

#出社で起きていること在宅だと何が起きるか
1すれ違いざまの確認 「これ、こういう理解で合ってますか」が5秒で済むわざわざ連絡する手間が発生し、確認しないまま進めてしまう
2詰まりが見える 手が止まっている、表情が曇っている、が周りから分かる本人が言い出すまで、誰も気づけない
3雑談から出る情報 お客様の様子、進行中の話、何となくの気配が共有される決まったことしか伝わらない。背景が抜ける
4教える/教わる速度 見せる・一緒にやるが、その場でできる画面共有の準備が要る。手を取って教えられない
5聞ける空気 「今いいですか」が言いやすい状態は、同じ場にいることで作られる相手の状況が見えず、聞くこと自体のハードルが上がる

特に2と5が重要です。 本制度は「詰まりを早く出すこと」を軸にしています(30分ルール・詰まりの報告義務)。在宅では、この軸を支える環境が弱くなります。

#2-2. 誤解しないでほしいこと

よくある誤解実際
在宅だとサボると思われている思っていません。 上記5点は、真面目に働いていても起きることです
成果さえ出せば場所は関係ない個人の成果はそうです。ただし組織としての速度と情報共有は別問題です
出社は昔からの慣習慣習ではなく、10名以下という規模の事情です。人が少ないぶん、1人分の情報が途切れる影響が大きくなります
在宅を申請すると評価が下がる下がりません。 申請したこと自体を不利に扱いません(7-3章)

#3. 自宅作業を認めるケース

次の場合、自宅作業を認めます。遠慮せず申し出てください。

区分具体例
子どもの急な事情発熱・急病、学級閉鎖・休園、保育園等からの呼び出し、急な学校行事
家族の介護・看護急な体調不良への対応が必要な場合
本人の体調出社は難しいが、業務は可能な状態
交通機関・天候運休、災害警報など
その他事前に相談のうえ、教育担当・経営者が認めた場合

理由の詳細を説明する必要はありません。 区分と期間だけで十分です(templates/05_イレギュラー申請シート.md)。


#4. 自宅作業が成立する2つの前提

自宅作業は、次の両方が揃って初めて成立します。片方だけでは成立しません。

   前提①                        前提②
自分のリソースを          今すぐ進めるべき
自分で処理できる    +    業務が明確にある
(Lv.2以上)              (納期が迫っている等)
        ↓                        ↓
        └────────┬───────┘
                     ↓
              自宅作業が成立する

#4-1. 前提①:自分のリソースを自分で処理できるレベル

「Lv.2(自律遂行)以上」であることが条件です05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md 5-1章)。

具体的には、次がすべてできている状態です。

  • 指示がなくても、その日やることの優先順位を自分で決められる
  • 月の業務量を自分で把握し、予定どおり進められる
  • 詰まったとき、30分で見切りをつけて自分から連絡できる
  • 完了の定義(次に渡せる状態)を、自分で判断できる
  • 遅れそうなとき、遅れる前に自分から伝えられる

なぜこれが条件になるのか

在宅では、誰も声をかけてくれません。「詰まっていることに、自分で気づいて、自分から出す」ことが全部必要になります。 これができない段階で在宅にすると、一日中止まったまま誰も気づかない、という事態が起きます。

これは能力を疑っているのではなく、在宅という環境が要求する水準の話です。

#4-2. 前提②:今すぐ進めるべき業務が明確にあること

自宅作業は、「休むと間に合わないものがあるから、場所を変えて進める」という手段です。

状況判断
納期が迫っている業務がある→ 自宅作業で進める
お客様を待たせている案件がある→ 自宅作業で進める
自分の完了が、他の人の着手条件になっている→ 自宅作業で進める
急ぎの業務がなく、在宅でできることも特にない休んでください(4-3章)
在宅ではできない業務しか残っていない→ 休むか、予定を組み替える

「何をやるか」が曖昧なまま在宅にしない。 申請時に、その日進める業務を具体的に書いてもらいます。

#4-3. 前提が揃わないときは、休む

これが最も伝えたい点です。

急ぎの仕事がないのに、子どもの看病をしながら無理に働く必要はありません。中途半端に働くと、看病も仕事もどちらも中途半端になります。

休むことは、権利であると同時に、正しい判断です。

休んで、翌日以降に予定を組み替えるほうが、結果的に速く終わります。

休む場合は templates/05_イレギュラー申請シート.md で、その週の予定の組み替えを一緒に決めます。


#5. 育成段階別の可否

前提①(Lv.2以上)と直結するため、育成段階によって扱いが変わります。

段階目安レベル自宅作業理由
ティーチング期(〜3ヶ月)Lv.0〜1原則不可「見せる・一緒にやる」が成立しない。詰まりを自分で出せる段階にまだない
コーチング期(〜6ヶ月)Lv.1〜3条件付きで可前提①のチェックリスト5項目を満たしていれば可。教育担当が個別に判断する
メンタリング期(6ヶ月〜)Lv.3前提②を満たせば、都度の判断は本人に任せる
既存社員Lv.3相当同上

#5-1. ティーチング期に事情が発生した場合

「原則不可」ですが、出社できないなら休んでください。 無理に在宅で作業させることはしません。

その日教える予定だった内容は、翌日以降に振り替えます。2週間以上の中断が生じた場合は、育成段階の期間を中断日数分だけ後ろ倒しします00_人材育成制度_全体設計書.md 9章)。遅れを本人の責任にしません。

ただし、次は在宅でも可能なため、状況に応じて相談してください。

  • 手順書の清書(教わった内容をまとめる)
  • 資料を読む、調べる
  • 週次報告シートの記入

#5-2. コーチング期の判断

教育担当が、前提①のチェックリスト(4-1章)で判断します。判断結果と理由を本人に伝えてください。

伝え方の例:「今の段階だと、詰まったときに自分から声を上げるまでが少し長いので、在宅だと一日止まってしまう心配があります。今回は休むか、半日だけ出社にしませんか」


#6. 手続き

#6-1. 事前にわかっている場合

いつやること
前週までtemplates/05_イレギュラー申請シート.md を提出する
提出時その日進める業務(前提②)を具体的に書く
教育担当前提①②を確認し、可否と対応を回答する

#6-2. 当日の急な事情(子どもの発熱など)

シートは後回しでかまいません。 まず連絡してください。

やること期限
1始業前に連絡する(電話・チャットいずれでも可)始業時刻まで
2「在宅で進めたいか/休みたいか」の希望を伝える同上
3その日進める業務を、教育担当と5分で決める始業後30分以内
4シートは、落ち着いてから提出する当日中〜翌営業日

手続きより、連絡が先です。 子どもの看病をしながらシートを書かせるようなことはしません。


#7. 自宅作業の日の進め方

出社時と違い、周りから状況が見えません。 その分だけ、見えるようにする手間を本人が負担します。

#7-1. 守ること

#やること理由
1始業時に「開始します/今日やること」を連絡するその日の稼働が周りに分かる
2終業時に「完了したこと/残ったこと」を連絡する進捗が見える
3連絡がつく状態を保つ(応答は業務時間内でよい)急ぎの確認が止まらない
4中座する場合は伝える(通院・送迎など)応答がない理由が分かる
5詰まったら30分ルールを守る(出社時より厳格に)在宅では誰も気づけない
6顧客情報・機密情報の取り扱いに注意する30_AIメンタリング_運用ルール.md 3-3章に準じる

#7-2. 会社が約束すること

#会社側がやること
1申請を出したことを、評価上不利に扱わない
2在宅の日でも、必要な情報を届ける(会議の内容、決まったこと)
3その日の予定を、教育担当が引き取るか再配置する
4事情の詳細(家庭・健康)を、周囲に共有しない。運用がどう変わるかだけを共有する
5在宅が続く場合、担当業務の組み替えを一緒に検討する

2を守れないと、在宅の人が情報から切り離されます。 これは会社側の責任です。

#7-3. 申請を不利に扱わない

申請回数を記録して評価に使うことはしません。

子どもがいる社員は、構造的に急な事情が発生しやすくなります。これを不利に扱うと、次が起きます。

  • 無理をして出社し、子どもの体調が悪化する
  • 申請せず黙って休む/連絡が遅れる
  • 定着しない

申請が出てくる状態のほうが、組織にとって健全です。


#8. 面談・報告の扱い

自宅作業の日に面談枠がある場合の扱いです(45_面談・報告スケジュール.md)。

在宅時の扱い
日次の完了報告そのまま実施(チャット等で可)
週次報告の提出そのまま実施(提出物なので影響なし)
週次面談(金 16:30)オンラインで実施。やむを得ない場合のみ、その週のうちに代替日を設定
コーチング半日(水 13:00〜)原則、代替日を設定する。 伴走(90分の同席)が在宅では成立しないため
隔週1on1オンラインで実施可
月次予定づくり・月末振り返りオンラインで実施可

コーチング半日だけは、オンラインで代替しないでください。 「横で見て、口を挟まない」が中核であり、画面越しでは機能しません。その週のうちに別日を設定します。


#9. 本人に伝えるときの言葉

制度として渡すだけでなく、入社1週目の行動規範の読み合わせで、口頭でも伝えてください。

「うちは基本は出社です。理由は、10名以下だと、すれ違いざまの確認とか、誰かが詰まってるのが見える、といったことで回っている部分が大きいからです。

ただ、お子さんの急な発熱とか、やむを得ないことは必ず起きます。そのときは在宅で進めてもらってかまいません。遠慮しないでください。申請したことで評価が下がることはありません。

ひとつだけ理解しておいてほしいのは、在宅は『自分で自分の仕事を回せる状態』が前提になる、ということです。在宅だと誰も声をかけてくれません。詰まったら自分から出す必要があります。だから最初の3ヶ月は、原則出社でお願いしています。できないと思っているのではなく、環境の話です。

それと、急ぎの仕事がないのに無理に在宅で働く必要はありません。そういうときは、休んでください。看病しながら中途半端に働くより、そのほうが結果的に速いです」


#10. 就業規則との整合

本文書は育成・業務運用上の考え方を定めたものです。次については、就業規則および法令との整合を確認してください。

確認項目確認先
在宅勤務規程の有無、労働時間の取り扱い就業規則
子の看護休暇・介護休暇との関係育児介護休業法/就業規則
通信費・光熱費等の費用負担就業規則・労使の取り決め
労災の適用範囲必要に応じて社会保険労務士等

本文書の運用が、法令上の休暇取得を妨げるものであってはなりません。 子の看護休暇等を取得できる場合、「在宅で働く」を強制することはありません。


#11. 見直し

タイミングやること
半年ごと(4月・10月)在宅の申請件数と、実際に困ったことを確認する
在宅が定常化した場合「基本は出社」の前提自体を見直す
社員数が増えた場合出社が効いている5点(2-1章)が変わるため、前提を再検討する

この文書は、10名以下という規模を前提にしています。 規模が変われば、判断も変わります。


#12. 関連文書

文書関係
50_行動規範_権利と義務.md「働く場所を選べる」権利と、対応する義務(成果と進捗が離れていても見える状態にする)
05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md前提①のLv.2(自律遂行)の定義
45_面談・報告スケジュール.md在宅時の面談の扱い
40_報告運用ルール.md完了の定義、報告の3軸
templates/05_イレギュラー申請シート.md申請様式

勤怠・申請の運用(マネーフォワード)

  • 対象: 全社員
  • 位置づけ: 自社固有の運用文書(使用ツールに依存するため、90番台に置いている)
  • 関連: 55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md40_報告運用ルール.md

#1. どこで何をするか

当社では、勤怠と申請をマネーフォワード(以下マネフォ)で行います。

やること使うもの
出勤・退勤の打刻マネフォ
休暇の申請(有給・特別休暇など)マネフォ
残業・時間外の申請マネフォ
経費の精算マネフォ
遅刻・欠勤・当日の連絡まずチャット等で連絡 → 後からマネフォで申請
その日の業務をどう組み替えるか教育担当と口頭・チャットで5分

#1-1. マネフォと制度の役割分担

ここを混同すると二重作業になります。目的が違います。

マネフォ育成制度側(報告・面談)
何のため労務上の記録(勤怠・休暇・経費の正式な記録)業務の進行管理(何が進み、何が詰まっているか)
誰が見る会社・労務担当教育担当
記録されるもの何時から何時まで働いたか、休んだか何が完了し、何に詰まったか

勤怠はマネフォ、業務の中身は報告シート。 同じことを二度書く必要はありません。


#2. 毎日の使い方

タイミングやること
業務開始時マネフォで出勤打刻
休憩会社の運用に従って記録(記録方法は入社時に案内します)
業務終了時マネフォで退勤打刻 → そのあと終業前の5分(報告)

打刻 → 報告の順番にすると忘れにくくなります。「退勤を押したら5分書く」をセットにしてください(48_習慣化の心理学_背景となる考え方.md の「きっかけを行動に結びつける」)。

#2-1. 打刻を忘れたとき

申告すれば直せます。隠さないでください。

  1. 気づいた時点で、マネフォから打刻修正(勤怠修正)を申請する
  2. 実際の時刻を正直に入力する
  3. 承認者が確認して承認する

打刻漏れそのものを責めることはありません。申告が遅れるほうが困ります(締め後だと修正の手間が増えるため)。


#3. 申請のワークフロー

  ① 本人がマネフォで申請
        ↓
  ② 承認者が内容を確認
        ↓
  ③ 承認 → 勤怠に反映
        ↓
  ④ 月末の締めで確定

承認者と締め日は、入社時に案内します。 分からなくなったら遠慮なく聞いてください。

#3-1. いつ出すか

申請出すタイミング
有給・事前にわかっている休暇前週まで55 6-1章と同じ)
当日の欠勤始業前に連絡 → その日のうち〜翌営業日に申請
残業・時間外会社の運用に従う(事前申請か事後申請かは、入社時に案内します)
打刻の修正気づいた時点ですぐ
経費精算締め日まで

「連絡」と「申請」は別物です。 当日の急な事情では、連絡が先、申請は後でかまいません。


#4. 場面別の手順

#4-1. 子どもが熱を出して、当日休む

やることどこで
1始業前に連絡するチャット・電話
2「休みたい/在宅で進めたい」の希望を伝える同上
3その日の業務をどうするか、5分で決める教育担当と口頭
4落ち着いてから休暇を申請するマネフォ

手続きより連絡が先です。 看病しながらマネフォを操作する必要はありません(55 6-2章)。

#4-2. 子どもの事情で、在宅にする

やることどこで
1始業前に連絡するチャット
2その日進める業務を決める(55 4章の前提②)教育担当と口頭
3通常どおり打刻する(在宅でも勤務は勤務)マネフォ
4始業時「開始します/今日やること」を連絡チャット
5終業時「完了/残り」を連絡 → 退勤打刻 → 報告チャット+マネフォ

在宅の日も打刻します。 休暇申請ではありません。

#4-3. 有給を取る

やること
1前週までにマネフォで申請
2その週の予定を組み替えて提出(40_報告運用ルール.md 月初の予定を修正)
3自分の完了が誰かの着手条件になっていれば、先に伝える

有給の取得に理由の説明は要りません。 業務の組み替えだけ済ませてください。

#4-4. 通院・子どもの送迎などで中抜けする

やること
1事前に分かっていれば、前日までに伝える
2会社の運用に従って記録する(中抜けの扱いは入社時に案内します)
3中座することをチャットで伝える(在宅時は特に)

#5. 育成段階との関係

勤怠のルールは、育成段階に関係なく全員同じです。 ただし、次だけは段階で変わります。

項目扱い
打刻・休暇申請全員同じ。 入社初日から
在宅で働くかどうか段階により異なる(55 5章。ティーチング期は原則出社)
業務の組み替えを誰が考えるかティーチング期は教育担当、コーチング期以降は本人が案を出す

入社1週目に、マネフォの使い方を必ず案内してください10_ティーチング_カリキュラム.md 4-1章の2日目「業務環境のセットアップ」に含めます)。


#6. 教育担当・承認者がやること

やることやらないこと
申請が来たら、その日のうちに承認する承認を溜める(本人が締めに間に合わなくなる)
打刻漏れの申告を、そのまま受け取る打刻漏れを責める
締め前に未申請がないか声をかける申請回数を記録して評価に使う
休暇申請の理由を聞かない「なぜ休むのか」を確認する

申請を出したことを不利に扱いません55 7-3章)。承認が遅いと、本人は次から出しにくくなります。


#7. 締めと確認

いつやること誰が
月末(締め日)自分の勤怠に漏れがないか確認して提出本人
締め後内容を確認して承認・確定承認者

締め日は入社時に案内します。 月末の振り返り(40_報告運用ルール.md 7章)と近い時期になるため、同じ日にまとめて済ませると楽です。


#8. 困ったとき

状況どうするか
打刻を忘れたマネフォから修正申請。責められません
操作が分からないまずマネフォのヘルプを見る → 解決しなければ人に聞く(30分ルール)
ログインできないすぐ人に聞いてください(30分ルールの対象外。業務が止まるため)
申請が承認されない承認者に直接確認してよい
自分の勤怠が実態と違う締め前に申し出る。締め後でも申し出てよい

ID・パスワードは、AIに入力しないでください30_AIメンタリング_運用ルール.md 3-3章)。


#9. 会社ごとに決めていること

次は入社時に案内します。分からなくなったら、いつでも聞いてください。

  • 使用しているマネーフォワードのサービス構成
  • ログインURL・アカウントの発行方法
  • 承認者は誰か
  • 締め日はいつか
  • 休憩・中抜けの記録方法
  • 残業申請は事前か事後か
  • 経費精算の締めと精算日

#10. 関連文書

文書関係
55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md在宅・休暇の判断基準。連絡が先、申請が後
40_報告運用ルール.md業務の報告。勤怠とは別物
50_行動規範_権利と義務.md遅刻・欠勤は始業前に連絡
templates/05_イレギュラー申請シート.md業務の組み替えが複雑なときに使う(通常はマネフォ+口頭で十分

なりたい姿の宣言と目標運用

  • 対象: 全社員(入社時から適用)
  • 目的: 本人が「自分がどうなりたいか」を提示し、それを起点に自ら頑張れる状態をつくる
  • 位置づけ: 会社が用意した到達基準(Lv.1〜3)と、本人の動機を接続する仕組み

#1. なぜこの仕組みが必要か

05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md では、会社が保証する仕上がりを Lv.3までと定めた。ではLv.4(価値創出)へ向かう力は、どこから来るのか。

会社が与えるものではなく、本人の「こうなりたい」から来る。

会社が用意したゴールだけで走らせると、次が起きる。

会社のゴールだけの場合本人のなりたい姿と接続した場合
「言われたから」やる「自分のためになるから」やる
Lv.3に届いた時点で止まるLv.3の先へ自分で進む
指摘が「否定」に聞こえる指摘が「近道の情報」に聞こえる
頑張る理由を会社が供給し続ける必要がある本人の中に燃料がある

フォロワーシップの2軸でいえば、「関与する力」を伸ばす中核がここにある05_フォロワーシップと教育範囲の基準.md 3章)。考える力は問いかけで伸ばせるが、関与する力は、本人の動機に触れないと伸びない。


#2. 仕組みの全体像

【入社1週目】なりたい姿を書く(本人)
        ↓
【入社2週目】教育担当と読み合わせ、会社の期待と重ねる
        ↓
【毎月】月初の予定づくりのとき、なりたい姿に近づく項目を1つ入れる
        ↓
【3ヶ月・6ヶ月・1年】見直す。変わってよい
        ↓
【1年目以降】半年ごとに更新し、業務の割り当てに反映する

様式は templates/08_なりたい姿シート.md を使う。


#3. 「なりたい姿」の書き方

#3-1. 3つの時間軸で書く

1つの問いでは書けない。時間軸を分けると書きやすくなる。

時間軸問い期待する粒度
1年後どんな仕事を、どのくらい任されている状態でいたいか具体的。業務名レベル
3年後何ができる人だと言われていたいか中程度。役割・強みレベル
その先仕事を通じて、どうなっていたいか曖昧でよい。方向だけ

1年後だけは具体的に書かせる。 「成長したい」「役に立ちたい」では、日々の行動に落ちない。

❌ 落ちない書き方✅ 落ちる書き方
成長したい〇〇の案件を、一人で最初から最後まで回せるようになりたい
役に立ちたい誰かの確認がなくても、△△の判断を自分でできるようになりたい
頑張ります手順書を見なくても、□□を30分で終えられるようになりたい

#3-2. 「特にない」場合の扱い

新人の多くは、なりたい姿を持っていない。 これは問題ではない。無理に書かせると、その場しのぎの嘘の目標が生まれ、以後の対話がすべて空回りする。

「特にない」場合は、次の順で引き出す。

問いねらい
1これまでで、やっていて面白かったことは何ですか(仕事以外でもよい)動機の方向を探る
2逆に、これはしんどいと感じたことは何ですか避けたい方向を明確にする
3当社の仕事の中で、少しでも興味が湧いたものはありますか現在地と接続する
41年後、「これができるようになっていたら嬉しい」と思うものはありますか小さくてよいので具体化する
5逆に、「1年後もこれができていなかったら嫌だな」と思うものはありますか避けたい姿から入る

5が効くことが多い。 「なりたい姿」は出てこなくても、「なりたくない姿」は出てくる人が多い。それも立派な出発点である。

それでも出てこない場合は、保留にする。 「今は無理に決めなくていいです。3ヶ月後にまた聞きます」と伝え、シートは空欄のまま置く。3ヶ月やってみて初めて見えることは多い。

#3-3. 内容に口を出さない

書かれた内容を、教育担当が評価・否定しない。

❌ やってはいけない理由
「それはうちでは無理だね」二度と本音を書かなくなる
「もっと現実的なことを書いて」会社が望む答えを書くようになる
「そのためにはまず〜すべき」と説教する宣言の場が、指導の場に変わる
会社の方針に合わせて書き直させる本人の動機ではなくなり、燃料にならない

やることは、聞くことと、重ねることだけである。


#4. 会社の期待と重ねる

入社2週目に、教育担当と本人でシートを読み合わせる。ここで重ねる作業を行う。

#4-1. 3つの領域に分ける

   ┌─────────────┐   ┌─────────────┐
   │  本人が       │   │  会社が       │
   │  なりたい姿    │ A │  期待すること  │
   │      B       │重なり│      C       │
   └─────────────┘   └─────────────┘
領域内容扱い方
A:重なる部分本人もやりたいし、会社も任せたい最優先で機会を渡す。 ここが燃料になる
B:本人だけ本人はやりたいが、今の会社の業務にはない否定しない。将来の可能性として残す。関連する業務があれば橋を架ける
C:会社だけ会社としては必要だが、本人の関心が薄いやる必要があることは、正直に伝える。 ただし「何のためか」を必ず添える

#4-2. Cの伝え方が最も重要

すべての業務が本人のやりたいことと一致することはない。Cを隠さず、正直に伝える。

伝え方の例:「〇〇はあなたのやりたいことと直接つながらないかもしれません。でも当社では必要な業務ですし、これができると△△の判断もできるようになります。そこはあなたの『□□をやりたい』にもつながります」

「これも仕事だからやって」で済ませない。 目的を説明する手間を惜しむと、Cの業務は必ず質が落ちる。

#4-3. Bを潰さない

本人のやりたいことが今の会社にない場合、「うちではできない」と切らない。

「それはうちの仕事じゃないね」「今はその業務はありません。ただ、〇〇の部分は近いので、そこから触ってみますか」
話題にしない半年ごとの見直しで、必ず状況を確認する

小規模組織では、本人のやりたいことが新しい事業の種になることがある。潰すと、その可能性ごと失われる。


#5. 日々の運用への落とし込み

宣言しただけでは何も変わらない。月次の予定づくりに組み込む。

#5-1. 月に1項目のルール

月初の予定づくり(40_報告運用ルール.md 4章)のとき、なりたい姿に近づく項目を1つ入れる。

項目内容
月に1つだけ。 増やさない
大きさその月の稼働の5%以内(20時間/月なら1時間程度でもよい)
内容業務の中でできることを優先する(研修や勉強より、実務での経験)
記録月次の振り返りで、やったかどうかを確認する

「1つだけ」が重要である。 多くすると本業を圧迫し、続かない。1つなら、忙しい月でも守れる。

#5-2. 項目の例

なりたい姿月に入れる1項目
〇〇案件を一人で回したい今月は、〇〇案件の見積もり部分だけ自分で作ってみる
お客様と直接話せるようになりたい今月の打ち合わせに1回同席し、議事録を書く
△△の判断を自分でできるようになりたい今月、△△の判断を3回、自分の案を出してから確認をもらう
人に教えられるようになりたい今月、自分が担当している業務の手順書を1本書く

#5-3. 教育担当がやること

  • 月初:本人が入れた1項目を確認する(内容には口を出さず、大きすぎないかだけ見る)
  • 月末:やったかどうかを聞く。できなかった場合、責めない
  • 四半期:1項目の積み重ねが、なりたい姿に向かっているかを一緒に確認する

できなかった月が続く場合は、項目が大きすぎるか、本業が過負荷である。 本人の意欲の問題として扱わない。


#6. 見直しのタイミング

時期やること
3ヶ月目(ティーチング卒業時)実際に働いてみて、書いた内容が変わったかを確認する。変わって当然
6ヶ月目(コーチング卒業時)1年後の姿が現実的になっているかを見る。具体化を促す
1年目達成度を確認し、次の1年を書き直す
以降、半年ごと更新する。役割・担当の見直しに反映する

#6-1. 変わることを歓迎する

「前に書いたことと違う」を責めない。 実際に働いてみて変わるのは、健全な変化である。

伝え方の例:「入社時に書いてもらったものと、だいぶ変わりましたね。3ヶ月やってみて見えたことがあるということだと思います。今のほうが実感に近いなら、そちらで進めましょう」

#6-2. 変わらない場合

半年経っても内容がまったく変わらない場合、次のどちらかである。

可能性確認方法対処
本当に一貫している具体的なエピソードを聞くと出てくるそのまま進める。強い動機である
書いたことを忘れている/形骸化内容を覚えていない、話が具体化しない3-2の引き出し方をやり直す

#7. やってはいけないこと

この仕組みは、扱いを誤ると逆効果になる。次は絶対にやらない。

禁止なぜ
なりたい姿を人事評価に使う評価されると分かった瞬間、会社が望む答えを書くようになる。燃料としての機能が消える
宣言した目標の未達を責める宣言することが罰になり、控えめな目標しか出てこなくなる
他の社員と比較する動機は人それぞれ。比較した時点で、本人のものでなくなる
本人の同意なく他の社員に共有する本音は共有されない前提でしか出てこない
「会社としてはこうなってほしい」を書かせるそれは会社の期待(領域C)であり、本人の宣言ではない

#7-1. 評価との関係

対象評価に使うか
なりたい姿の内容使わない
月1項目をやったかどうか使わない
業務の到達レベル(Lv.1〜3)使う(通常の育成判定)
行動規範の遵守使う(50_行動規範_権利と義務.md

この線引きを、本人に最初に明示する。

伝え方の例:「ここに書いたことで評価が変わることはありません。評価は、任された仕事とルールで見ます。これは、あなたが頑張る理由を自分で持つためのものです」


#8. 「頑張ってもらう」ための構造

この仕組み全体が目指しているのは、頑張らせることではなく、頑張る理由が本人の中にある状態である。

【従来】会社がゴールを決める → 指示する → やらせる → 会社が動機を供給し続ける
                                                    (担当者が疲弊する)

【本制度】本人がなりたい姿を出す
              ↓
          会社の期待と重ねる(A/B/C)
              ↓
          月に1つ、近づく項目を自分で入れる
              ↓
          進んだことを本人が実感する
              ↓
          次の月も自分で入れる  ← 自走

小規模組織では、動機を供給し続けるだけの人手がない。だからこそ、本人の中に燃料を持ってもらう必要がある。この仕組みは、教育コスト削減の施策でもある。


#9. 関連文書

文書関係
05_フォロワーシップと教育範囲の基準.mdLv.3までが会社の責任、Lv.4は本人の領域。本文書がLv.4への橋になる
15_見極めガイド_最初の3ヶ月.md見極めで分かった傾向は、なりたい姿の引き出しにも使える
40_報告運用ルール.md月初の予定づくりに「月1項目」を組み込む
20_コーチング_運用ガイド.md面談で「なりたい姿に近づいていますか」を扱う
templates/08_なりたい姿シート.md記入様式

週次報告シート

  • 提出者:
  • 対象週:  年  月  日( )〜  月  日( )
  • 提出日:
  • 提出先:教育担当

記入の目安:15分。きれいに書く必要はありません。3と4は必ず埋めてください。


#1. 今月の進捗率

今月やると決めたことを100%としたとき、現在   % 完了。

(先週時点:   % → 今週   %)

予定どおりか: □ 予定どおり □ 少し遅れ □ 遅れ □ 前倒しできている


#2. 今週完了したこと

「次に渡せる状態」になったものだけを書きます。

#完了したこと完了日
1
2
3
4

#3. 今週完了しなかったこと <必須>

予定していたが終わらなかったものを書きます。理由も書いてください。理由は責任を問うためではなく、次の対策を一緒に考えるための材料です。

#終わらなかったこと理由いつやるか
1
2

□ 該当なし(すべて予定どおり完了した)


#4. 詰まっていること・困っていること <必須>

#内容自分で試したこと自分の考え
1
2

□ 特になし

「特になし」が3週続いたら、教育担当から確認します。 詰まりがまったくないことは、通常はありません。難易度が合っていないか、気づいていないかのどちらかです。


#5. 今週、一番迷ったこと <必須>

判断に迷った場面を1つ書いてください。結果の良し悪しは問いません。

項目記入欄
どんな場面か
どう考えて決めたか
他にどんな選択肢があったか

#6. 来週やること

#やること目安時間期限
1
2
3

#7. 遅れの見込み

今月の予定に対して、遅れそうなものがあれば書いてください。遅れる前に書くことに価値があります。

対象どれくらい遅れそうかどうするつもりか

□ 遅れの見込みなし


#8. 今月の「なりたい姿に近づく1項目」

70_なりたい姿の宣言と目標運用.md で立てた項目)

項目状況
□ 完了 □ 進行中 □ 未着手

#<教育担当 記入欄>

項目記入欄
確認日
良かった点(具体的に)
次週に見るポイント
こちらで対応すること

遅れの報告があった場合、まず「早く言ってくれてよかった」と伝えること。

1on1面談シート

  • 対象者:
  • 実施者(教育担当):
  • 実施日:  年  月  日
  • 所要:30分
  • 頻度:週1回(ティーチング〜コーチング期)/隔週1回(メンタリング期)

この面談は進捗確認の場ではありません。 進捗は週次報告シートで見ます。

ここでは、支援が必要なタイミングを見つけることを目的とします。

業務の話は10分まで。残りは本人の状態・関心・考えに使ってください。


#0. 面談前チェック(実施者)

  • 週次報告シートに目を通した
  • 前回のシートで「次回確認する」とした項目を確認した
  • 30分を確保している(途中で切り上げない)
  • 他の人に聞かれない場所を確保している

#1. 本人が話す(20分)

実施者は聞く側です。話す割合は、本人8:実施者2を目安にしてください。 問いかけたあと、20秒は黙って待ちます。

#使う問い(その日の状況で選ぶ/全部聞かなくてよい)

状態を聞く

  • 最近、うまくいっていることは何ですか
  • 逆に、引っかかっていることはありますか
  • 今の仕事量は、多い/ちょうどいい/少ない、のどれですか

プロセスを聞く

  • 今週、一番迷ったのはどこですか
  • そのとき、どう考えて決めましたか
  • 他にどんなやり方がありましたか

全体を見せる

  • 今月やることを、全部で何割終えていますか
  • 残りの業務量と日数は釣り合っていますか
  • 今、一番リスクが高いのはどれですか

詰まりを拾う

  • 誰かに聞きたかったけれど、聞けなかったことはありますか
  • 手が止まった時間は、どこで何分くらいでしたか
  • AIに聞いて解決しなかったことはありますか

こちらへの要望を聞く

  • 私に、やめてほしいこと・してほしいことはありますか

#記録(事実のみ。評価は書かない)

#本人が話したこと
1
2
3

#2. 決めたこと(5分)

決めたことだけを記録します。話した内容の議事録は不要です。

#決めたこと誰がいつまでに
1
2

#3. 支援が必要なサインの確認(実施者・面談後に記入)

該当するものにチェック。2つ以上ついたら、面談頻度を一時的に週1回に戻します。

  • 報告の提出が遅れ始めている
  • 報告の内容が薄くなっている
  • 質問が急に減った
  • 完了報告はあるが、成果物の質が落ちている
  • 遅刻・欠勤が増えている
  • 「大丈夫です」が増えている
  • 表情・話し方が普段と違う

サインが出ても、理由を問い詰めないこと。 「最近どうですか」から始め、本人が話す準備ができるまで待ちます。


#4. 実施者の自己点検

  • 自分が話しすぎていないか(本人が8割話せたか)
  • 答えを言ってしまった回数:   回(コーチング期は0を目指す)
  • 沈黙を20秒待てたか
  • 結果ではなくプロセスを評価したか
  • 進捗確認の場にしていないか

#5. 次回

項目記入欄
次回実施日
次回、必ず確認すること

ティーチング進捗チェックリスト

  • 対象者:
  • 入社日:  年  月  日
  • 教育担当:
  • 対象期間:入社〜3ヶ月

このシートは、教えた記録でもあります。 記録がないと、3ヶ月目に「教えた/教わっていない」の水掛け論になります。

教えたその日に、印をつけてください。


#1. 業務別 4ステップ進捗

各業務について、今どのステップにいるかを記録します。

4ステップ ① 見せる → ② 一緒にやる → ③ やらせて見る → ④ 任せる

②から④へ飛ばさないこと。 ③を挟まないと、どこで詰まっているか見えません。

#業務名分類① 見せた② 一緒に③ やらせた④ 任せた手順書備考
1定型////
2定型////
3定型////
4定型////
5定型////
6半定型////
7半定型////
8////

※ 各欄には実施日(月/日)を記入。「手順書」は本人が清書を完了したらチェック。


#2. 1週目チェック(土台の3つを先に入れる)

Day内容実施日確認済
1事業・お客様・自分の役割の説明/
1行動規範の読み合わせ(対面で実施)/
2業務環境のセットアップ(PC・アカウント・保存場所ルール)/
3報告運用の説明(予定・現状・完了の3軸)/
3週次報告シートの書き方を実演/
4AIファースト原則の説明(30分ルール含む)/
4AIへの質問の仕方を実演し、1件やらせた/
51週目の振り返り/担当業務の全体像の説明/
51年後の仕上がり像を渡した/
5なりたい姿シートを渡した/

#3. 月次の到達状況

#1ヶ月目(  月)

確認項目状況
出退勤・連絡のルールを守れているか□ できている □ 一部 □ できていない
報告を催促なしで出しているか□ できている □ 一部 □ できていない
4ステップの①②が進んでいるか□ 順調 □ やや遅れ □ 遅れ
見極め観察シートを記入したか□ 記入済

気づいたこと(事実で記入):


#2ヶ月目(  月)

確認項目状況
手順書を見ながら独力でできる業務が増えているか□ できている □ 一部 □ できていない
「詰まったこと」を毎日1件以上出しているか□ できている □ 一部 □ できていない
手順書の清書が進んでいるか(目標5本)
見極めの仮説を立て、教え方を1つ変えたか□ 実施済

変えてみた教え方と、その効果:


#3ヶ月目(  月)

確認項目状況
定型業務を任せられているか(4ステップ④)□ できている □ 一部 □ できていない
月の予定を自分で作れたか□ できた □ 一部 □ できなかった
担当する定型業務の手順書が揃ったか□ 揃った □ 一部 □ 揃っていない
見極め結果を本人に伝えたか□ 実施済

#4. 卒業判定(3ヶ月目末)

すべて「はい」でなければ、コーチング段階に進めません。 判定は本人同席で行い、各項目について本人の自己評価と突き合わせてください。

#判定項目本人評価担当評価
1担当する定型業務を、マニュアルを見ながら独力で完了できる□ はい□ はい
2予定・現状・完了の3軸報告を、催促なしで提出している□ はい□ はい
3質問時に「自分で調べたこと・AIに聞いたこと」を添えられている□ はい□ はい
4就業ルール(勤怠・連絡・締切)を守れている□ はい□ はい
5自分がわからないことを、わからないと言える□ はい□ はい

※ 項目5は最も重要です。ただしこれは本人の性格を問う項目ではなく、「わからないと言える関係ができているか」を確認する項目です。満たせていない場合は、まず教える側の接し方を点検してください。

評価がずれた項目こそ、コーチング段階のテーマになります。

#判定結果

  • 合格 → コーチング段階へ移行
  • 一部未達 → 1ヶ月延長(延長は1度まで)
  • 大幅未達 → まずカリキュラム側を見直す

未達の場合、以下を書面で本人に渡すこと。

項目記入欄
未達の項目
延長期間中にクリアすべきこと
会社が追加で支援すること
再判定日

#5. 教育担当 週次セルフチェック

毎週、担当者自身が確認します。

時間確保教えた記録報告受領ステップ把握詰まり報告答えを言いすぎ
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12

※「答えを言いすぎ」は2ヶ月目以降にカウント。数えると減ります。

月次カレンダー運用シート(予定・現状・完了)

  • 記入者:
  • 対象月:  年  月
  • 提出日(月初):
  • 振り返り日(月末):

このシートは本人が作ります。 教育担当が作った予定表を見ても、俯瞰する力は身につきません。

所要:月初75分/月末30分


#■ 月初:予定を立てる

#STEP 1 今月やることを全部書き出す(20分)

定例・案件・締切のあるもの、すべて書き出します。抜けがないことを優先し、順序は気にしません。

#やること種別期限見積時間
1定例h
2定例h
3案件h
4案件h
5h
6h
7h
8h
9h
10h

合計見積時間:   h


#STEP 2 稼働時間と比較する(5分)

項目時間
A. 今月の稼働可能時間(営業日数 × 1日の稼働時間)h
B. 割り込み・想定外のための余白(Aの20%)h
C. 実際に使える時間(A − B)h
D. 合計見積時間(STEP 1)h
E. 差分(C − D)  h

#判定

  • E がプラス → このまま進める
  • E がマイナス下の「超過時の調整」を必ず実施し、教育担当と相談する

#超過時の調整(Eがマイナスの場合)

「頑張って詰め込む」は選択肢に入れません。 以下から選びます。

調整方法対象削減時間
□ 優先順位を落とす(今月やらない)h
□ 誰かに渡すh
□ 期限を交渉するh
□ やり方を変えて時間を減らすh

調整後の合計:   h(E:  h)


#STEP 3 カレンダーに配置する(20分)

締切から逆算して置きます。 締切日に置くのではなく、着手日に置いてください。

主に進めること締切のあるもの
第1週( / 〜 / )
第2週( / 〜 / )
第3週( / 〜 / )
第4週( / 〜 / )
第5週( / 〜 / )

配置の確認

  • 締切の直前に固まっていないか
  • 他の人の着手条件になるものを、早めに置いたか
  • 余白(20%)を潰していないか

#STEP 4 今月の「なりたい姿に近づく1項目」

70_なりたい姿の宣言と目標運用.md 参照。月に1つだけ。稼働の5%以内)

項目いつやるか目安時間
h

#STEP 5 教育担当の確認(15分)

確認項目結果
抜けている業務はないか
見積もり時間は現実的か(楽観的すぎないか)
締切の直前に固まっていないか
割り込み用の余白が確保されているか
他の人の作業を止める項目が、早めに置かれているか
「なりたい姿の1項目」が大きすぎないか

確認者:        確認日:  /  

コメント:


#■ 月中:カレンダーで可視化する

既存のカレンダーツールで、次のとおり色分けします。新しいツールは導入しません。

状態表示方法
予定着手予定日に配置(未着手の色)
現状進行中のものを別色に変える
完了完了したものを別色に変える

教育担当はいつでも閲覧できる状態にしておきますが、気づいたことは週次報告の場で扱います。 常時監視されている感覚は、報告の質を下げます。


#■ 月末:振り返る(30分)

#1. 達成状況

項目数値
予定した項目数
完了した項目数
達成率%

#2. 見積もりの精度

見積もりより時間がかかったものを書き出します。 ここを毎月見ることで、見積もり能力が上がります。

業務見積実績なぜ増えたか
hhh
hhh
hhh

傾向: □ 全体的に楽観的 □ 全体的に悲観的 □ おおむね合っている □ 業務によってばらつく

#3. 想定外の割り込み

内容かかった時間
h
h
合計 h

余白として確保した時間(B):  h → 来月の余白をどうするか:  h

#4. 遅れたもの

遅れたものいつ気づいたかもっと早く気づけたか早く気づくには
□ はい □ いいえ

#5. 「なりたい姿の1項目」

項目結果できなかった場合の理由
□ 完了 □ 未完了

※ できなかった場合、項目が大きすぎるか、本業が過負荷です。 意欲の問題として扱いません。

#6. 来月への反映

項目来月どうするか
見積もりの取り方
余白の量
配置の仕方
その他

イレギュラー申請・調整シート

  • 申請者:
  • 申請日:  年  月  日
  • 提出先:教育担当

調整してよいものです。 無理をする必要も、黙って遅れる必要もありません。

休暇・体調不良・出社困難などは、必ず発生します。都度判断ではなく、この様式で処理します。


#1. 区分

  • 事前にわかっている休暇(有給・私用・通院など)
  • 当日の体調不良・急な事情
  • 出社困難だが業務は可能(交通機関・天候・家庭事情など)
  • その他(               )

#2. 対象期間

項目記入欄
開始月  日( )   時ごろ〜
終了(見込み)月  日( )   時ごろ
日数

事情の詳細(健康・家庭など)を書く必要はありません。 区分と期間だけで十分です。


#3. 影響する業務

その期間に予定していた業務と、影響を書きます。

#予定していた業務期限誰かの着手条件か影響
1□ はい
2□ はい
3□ はい

「誰かの着手条件」にチェックがついたものは、最優先で調整します。


#4. 自分で考えた調整案

案がある場合は書いてください。 ない場合は空欄でかまいません(特に体調不良時)。

#対象業務調整案
1□ 前倒しで済ませる( / まで) □ 後ろ倒しにする( / へ) □ 誰かに渡す □ 期限を交渉する
2□ 前倒しで済ませる( / まで) □ 後ろ倒しにする( / へ) □ 誰かに渡す □ 期限を交渉する
3□ 前倒しで済ませる( / まで) □ 後ろ倒しにする( / へ) □ 誰かに渡す □ 期限を交渉する

#自宅作業を希望する場合

詳細は 55_自宅作業(在宅)の考え方とルール.md基本は出社ですが、やむを得ない場合は認めます。遠慮しないでください。

前提①:自分のリソースを自分で処理できる状態か(本人が自己チェック)

  • 指示がなくても、その日やることの優先順位を自分で決められる
  • 詰まったとき、30分で見切りをつけて自分から連絡できる
  • 完了の定義(次に渡せる状態)を、自分で判断できる
  • 遅れそうなとき、遅れる前に自分から伝えられる

前提②:その日進める業務が明確にあるか

その日進める業務なぜ今日進める必要があるか(納期など)

急ぎの業務は特にない無理に働かず、休んでください。 そのほうが結果的に速く終わります

自宅ではできない業務


#自宅作業の日に守ること

  • 始業時に「開始します/今日やること」を連絡する
  • 終業時に「完了したこと/残ったこと」を連絡する
  • 連絡がつく状態を保つ(応答は業務時間内でよい)
  • 中座する場合は伝える(通院・送迎など)
  • 詰まったら30分ルールを守る(出社時より厳格に)
  • 顧客情報・機密情報の取り扱いに注意する

#5. 連絡

項目記入欄
連絡がつく手段□ つく(      ) □ つかない
連絡可能な時間帯
緊急時に確認してよいか□ よい □ できれば避けたい

#<教育担当 記入欄>

#対応の決定

#対象業務決定した対応担当新しい期限
1
2
3

#自宅作業の可否判断(希望があった場合)

確認項目結果
前提①(Lv.2以上・自分でリソースを処理できる)□ 満たす □ 満たさない
前提②(今すぐ進めるべき業務が明確)□ 満たす □ 満たさない
育成段階□ ティーチング(原則不可) □ コーチング(条件付き可) □ メンタリング・既存社員(可)

判断: □ 自宅作業を認める □ 休むことを勧める □ 半日出社等の代替案

判断の理由(本人に必ず伝えること):

伝え方の例:「今の段階だと、詰まったときに自分から声を上げるまでが少し長いので、在宅だと一日止まってしまう心配があります。今回は休むか、半日だけ出社にしませんか」

#コーチング半日枠との重複

  • 該当なし
  • 水曜のコーチング半日と重なるオンラインで代替せず、その週のうちに別日を設定する(伴走90分は画面越しでは機能しないため)

代替日:  月  日( )   時〜

#育成段階への影響

  • 影響なし
  • 2週間以上の中断 → 育成段階の期間を、中断日数分だけ後ろ倒しする
項目記入欄
現在の段階□ ティーチング □ コーチング □ メンタリング
元の終了予定年  月  日
変更後の終了予定年  月  日

#周囲への共有

事情の詳細は共有しません。運用がどう変わるかだけを共有します。

項目記入欄
共有先
共有内容

#確認

項目記入欄
受領日
決定日
本人への回答日

#■ 運用の原則(参考)

状況対応の原則
事前にわかっている休暇前週までに申告し、その週の予定を組み替えて提出する
当日の体調不良・急な事情始業前に連絡。その日の予定は教育担当が引き取るか、翌日以降に再配置する
出社困難だが業務は可能基本は出社。ただしやむを得ない場合は自宅作業を認める(前提①②の確認あり)
急ぎの業務がない場合休む。 無理に在宅で働かない
育成段階の一時中断2週間以上の中断は、段階の期間を中断日数分だけ後ろ倒しする

申請を出したことを不利に扱いません。 黙って遅れることのほうが、組織にとって損失です。

#当日の急な事情(子どもの発熱など)の場合

シートは後回しでかまいません。まず連絡してください。

やること期限
1始業前に連絡する(電話・チャットいずれでも可)始業時刻まで
2「在宅で進めたいか/休みたいか」の希望を伝える同上
3その日進める業務を、教育担当と5分で決める始業後30分以内
4このシートを提出する当日中〜翌営業日

手続きより、連絡が先です。 子どもの看病をしながらシートを書く必要はありません。

見極め観察シート(最初の3ヶ月)

  • 対象者:
  • 記入者(教育担当):
  • 対象期間:入社〜3ヶ月

このシートは、評価のためではなく、教え方を変えるために使います。

記入前に、15_見極めガイド_最初の3ヶ月.md の「見極めの5原則」を確認してください。

- 合否や評価に使わない

- 決めつけない(仮説として扱う)

- 事実で記録する(「おとなしい」ではなく「3日間、質問が0件」)

- 3ヶ月目に本人へ開示する

- 環境要因(こちらの接し方)を先に疑う


#■ 記入前:教育担当の自己点検

ここが崩れていると、観察結果はすべて歪みます。 観察を始める前に確認してください。

  • 質問しやすい態度で接しているか(忙しそうにしていないか)
  • 質問されたとき、手を止めて聞いているか
  • 「そんなことも分からないのか」という反応をしていないか
  • 教えた記録を残しているか
  • 良い点を言葉にして伝えているか(指摘だけになっていないか)
  • 週の関与時間を実際に確保できているか

「質問が出ない」の原因の半分は、この6項目のどれかにあります。


#■ 1ヶ月目:観察(判断しない)

この月に結論を出しません。 入社直後は誰でも緊張しており、普段のクセは出ていません。 週1回・5分で、事実だけを記録します。

#記入例

❌ 書かない✅ 書く
おとなしい3日間、自分から質問が0件
飲み込みが早い手順を1回見せたら、次から独力でできた
指摘に弱い手順の誤りを指摘した翌日、質問件数が0になった
段取りが悪い3件の締切のうち、一番遠いものから着手した

#週次記録

#第1週( / 〜 / )

観点観察した事実
① 情報の受け取り方
② 詰まったときの反応
③ 指摘の受け止め方
④ 時間と段取り
⑤ 人との関わり

#第2週( / 〜 / )

観点観察した事実
① 情報の受け取り方
② 詰まったときの反応
③ 指摘の受け止め方
④ 時間と段取り
⑤ 人との関わり

#第3週( / 〜 / )

観点観察した事実
① 情報の受け取り方
② 詰まったときの反応
③ 指摘の受け止め方
④ 時間と段取り
⑤ 人との関わり

#第4週( / 〜 / )

観点観察した事実
① 情報の受け取り方
② 詰まったときの反応
③ 指摘の受け止め方
④ 時間と段取り
⑤ 人との関わり

#観点ごとの確認方法(参考)

観点確認方法
① 情報の受け取り方同じことを違う方法で2回教え、どちらの後に手が動いたかを見る
② 詰まったときの反応答えを渡さず、少し難しい業務を任せる(顧客・金銭・データに影響しない範囲で
③ 指摘の受け止め方1ヶ月目に軽微な指摘を意識的に1回行い、その後1週間の行動を見る
④ 時間と段取り期限つきの業務を3つ与え、どう順序づけたかを聞く
⑤ 人との関わり会議・雑談での発言、確認の取り方を見る

#■ 2ヶ月目:仮説を立て、教え方を1つ変える

#1. 仮説

1ヶ月目の記録から、傾向の仮説を立てます。仮説であって、事実認定ではありません。

観点仮説根拠となる事実(日付つき)
① 情報の受け取り方
② 詰まったときの反応
③ 指摘の受け止め方
④ 時間と段取り
⑤ 人との関わり

#2. 傾向(暫定)

観点②と③を軸に、接し方を決めるための区分です。人格の分類ではありません。 どれが優れている・劣っているという順位はなく、同じ人でも環境や時期によって変わります。

  • 自走タイプ — 詰まりを早く出し、指摘も受け止める
  • 承認先行タイプ — 報告は出るが、指摘に敏感
  • 自己完結タイプ — 抱えるが、自力で解決してしまう
  • 遠慮タイプ — 詰まりを出しにくく、指摘にも敏感
  • 判断できない(もう1ヶ月観察する)

#傾向別の調整方針

傾向教え方の調整
自走タイプ標準カリキュラムでよい。早めに任せる範囲を広げる
承認先行タイプ指摘の前に必ず「できている点」を具体的に挙げる。個別の場で伝える
自己完結タイプ「解決したか」ではなく「どう解決したか」を毎回聞く。30分ルールを丁寧に運用する
遠慮タイプ詰まりの報告を仕組みに組み込む。日次で1つ挙げてもらう形にする

遠慮タイプは、その人に問題があるのではありません。 「聞いてよいのか分からない」「迷惑をかけたくない」という気遣いが背景にあることがほとんどです。表面上は順調に見えるため気づくのが遅れやすく、3ヶ月目になって初めて困りごとが見えてくることがあります。1ヶ月目のうちに、本人が言い出さなくても済む形(日次で1件挙げる枠)を用意してください。

この傾向が出ているときは、まず冒頭の「記入前:教育担当の自己点検」に戻ってください。 聞きにくい空気は、教える側がつくっていることが多くあります。

#3. 変えてみること

教え方を1つだけ変えます。 複数を同時に変えると、何が効いたか分かりません。

項目記入欄
変えること
開始日/
効果をどう確認するか

#4. 結果(2ヶ月目末に記入)

項目記入欄
効果はあったか□ あった □ なかった □ わからない
観察された変化(事実)
仮説は当たっていたか□ 当たっていた □ 外れていた □ 一部
次にどうするか

#■ 3ヶ月目:検証と本人への共有

#1. 最終的な見立て

観点見立て3ヶ月間の根拠(日付つき事実)
① 情報の受け取り方
② 詰まったときの反応
③ 指摘の受け止め方
④ 時間と段取り
⑤ 人との関わり

傾向(確定): □ 自走タイプ □ 承認先行タイプ □ 自己完結タイプ □ 遠慮タイプ

#2. 本人への伝達

卒業判定と同じ場で伝えます。裏で持ち続けません。

#伝え方の原則

原則具体的に
事実から入る「〇月にこういう場面がありました」と記録を示す
決めつけない「〜という傾向があるように見えますが、どう思いますか」と問いにする
良し悪しにしない「抱え込むのは悪い」ではなく「抱え込むと、この場面でこう困る」と影響で語る
次につなげる「コーチング期間は、ここを一緒に見ていきましょう」

伝え方の例:「3ヶ月見ていて、詰まってから声を上げるまでが少し長いように感じました。5月の〇〇の件では3時間ほど止まっていましたね。ご自身では、どう感じていますか」

#伝達記録

項目記入欄
伝達日年  月  日
伝えた内容
本人の反応・自己認識
認識が一致したか□ 一致 □ 一部一致 □ 不一致(保留とする)

本人が否定した場合は、押し切りません。 「では、次の3ヶ月で一緒に確認しましょう」と保留にします。

#3. コーチング段階へ引き継ぐこと

項目記入欄
コーチングで重点的に見るテーマ
接し方で継続すること
注意すべきリスク

#■ 記録の取り扱い

ルール内容
閲覧範囲教育担当と経営者のみ
本人への開示3ヶ月目に開示する(隠して持たない)
有効期限コーチング卒業(6ヶ月目)をもって、記録としての役割を終える
使ってよいこと教え方の調整/コーチングのテーマ設定/業務割当の工夫/本人との対話
使ってはいけないこと人事評価の根拠/本人のいないところでの人物評/他の社員への共有(本人の同意なく)

<業務名> 手順書

この手順書は、教わった人が書きます。 教えた人が書くと、前提を省いてしまいます。

8割の完成度で公開してください。 使いながら直します。

詰まった箇所を見つけたら、気づいた人がその場で直します(作成者の許可は不要)。


#基本情報

項目内容
業務名
作成者
作成日年  月  日
最終更新者
最終更新日年  月  日
分類□ 定型業務 □ 半定型業務

#1. 目的 <必須>

何のためにこの業務をやるのかを書きます。これがないと、状況が変わったときに応用できません。

(例)お客様への請求漏れを防ぎ、入金予定を正しく把握するため。

#2. 頻度・期限

項目内容
頻度□ 毎日 □ 毎週( 曜日) □ 毎月( 日) □ 都度(    のとき)
期限
所要時間の目安

#3. 前提・準備するもの

着手前に揃っている必要があるものを書きます。

#必要なものどこにあるか
1
2
3

必要な権限・アカウント


#4. 手順 <必須>

1手順1行で書きます。自分ができるからと省略しないでください。 知らない人が読んで再現できるかが基準です。

#やること補足・注意点
1
2
3
4
5
6
7
8

#5. 完了の判断基準 <必須>

「作業した」ではなく「次に渡せる状態」を完了とします。どうなったら完了かを具体的に書きます。

(例)請求書PDFが共有フォルダの当月フォルダに保存され、
    お客様へのメール送信が完了し、送信済みフォルダに記録されている状態。

完了チェック


#6. 判断が必要な箇所

手順の中で、状況によって判断が変わる箇所を書きます。迷ったら誰に聞くかも書いてください。

#どこでどう判断するか迷ったら誰に聞くか
1
2

次の3つは、判断せず必ず上に確認します30_AIメンタリング_運用ルール.md 6章)。

  • 顧客・金銭・契約に関わる判断
  • 会社としての方針・優先順位
  • 前例のない依頼

#7. よくあるつまずき

実際に詰まった箇所を、その場で追記していきます。 ここが手順書の価値になります。

#詰まったこと原因対処追記日
1/
2/
3/

#8. やってはいけないこと

事故につながる操作があれば書きます。

#やってはいけないことなぜ
1
2

#9. 関連する手順書

手順書名関係
この業務の前にやること
この業務の後にやること

#更新履歴

日付更新者更新内容
/新規作成
/
/

#<添削チェック(教育担当・1本15分)>

書き直さないこと。 指摘して、本人に直させます。

  • 目的が書かれているか
  • 手順が飛んでいないか(自分ができるからと省略していないか)
  • 専門用語に説明があるか
  • 完了の判断基準が具体的か
  • 判断が必要な箇所に「誰に聞くか」が書かれているか
  • 実際にこれを見て、知らない人ができるか

添削者:       添削日:  /  

なりたい姿シート

  • 記入者:
  • 記入日:  年  月  日
  • 版: □ 入社時 □ 3ヶ月目 □ 6ヶ月目 □ 1年目 □ その後(  回目)

#■ はじめに(必ず読んでください)

約束内容
評価には使いませんここに書いたことで評価が変わることはありません。評価は、任された仕事とルールで見ます
未達を責めません書いた目標に届かなくても、それを理由に責めることはありません
変わってかまいません働いてみて変わるのは自然なことです。3ヶ月ごとに書き直せます
「特にない」でもかまいません今は無理に決めなくて大丈夫です。空欄のまま出してください
同意なく他の人に共有しません教育担当と経営者のみが見ます

これは、あなたが頑張る理由を自分で持つためのシートです。 会社が望む答えを書く必要はありません。


#1. 1年後 <できるだけ具体的に>

どんな仕事を、どのくらい任されている状態でいたいですか。

具体的に書くほど、日々の行動に落とせます。

❌ 落ちない書き方✅ 落ちる書き方
成長したい〇〇の案件を、一人で最初から最後まで回せるようになりたい
役に立ちたい誰かの確認がなくても、△△の判断を自分でできるようになりたい
頑張ります手順書を見なくても、□□を30分で終えられるようになりたい

#記入欄





#2. 3年後

何ができる人だと言われていたいですか。(役割・強みのレベルで、中くらいの粒度で)





#3. その先

仕事を通じて、どうなっていたいですか。(曖昧でかまいません。方向だけで十分です)





#■ 「特にない」場合はこちらへ

書けなくて当然です。 次の質問に、答えられるものだけ答えてください。

#Q1. これまでで、やっていて面白かったことは何ですか(仕事以外でもかまいません)

#Q2. 逆に、これはしんどいと感じたことは何ですか

#Q3. 当社の仕事の中で、少しでも興味が湧いたものはありますか

#Q4. 1年後、「これができるようになっていたら嬉しい」と思うものはありますか(小さくてかまいません)

#Q5. 逆に、「1年後もこれができていなかったら嫌だな」と思うものはありますか

Q5が書けることが多くあります。「なりたくない姿」も、立派な出発点です。

それでも出てこなければ、空欄で提出してください。3ヶ月後にまた聞きます。


#<読み合わせ(入社2週目・教育担当と一緒に)>

#1. 3つの領域に分ける

領域内容記入
A:重なる部分<br>本人もやりたい/会社も任せたい
B:本人だけ<br>やりたいが、今の会社の業務にはない
C:会社だけ<br>会社としては必要だが、関心は薄い

#2. 領域ごとの扱い

#A:重なる部分 → 最優先で機会を渡す

いつどんな機会を渡すか

#B:本人だけ → 否定しない。将来の可能性として残す

項目記入欄
今の業務で、近い部分はあるか
次に状況を確認する時期年  月

「うちではできない」と切らないこと。 小規模組織では、本人のやりたいことが新しい事業の種になることがあります。

#C:会社だけ → 必要なことは正直に伝える。ただし目的を必ず添える

業務何のためにやるのか本人のなりたい姿とどうつながるか

伝え方の例:「〇〇はあなたのやりたいことと直接つながらないかもしれません。でも当社では必要な業務ですし、これができると△△の判断もできるようになります。そこはあなたの『□□をやりたい』にもつながります」

#3. 読み合わせの記録

項目記入欄
実施日/
実施者
決めたこと

教育担当は、書かれた内容を評価・否定しません。 やることは、聞くことと、重ねることだけです。


#<月次運用:なりたい姿に近づく1項目>

月初の予定づくりのとき、月に1つだけ入れます。稼働の5%以内(20時間/月なら1時間程度でも可)。 実務の中でできることを優先します(研修や勉強より、実務での経験)。

入れた項目目安時間結果できなかった理由
h□ 完了 □ 未完了
h□ 完了 □ 未完了
h□ 完了 □ 未完了
h□ 完了 □ 未完了
h□ 完了 □ 未完了
h□ 完了 □ 未完了

#項目の例

なりたい姿月に入れる1項目
〇〇案件を一人で回したい今月は、〇〇案件の見積もり部分だけ自分で作ってみる
お客様と直接話せるようになりたい今月の打ち合わせに1回同席し、議事録を書く
△△の判断を自分でできるようになりたい今月、△△の判断を3回、自分の案を出してから確認をもらう
人に教えられるようになりたい今月、自分が担当している業務の手順書を1本書く

できなかった月が続く場合、項目が大きすぎるか、本業が過負荷です。 意欲の問題として扱いません。


#<見直し記録>

時期実施日変わったこと変わらなかったこと
3ヶ月目/
6ヶ月目/
1年目/

「前に書いたことと違う」は歓迎されます。 実際に働いてみて見えたことがある、ということです。

習慣化カード(スタンプカード)

  • お名前:
  • 開始日:  年  月  日
  • 対象月:  年  月

これは評価には一切使いません。 誰かと比べることもしません。教育担当も見に行きません。

押すのは自分だけです。机の見えるところに置いて使ってください。


#押し方

内容
押す条件終業前の5分を書いた(完了したこと/終わらなかったこと/詰まったこと1件)
1日1個だけ。増やしません
押し忘れ翌営業日中なら、遡って押してかまいません
休んだ日「休」と書いてください。連続は途切れません

#休んでも途切れません

土日祝・有給・体調不良・お子さんの事情——どれも連続日数には影響しません。

続けるために無理をする、ということにはしたくないので。

急ぎの仕事がないときは、休んでください。そのほうが結果的に速く終わります。

#途切れても大丈夫です

忙しくて数日抜けても、1ヶ月やらなくても、何も起きません。 また今日から押せば大丈夫です。 合わないと感じたら、やめてもかまいません(報告そのものは続けてください)。


#今月のカード

その日のマスに、スタンプ・シール・チェック・日付、何でも自由に記入してください。 休んだ日は「休」と書きます。

第1週
第2週
第3週
第4週
第5週

今月の営業日:  日 / 押せた日:  日


#ボーナス(任意)

押せなくても、上のカードには影響しません。おまけです。

ボーナス条件第1週第2週第3週第4週第5週
週次報告金曜16時までに出した
ボーナス条件今月
月初月初の予定づくりをやった
月末月末の振り返りをやった
なりたい姿「なりたい姿に近づく1項目」をやった

#連続日数

営業日で数えます。休んだ日は数えません(途切れません)。

項目記入
今の連続日数
これまでの最長
通算で押せた日数

#バッジ

達成したら、日付を書き込んでください。

バッジ条件重なる節目達成日
はじめの一歩5営業日入社1週目を終えた/
ひと月20営業日ティーチング1ヶ月目/
三日坊主を超えた30営業日/
ティーチング完走60営業日3ヶ月目の振り返り/
半年120営業日6ヶ月目の振り返り/
一年250営業日1年目の振り返り/

#ひとこと(任意)

今月やってみて気づいたこと、続けやすかった工夫など。書かなくても大丈夫です。





#覚えておくと続きやすいこと

48_習慣化の心理学_背景となる考え方.md からの抜粋です。

続かないのは意志の問題ではありません続く形になっていないだけです。小さくしましょう
「帰り支度を始めたら書く」時刻で決めるより、行動とセットにするほうが続きます
やる気は、あとから出ます続いているのが見えるから、やる気が出ます。順番が逆です
2〜3ヶ月かかるのが普通です習慣化には平均66日、人によっては半年以上かかります
「報告を出す」より「言える人になる」行動より「どうなりたいか」で捉えるほうが定着します

#次の月のカード

コピーして使ってください。ナレッジサイトの「習慣化カード」なら、連続日数とバッジが自動で計算されます。